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2026年04月24日(金)

消化器内科学・神経内科学講座 渡邊健太特任助教が筆頭著者、同飯島克則教授が責任著者となる学術論文が国際誌「Journal of Gastroenterology」に掲載されました

論文タイトル

A steady increasing trend in the incidence of esophageal adenocarcinoma in Akita Prefecture, Japan, through 2024

著者名

Kenta Watanabe, Hiroyuki Shibata, Katsunori Iijima

掲載誌

Journal of Gastroenterology

研究等概要

 秋田大学大学院医学系研究科 消化器内科学・神経内科学講座、同臨床腫瘍学講座の研究グループは、秋田県内のがん診療連携拠点病院等が協力して構築するがん登録データを用い、2007年から2024年までに登録された食道がん症例を解析し、組織型別の発生動向を明らかにした。
 その結果、日本では従来稀であった食道腺がんが、秋田県において2010年頃から増加し始め、その傾向が2024年まで持続していることが確認された。特に、2010~2014年と比較して2020~2024年では、食道腺がんの患者数および年齢調整発生率が約2倍に増加しており、統計学的にも有意な上昇を示した。増加は主として男性で顕著であった。
 本研究は、これまで2014年までしか評価されていなかった日本における食道腺がんの疫学動向を、最新のがん登録データ(~2024年)に基づいて検証した初めての報告である。研究成果は、消化器領域の国際学術誌 Journal of Gastroenterology に掲載される。

 食道がんは日本ではその大部分を扁平上皮がんが占めてきたが、欧米では肥満や胃食道逆流症の増加を背景として、1960~70年代以降、食道腺がんが急増し、現在では主要な組織型となっている。本研究は、日本においても同様の疫学的変化が進行しつつあることを、高網羅性のがん登録データを用いて実証した点に大きな意義がある。
 秋田県は人口移動が比較的少なく、県内の主要医療機関によるがん登録システムが新規がん症例の90%以上を把握しているとされる地域である。本研究は、その特性を生かし、診断技術の進歩や医療体制の変化といった影響を考慮しつつ、実際の疾患発生動向を長期間にわたり評価した点で信頼性の高い疫学的証拠を提供している。
 また近年、早期の食道腺がんがより多く診断されるようになってきている一方で、進行例も引き続き増加していることが示され、単なる診断機会の増加だけでは説明できない真の疾病負担の増大が示唆された。食道腺がんは、原因、診断法、治療方針が従来型の食道がんと大きく異なることから、本研究成果は、将来の食道がん対策や検診・診療体制の在り方を再検討する上で重要な基礎資料になると考えられる。
本研究は、地域に根差したデータを通じて全国的な疾病動向を先行的に提示するものであり、今後の公衆衛生施策やがん対策の立案に貢献する社会的意義の高い成果である。

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参考URL

https://link.springer.com/article/10.1007/s00535-026-02407-3

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