現在位置:トップページ研究者募集寺田教授の研究>IMSIによる精子中片部の観察による中心体機能良好精子の選別

↑PageTop/ページ上部へ

IMSIによる精子中片部の観察による中心体機能良好精子の選別

現在、光学ズームで1000倍、さらにデジタルズームを駆使し6000倍という高倍率で精子を観察し、選別した精子をICSIに用いる手法により、着床率が向上し流産率が低下することが多数報告されている。この手法はIntracytoplasmic morphologically selected sperm injection (IMSI) と呼ばれ、IMSI利用の主流は、精子頭部の空砲の有無により精子を選別するものである。我々は中心体が存在する精子中片部に注目し、通常のICSI時に用いられる400倍の観察では選別困難な違いにより中片部形態を分類し、受精子中心体の機能の検討を行った。精子は、中片部が真っ直ぐなもの(形態良好群;A群)と、頚部が太いもの(形態不良群;B群)に分類し検討した(図35)。注入から6時間後に卵子を固定し、免疫染色によって精子星状体形成の有無を確認した。A群精子の精子星状体形成率は82%、B群精子においては17%であり、形態良好群が形態不良群に比較し有意に高い精子星状体形成率を示す(P=0.0003)という非常に興味深い結果が得られた。この結果、精子中片部の形態が、精子中心体の機能発現に大きな影響を及ぼしている可能性が示唆された。このことは、IMSIを用いて高倍率下で中片部形態の微細な違いを観察し精子を選別することにより、精子星状体形成率を向上させる可能性を示している。ひいては、その後の受精率の向上にも大きく寄与すると考えられた。

文献(総論)

  • UgajinT, Terada Y, Hasegawa H, Nabeshima H, Suzuki K, Yaegashi N. The shape of the sperm midpiece in intracytoplasmic morphologically selected sperm injection relates sperm centrosomal function. J Assist Reprod Genetics 2010 27:75-81

スライドサムネイル

図35

図35

↑PageTop/ページ上部へ