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今年度で退職となる篠原ひとみ教授の最終講義が行われました

看護学講座母性看護学分野の篠原ひとみ教授の最終講義が行われました。以下、看護学専攻主任の佐々木真紀子教授からの寄稿文を掲載いたします。

看護学講座母性看護学分野教授の篠原ひとみ先生の最終講義が3月2日に保健学科棟大講義室で開催されました。テーマは「助産師としてのこれまでとこれから」でした。コロナ禍のなか、参加人数には制限もあり、看護学講座の教員のみでの開催になりましたこと、大変残念でしたが、講義をとおして先生の助産師として産婦さんに寄り添う姿勢、「一つ一つ丁寧に、産婦さんを尊重する助産師であるべき」というゆるぎない思いを拝聴でき、大変有意義な時間を過ごすことができました。

篠原先生は助産師として20年間の経験をお持ちですが、産婦さんとの最初の出会いは看護学生として病院でアルバイトをした時のことだったそうです。産婦さんが命の危機にあるお産をするという場面において、医療の場では産婦さんに寄り添う姿よりも機械的に進んでいくような分娩の場面に、おそらく若かりし篠原先生は大きな衝撃を受けられたのではないかと感じました。初めてのお産の場面で感じたのは「産婦さんがかわいそう」という思いだったそうです。この思いは、その後のご自身の助産師としての経験や母性看護や助産師教育において大きな影響を与えていたように感じました。助産師教育では専門的な知識や技術のみならず、産婦さんを尊重できる助産師という人間性の教育を大切にしたいという篠原先生の教育観の根幹を垣間見たように思います。本学では助産師は4名の選抜という非常に狭き門ですが、篠原先生が助産師の選考において常々どのような助産師を育てたいかが大切とおっしゃっていた意味もつながった気がしました。

その他にも、これまで出会った恩師の山西みな子先生(桶谷式乳房ケアを全国に広めた)や精神医学・セルフヘルプグループでご著名な久保紘章先生との出会い、ご自身は大学院修士課程では社会福祉学を学ばれたことなどをうかがいました。これらの出会いやご経験から、先生は講義で話された「母親をサポートすることが子供の幸せにつながる」という思いを強くされたのではないかと思います。今後は他大学で引き続き教鞭を取られたのち、助産院を開業し、お母さんを支援するような活動を考えていらっしゃるとのことでした。穏やかに淡々と話される言葉の奥に静かな熱意を感じるご講演でした。 最後に、15年間の長きにわたり医学部保健学科、大学院医学系研究科保健学専攻の教育にご尽力いただきましたことに深く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

今後は兵庫県に拠点を移されるとのこと、秋田からはかなり離れてしまいますが、先生のさらなるご活躍とご健康を心からお祈りいたします。

看護学専攻主任 佐々木真紀子