お知らせ

2024年04月23日(火)

器官病態学講座 後藤 明輝 教授が著者となる学術論文が国際誌『The Journal of Pathology 』に掲載されました。

論文タイトル

Research autopsy programmes in oncology: shared experience from 14 centres across the world

著者名

Geukens T, Maetens M, Hooper JE, Oesterreich S, Lee AV, Miller L, Atkinson JM, Rosenzweig M, Puhalla S, Thorne H, Devereux L, Bowtell D, Loi S, Bacon ER, Ihle K, Song M, Rodriguez-Rodriguez L, Welm AL, Gauchay L, Murali R, Chanda P, Karacay A, Naceur-Lombardelli C, Bridger H, Swanton C, Jamal-Hanjani M, Kollath L, True L, Morrissey C, Chambers M, Chinnaiyan AM, Wilson A, Mehra R, Reichert Z, Carey LA, Perou CM, Kelly E, Maeda D, Goto A, Kulka J, Székely B, Szasz AM, Tőkés AM, Van Den Bogaert W, Floris G, Desmedt C.

掲載誌

The Journal of Pathology

研究等概要

器官病態学 後藤明輝教授と金沢大学医薬保健学域 前田大地教授(前当講座准教授)が著者となるresearch autopsy (研究解剖)に関する論文が国際学術誌The Journal of Pathologyで2024年3月29日に公表されました。The Journal of Pathologyは病理学分野のトップジャーナルのひとつです。研究解剖を施行しているスタンフォード大学など世界14施設に関する調査研究で、日本を含むアジアで取り上げられたのは一か所のみ(秋田大学)です(図1;上記論文より引用) 。進行癌や難病でのトランスレーショナルリサーチ(橋渡し研究:基礎研究成果を臨床実地に実用化させる研究)では患者様からの疾患試料の収拾が必要となりますが、収集できる範囲や量には限度があり、研究の大きな制約となっております。そこで、世界の先端的医療研究施設ではお亡くなりになった患者様やご家族からの同意を得て死後に疾患サンプルの採取をおこなう試みがなされております。これをresearch autopsy (研究解剖)と言い、その実施形態や実情を調査したものが本論文の成果となります。秋田大学医学部器官病態学講座では、Akita Rapid Autopsy Program (ARAP)として病理解剖と同時にこの試料採集をご遺族の同意のもとにおこなっており、進行癌に関わるゲノム解析などを実施しております(図2;上記論文より引用)。この先端的な試みが世界的に認識された論文で、病理解剖の進歩、進行癌や難病でのトランスレーショナルリサーチの進歩に寄与する成果です。

ご遺族の承諾のもとに、病死された患者さんのご遺体を解剖させていただくのが「病理解剖」で、生前の診断は正しかったのか、どのくらい病気が進行していたのか、適切な治療がなされていたのか、治療の効果はどれくらいあったのか、死因は何か、といったことを判断します。病理解剖の結果が蓄積されることによって、他の方法では得がたい医学の進歩への貢献が期待されます(日本病理学会ホームページより省略抜粋)。しかしながら、画像診断に進歩などによって病死された患者さんの病理解剖施行率は減少の一途を辿っており、医学上、社会上の問題と思われます。この論文で示されたようなresearch autopsyを病理解剖と併用することで、肉眼的な所見と顕微鏡観察での所見に頼っていた病理解剖に、分子生物学的検討や遺伝子解析を加えることができると想定され、病理解剖の質向上による病理解剖施行率の上昇が期待されます。これは、医学、疾患研究の進歩に大きく寄与すると予想されます。

参考URL

https://pathsocjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/path.6271

参考画像

器官病態学講座 後藤 明輝 教授が著者となる学術論文が国際誌『The Journal of Pathology 』に掲載されました。
器官病態学講座 後藤 明輝 教授が著者となる学術論文が国際誌『The Journal of Pathology 』に掲載されました。