医学系研究科長 挨拶
医学系研究科長 挨拶
秋田大学大学院医学系研究科・医学部ホームページへようこそ。
秋田大学医学部医学科は、1970年に我が国における戦後初の医学部として創設されました。県民の強い熱意が原動力となって、旧県立中央病院を国に移管して医学部附属病院とし、開設されたものです。また医学部保健学科は1978年に医学部附属看護学校として開設され、1990年に秋田大学医療技術短期大学(3年課程)として医学部に併後、2002年に医学部保健学科(4年課程)へと発展的に改組されました。2009年、秋田大学医学部は大学院大学に部局化され、名称を秋田大学大学院医学系研究科とし、医学専攻および保健学専攻からなる大学院として新しいスタートを切り、現在に至っています。設立以来の医学系研究科及び医学部の卒業生は5,000名を超え、医療界の様々な分野で指導者として活躍しています。
このような背景をもとに、秋田大学医学部と附属病院は秋田県をはじめとする地域の医療に貢献することで地元の信頼を得て参りました。私達は、先進的な医療や世界最先端の研究とともに、秋田県の医療や県民の健康を守るという重要な役割を果たす必要があります。秋田大学大学院医学系研究科ならびに医学部のミッションは、教育、研究、そして診療です。それぞれの特徴を簡単にご紹介します。
医学科の教育カリキュラムの特徴は、全国でも先進的な医学教育の取り組みを行ってきており、「秋田モデル」とも称する卒前・卒後をシームレスに繋ぐ一環教育にあります。秋田大学では1年次からの早期臨床体験教育に始まり、1年次から6年次まで、地域の医療機関で実習を行うことができるように、秋田県医師会及び県内の医療機関より全面的なバックアップを頂いています。2001年から全国に先んじて、独自に卒業時の学生の診療能力を評価するための実技試験(アドバンスPost-Clinical Clerkship Objective Structured Clinical Examination:OSCE)を導入し、最先端の教育と評価システムを実践してきました。保健学科においても、地域の医療機関や市町村との積極的な連携により様々な実習や演習を行っています。また、理学療法学専攻や作業療法学専攻は、学生数の少なさを生かした少人数教育が中心なので、学生と教員との距離感がとても近いことが特徴です。キャンパス内にはシミュレーション教育センターが設置されており、学生のみならず広く県内の医療従事者へも解放して実技トレーニングを行っています。さらには、初年次からの英語による医療面接実習、学生用Webシステム、e-Learning、デジタル教育、等、新たな教育手法の開発や実践に積極的に取り組むことで、1年次から最終学年までをモチベーション高く系統立てて繋ぐカリキュラムを構築しています。このような先進的は取組みが功を奏し、医師国家試験や看護師国家試験、理学療法士国家試験、作業療法士国家試験などでも、毎年、好成績を挙げております。また、2021年の日本医学教育評価機構による分野別評価においても極めて高い評価を受けたのも特筆すべき成果であります。
学生の海外派遣及び海外学生の受け入れにも積極的です。医学科では毎年10名以上が医学部国際交流基金からの支援を得て、海外の医学部または医学研究機関へ短期留学しています。保健学科では、シンガポール国立大学看護学アリス・リー・センターと学部間協定を結んで、学生相互交流をしています。
医学系研究科では基礎から臨床まで特色のある先端的研究が行われており、世界への発信を続けています。癌の分野では癌細胞周囲の微小環境の研究、造血器や固形腫瘍(癌)の新規治療薬の開発研究、抗癌剤をはじめとした各種治療薬の薬物動態遺伝学研究、様々な細胞死の研究、肥満と癌進展の研究などに取り組んでいます。他の分野ではCOVID-19やインフルエンザの肺炎や重症化に関する研究、睡眠の分子機構の研究、新たな免疫細胞やアレルギーなど免疫の研究においても優れた研究成果を発表しています。医理工連携にも勢力を挙げて取り組んでおり、一端として、「遠隔医療推進開発研究センター」による遠隔医療の推進と開発や、癌の自動迅速病理診断装置の開発と製品化等が注目されています。
医学部附属病院は、県内唯一の特定機能病院として良質な高度医療の提供と優れた医療人の育成に力を入れています。2020年度には、これからの地域医療を支える総合的診療能力を有する医師養成の拠点としての総合診療医センターを設置しました。また、以前より救命救急活動用のヘリポートを設置し、県内各地から重症患者を受け入れてまいりましたが、2021年には高度救命救急センターが設置され、救急医療や超急性期医療体制がさらに充実しました。2012年から手術支援ロボット下の内視鏡手術、2021年からハイブリッド手術室での心血管手術も多数例を行い、順調に軌道にのせております。また近年の癌登録患者数からみましても県内随一の多くの癌患者さんや急性期循環器疾患患者の治療にあたっており、県民の医療を守り、先進医療に取り組み世界に発信する大学病院と言えます。
医学系研究科長 羽渕 友則