お知らせ

2023年09月12日(火)

産婦人科学講座 白澤 弘光 講師が代表著者となる学術論文が国際誌『Heliyon』に掲載されました

論文タイトル

The first nationwide website survey of the availability and costs of medical and non-medical oocyte cryopreservation in Japan

著者名

Hiromitsu Shirasawa, Yukiyo Kumazawa, Wataru Sato, Takuya Iwasawa, Kazue Togashi, Natsuki Ono, Ayaka Fujishima, Kazumasa Takahashi, Eri Maeda, Yukihiro Terada

掲載誌

Heliyon

研究等概要

卵子凍結は国内外においてニーズが年々増している中、患者が入手可能なウェブ情報は限られている。患者が卵子凍結の実施を考慮、選択する際には、卵子凍結に関するコストが重要視されているとの報告もあるが、本邦において卵子凍結の実態は明らかとなっていない。その中で、卵子凍結費用や年間の更新費用は、卵子の個数や施設間によって異なること及び、メディカル、ノンメディカルという凍結理由の違いも影響を与えている事が想定された。今回2021年10月における、日本で生殖補助医療(ART)を行う全621施設のウェブ掲載情報を閲覧し、卵子凍結費用、年間更新費用、卵子凍結実施症例数、卵子凍結後の体外受精成績について、その開示率および費用に対して、施設背景を基に比較検討を行った。日本においてARTの全施設について、ウェブ情報の調査を行った初めての報告である。結果として、621施設中、ウェブにて卵子凍結実施を明示していたのは146施設(23.5%)であり、88施設はメディカルのみ、21施設はメディカル及びノンメディカル、37施設はノンメディカルのみの実施の記載であった。卵子凍結費用、年間更新費用のウェブにおける明示率及びコストは、共にノンメディカルの卵子凍結実施施設で有意に高い結果であった。特に年間更新料はノンメディカルな卵子凍結実施施設が、メディカルのみの実施施設の2-3倍と有意に高額であった。また今回の調査で、各施設の卵子凍結実施件数や卵子凍結後のART成績の開示率は、それぞれ11.0%、3.4%と低率であることが明らかになった。

卵子凍結は私費診療であり、各施設のコストに関してウェブにおける情報の開示率や施設間比較などはこれまで行われていなかった。日本は世界2位のART実施件数の国であり、日本における卵子凍結費用の調査は今後の国際比較において重要である。また、患者が正確な情報にアクセスするための医療施設のウェブ記載基準が海外の学会で定められている。今回の調査により、今後その様な基準を国内で検討する際の基盤となる結果が初めて明らかになった。

参考URL

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2405844023062825

参考画像

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