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2025年05月14日(水)
器官・統合生理学講座 沼田朋大教授、佐藤かお理医学部講師、医学科6年 鈴木太郎さんらが著者となる学術論文が国際誌『The FASEB Journal』に掲載されました
論文タイトル
Boi-ogi-to, a traditional Japanese Kampo medicine, promotes cellular excretion of chloride and water by activating volume-sensitive outwardly rectifying (VSOR) anion channels
著者名
佐藤かお理、鈴木太郎、齊藤遥菜、加藤正太郎、酒井彩子、森俊太郎、中永士師明、長谷川仁志、岡田泰伸、沼田朋大
掲載誌
The FASEB Journal
研究等概要
秋田大学大学院医学系研究科の佐藤かお理(さとう・かおり)医学部講師、医学科6 年生の鈴木太郎(すずき・たろう)さん、沼田朋大(ぬまた・ともひろ)教授らの研究グループは、むくみの改善に効果があるとされる「防已黄耆湯」の作用メカニズムを解明するうえで、過去に防已黄耆湯を服用していた通院患者の電解質(イオン)の検査値のなかでもクロライド濃度が上昇していることを発見し、着目しました。
その結果、腎臓由来の細胞に防已黄耆湯が作用すると、①クロライドイオンが流出をすること、②そのクロライドイオンの通り道はVSOR であることを発見しました。さらに、③防已黄耆湯の投与によって、VSOR のコア分子であるLRRC8A が形質膜に移動し、LRRC8A/C の組み合わせとなってクロライドを流出させていることも見出しました。
本研究は、防已黄耆湯が腎細胞からクロライドイオンを輸送する新たな役割を世界で初めて見出したことで、足のむくみ解消につながる可能性を示した発見です。この研究成果を含む論文「Boi-ogi-to, a traditional Japanese Kampo medicine, promotes cellular excretion of chloride and water by activating volumesensitive outwardly rectifying (VSOR) anion channels(防已黄耆湯によるクロライドイオン輸送のメカニズムと浮腫改善への潜在的役割)」は、2025年5月8日に生命科学および医学分野のトップレベルの米国の国際学術雑誌『The FASEB Journal』(査読あり)にオンライン版で掲載されます。