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生殖内分泌グループの研究活動

臨床研究

生殖補助医療における着床前診断の有用性に関する検討

体外受精によって得られた胚の一部を生検し、胚の染色体数を調べる着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)は、流産を防ぐことに有効であると考えられ、欧米で実施されています。日本においても、その検査が有用であるか当教室も臨床研究に参加し、今後先進医療として実施する予定です。

子宮腺筋症に対する外科的治療の有効性・安全性について

子宮腺筋症は過多月経・月経困難・不妊・流産の要因となり、その外科的治療である腺筋症核出術の有効性について検討してきました。特に不妊、流産を繰り返す子宮腺筋症患者には、生殖補助医療を組み合わせた外科的治療を行うことで、妊娠予後を改善させる治療を実施しています。

がん・生殖医療の体制構築とその実施

当院では、妊孕性温存療法として、卵子・受精卵・卵巣組織・精子の凍結を行なっています。また温存後治療として、それらを使った生殖補助医療を実施しております。患者背景やその使用方法、妊娠予後についてデータ解析し、安全な医療を提供していきます。

基礎研究

卵の成熟機構に関する研究

哺乳動物の卵巣では、卵は第一減数分裂の前期で発育が停止していますが,LHサージによって減数分裂が再開し成熟卵となります。しかし、このLHサージ後の卵成熟機構は依然不明な点が多く、その解明は生物学的意義だけではなく、卵の体外成熟などの生殖医療技術に大きく貢献すると期待されています。秋田大学産婦人科は米国スタンフォード大学と共同で卵成熟促進因子の同定をおこない,INSL3やBDNFといった分子が深く関与していることを見いだしました。

着床前期胚の発育に関する研究

体外受精胚移植治療の普及により、受精卵の体外培養がルチーンワークとしておこなわれていますが、質の良い受精卵を得るためには適切な体外培養環境の確立が重要となっています。我々は、体外培養にて欠落する母胎由来のパラクライン因子に着目し,leptin,TGF,GnRHが胚発育促進に,ghrelin,TNFが胚発育抑制に働くことを見いだしました。これらの分子を適切に組み合わせることで理想的な培養液の開発につながる可能性があります。

卵・着床前期胚のアポトーシスに関する研究

受精卵の体外培養において、良好胚を得られない原因のひとつに培養中のアポトーシスの発生が挙げられます。アポトーシスをおこした胚はフラグメンテーションをおこし、移植後の妊娠率は非常に低値です。このアポトーシスの発生のメカニズムを解明するため、受精卵におけるアポトーシス促進および抑制因子の研究を進めています。これまで,Fas/ Fas ligand, survivin, Smac/DIABLOが重要な働きをしていることを報告してきました。

造精障害に関する研究

精巣における精子の発育にはさまざまな因子が影響を与えますが、我々はその中で活性酸素が造精障害と深く関わっていることを見出しました。この知見は活性酸素抑制剤を用いた造精機能回復の臨床応用につながる可能性をもち、現在研究を進めています。さらに精巣が体温に比べ低温におかれている環境に着目し,heat shock proteinの一つであるHSP105とP53との結合が精細胞のアポトーシスに関与していることを報告しました。

受精障害に関する研究

秋田大学産婦人科ではこれまで、抗精子抗体、先体反応、プロアクロシン異常、精子透明体結合タンパク、抗透明体抗体などに関して系統的に受精障害のメカニズムについて研究をおこなってきました。

ヒト胚の第一有糸分裂のライブイメージングに関する研究

受精後の第一有糸分裂は父母の前核が融合した後に起こる最初の体細胞分裂であり、またエラーが多いことが知られています。現在、その様子をライブイメージングし、そのダイナミックな挙動を明らかにする研究を行っています。

第一卵割における染色体・細胞骨格の動的観察

哺乳類の初期胚の第一卵割時の染色体・微小管・微小繊維の挙動を動的に観察する方法を研究しています。各ターゲットに合わせた染色物質に胚を浸漬し、前核期から二細胞期までの分裂を観察しています。これにより異数性が起こるメカニズムなどの知見が得られることが期待されます。

電解質インジケーターを用いた胚盤胞内の電解質濃度の解析

胚発育における電解質の役割は、これまでそれらの構造および機能に対する阻害剤を使用した間接的な知見より類推されていました。

当教室では、胚発育の観察に電解質インジケーターを使用し、胚盤胞内のNaイオンとKイオンそれぞれの分布の可視化に成功しました。現在も電解質濃度の挙動についての研究を継続しています。

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