法医科学

組織紹介

医学専攻 社会環境医学系:法医科学講座の概要

構成員の紹介

教授 早川 輝 Akira HAYAKAWA
助教 大谷 真紀 Maki OHTANI
技術専門員 松尾 悠平 Yuhei MATSUO
 

教育と研究の概要

主な担当授業

当講座では、法医学の専門知識を基礎から臨床応用まで体系的に学ぶことができるよう、学部・大学院を通じて多彩な教育プログラムを提供しています。

主な学部の授業
• 講義科目
 1年次「臨床医学入門」)
 4年次「人の死・死と法」、「医療における安全性確保」
 5年次「医学医療総合講義」
• 実習科目
 3年次「研究配属」
 4年次「社会医学実習:講義「人の死・死と法」に含む」
 5年次「臨床実習CC2-法医解剖実習-」
主な大学院の授業
 「法医科学・実習」、「臨床医学研究概論」、「最新医科学研究」

主な研究対象

• 法医解剖症例の検討
• 法医画像診断(死後CTなど)に関する研究
• 心臓性突然死の病理学的・分子生物学的研究
• 低体温症における分子メカニズムの解明
• 法歯学に基づく身元識別技術法の開発

医学専攻 社会環境医学系:法医科学講座の概要

 秋田県内において、年間150~250件の法医解剖(司法解剖・承諾解剖・死因調査法解剖)を受託し、死因診断や鑑定を通じて地域社会に大きく貢献しています。解剖前にはすべての症例で死後CT撮影を行い、解剖所見と画像所見を総合的に評価しています。また、専門の法歯学医による歯科所見の採取とレントゲン検査も実施しており、身元不明遺体の個人識別にも対応しています。

法医学は「死」を扱う学問と思われがちですが、犯罪被害者や被虐待児に対する生体検査も重要な業務の一つです。

教育面では、学生が実際の症例から深く学べるよう工夫しています。特に3年次の「研究配属」や5年次の「臨床実習」では、夜間や休日を問わずに実施される法医解剖への参加や、興味のある症例の検討・症例発表を行い、希望者は国内外の学会での発表や学術雑誌への論文投稿も行っています。さらに、他大学の法医学講座と合同で勉強会や症例検討会を定期的に開催し、多様な人材育成を推進しています。

研究面では、当講座では、法医解剖や損傷検査など、現場で得られる症例を通じて明らかとなった課題に対する研究を重視しています。従来は経験や主観に頼ってきた判断についても、客観的かつ科学的な評価を導入することで、診断の精度向上を目指しています。
具体的には
• 超急性期心筋梗塞の診断に有用な分子マーカーの探索
• 偶発性低体温症における腎臓尿細管への脂肪蓄積機序の解明
• 死後画像(CT)を用いた迅速かつ精度の高い個人識別法の開発
といった研究を展開しています。
また、法医解剖室には、平成22年よりCT装置が導入されており、放射線医学講座と連携した法医CTカンファレンスも定期開催しています。これにより、診断力を高めるだけでなく、新たな研究テーマの創出にもつながっています。


ご遺族の皆様へ

お身内の突然のご不幸に心からお悔やみ申し上げます

1.鑑定
 秋田大学大学院医学系研究科法医科学講座(以下、当講座)では、警察や海上保安庁などの司法機関からの依頼に基づき、亡くなられた方の死因診断や個人識別を行っております(鑑定)。
 死因診断には、体の表面だけでなく、体の内部の詳細な検査が必要です。そのため、頭部・胸部・腹部の内部を調べ、臓器を含む詳細な解剖検査を実施します。必要に応じて、背中や四肢の内部も確認して、骨折の有無などを調べます。また、当講座では解剖前にコンピューター断層撮影(CT)などの画像検査を行い、診断の補助にしています。
 死因診断や個人識別には、解剖検査に加えて、血液検査・尿検査・病理組織学検査・薬物検査・DNA検査などさまざまな検査を実施します。そのため、解剖時には必要に応じて血液・尿・臓器などの一部を採取し、追加検査や再検査のために一定期間保存します。これらの検査資料は、適切な管理のもと、当大学の責任で火葬に付されます。
 これらの鑑定は、死体解剖保存法や刑事訴訟法などの法令に基づいて実施されています。

2.研究・教育
 当講座では、亡くなられた方の死因診断や個人識別を行う目的に加えて、医学研究および医学部学生への教育も行っております。この一環として、当講座で保存されている血液や組織などの検体の一部、およびCTなどの画像検査データを、研究や教育に使用することがあります。
 また、死因究明や個人識別は、亡くなられた方の人権を擁護するだけでなく、事件や事故、病気の再発防止に貢献し、社会の安全や福祉の向上に寄与します。当講座では、社会的に意義のある事例について、
学会発表や学術雑誌での論文報告を行うことがあります。この際には、以下の点に十分配慮します。
• 亡くなられた方が特定されるような情報は完全に除去し、匿名化を徹底することで、プライバシーの保護と人権の擁護を最大限に考慮致します。
• 必要に応じて、当大学の倫理委員会の審査を受けます。
• 採取された血液や臓器などは、当講座で一定期間保存のうえ、当大学の責任で火葬に付されます。
• ご遺族の経済的負担が生じることは一切ありません。
 以上の趣旨をご理解いただき、医学研究や教育、事故の再発防止などの社会還元にご協力をお願いいたします。
 なお、ご協力に同意されない場合や不明点がある場合は、当講座までお問い合わせください<Fax:018-836-2610 E-mail:forensic2(アットマーク)med.akita-u.ac.jp>。また、ご協力に同意されなくても、亡くなられた方やご遺族に不利益が生じることは一切ありません。

3.解剖結果
 司法解剖および死因身元調査法解剖の場合は、嘱託が司法機関であり、ご遺族からのお問い合わせの窓口はすべて嘱託先の司法機関となります。
 解剖結果に関するお問い合わせは、担当の警察署または海上保安部などにお問い合わせください。