トピックス
2025年06月06日(金)
整形外科学講座の石垣佑樹医員、木村竜太助教、宮腰尚久教授らのグループの研究成果が「臨床整形外科」7月号に掲載されます。
整形外科学講座の石垣佑樹医員、木村竜太助教、宮腰尚久教授らの研究グループは,秋田県生活環境部自然保護課鳥獣保護管理チームツキノワグマ被害対策支援センターと共同研究により、ツキノワグマと遭遇した際に「うつ伏せによる防御姿勢」で身を守ることで、重症を防げる可能性があることを明らかにしました。この成果は、「臨床整形外科」7月号に掲載されます。
令和5年4月1日〜令和6年3月31日までに、秋田県内でクマに襲われて医療機関を受診した方を対象とし、秋田県が保有する「令和5年度クマ外傷人身事故情報」と各医療機関のカルテ情報を連携させて解析しました。
令和5年度にクマによる被害を受けたのは70人で、県内14病院を受診していました。重症者(多発外傷、全身麻酔を要した外傷、指や手足の切断)は23人でした。被害にあった方のうち、防御姿勢をとることができたのは7人(全体の10%)で、この7人には重症者はいませんでした。また、受傷場所については「里地」や「居住地」といった人の生活圏内が最多で、全体の60%を占めました。
本研究は、クマに遭遇した際にうつ伏せによる防御姿勢をとることで、重症化を防いでいる可能性があることを実際のデータに基づいて示した初の報告です。秋田県では毎年クマとの遭遇被害が発生しており、2025年も多くの目撃情報が寄せられています。人とクマの不意の接触が避けられない中で、「いざという時の対応」を知っておくことが重症化を防ぐ、そして命を守るために重要です。本研究の成果は、地域住民への啓発や、被害の予防・軽減策の一助となることが期待されます。