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2025年11月06日(木)
分子生化学講座 木村 友昌 先生(大学院博士課程在籍中)が筆頭著者、田中 正光 教授が共著者となる学術論文が国際誌『Oncogene』に掲載されました
論文タイトル
Extracellular vesicles of cancer cells induce FOXP3+ fibroblasts and facilitate tumor invasion via the Wnt3-b-catenin pathway
著者名
Tomoaki Kimura, Kurara Takagane, Go Itoh, Sei Kuriyama, Kenji Meguro, Souichi Koyota, Masami Yamamoto, Tetsuya Tsukamoto, Sachiyo Nomura, Shuichi Tsukamoto, Naozane Nomura, Masafumi Horie, Motonobu Saito, Akiteru Goto, Masakazu Yashiro, Junichi Arita, Masamitsu Tanaka
掲載誌
Oncogene
研究等概要
分子生化学講座 木村友昌先生(大学院博士課程在籍中)が筆頭著者、田中正光教授が共著者となる学術論文がOncogeneに掲載されました。腫瘍の進展に重要であるFOXP3は一般に制御性T細胞のマスター転写因子として知られていますが、その他の細胞での機能に関してはよく分かっていませんでした。同論文は胃癌などで、腫瘍内の線維芽細胞の中にFOXP3陽性グループが存在する事を報告したものです。このFOXP3陽性線維芽細胞は腫瘍内の線維芽細胞全体で約2%程度の少数グループですが、免疫抑制性のサイトカインを産生し、マウス腫瘍ではCD8 T細胞の侵入を抑制する事が分かりました。また線維芽細胞におけるFOXP3の発現は、癌細胞の分泌する細胞外小胞により誘導され、その結果カドヘリン11-Wnt3経路が活性化する事により、同線維芽細胞は強い浸潤性を獲得する事などが明らかとなりました。
本研究ではこれまで報告のなかった免疫細胞以外での、腫瘍内間質細胞におけるFOXP3の発現やその腫瘍進行における役割を明らかにしたもので、今後臨床サンプルでの検証をさらに重ねる事で予後判定や治療対象としての重要性が示唆されます。


