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生殖内分泌

生殖内分泌分野では不妊症、不育症をはじめとして、思春期の異常、排卵障害、性分化異常などに対して専門的な診断・治療を行っております。また、それらの疾患に対する生殖補助技術(体外受精、顕微授精、凍結受精卵など)や腹腔鏡下手術(内膜症、子宮筋腫、レーザー多孔術、FTカテーテルなど)も精力的に行っております。以下に不妊症、不育症の実際について説明します。

不妊症

婦人科良性疾患の頻度の高いものとして、子宮筋腫、卵巣のう腫、性器脱、子宮内膜症などがあります。これら疾患の治療法は、大きく分けて経過観察・薬物療法・手術療法などがあります。これら治療法の選択は、患者さんと担当医師とで十分なコミュニケーションをとったうえで、患者さんの年齢・妊孕能温存の希望の有無・臨床症状などを十分考慮したうえで治療方針を決めます。以下それぞれの疾患について現在私たちが行っている治療法について説明します。

診断

受診される前にできれば2ヶ月程度、ご自分で基礎体温を測定し、記録してください。検査としては以下の検査があります。

1.ホルモン検査

月経3~5日目に採血でホルモン値を測定します。排卵障害の有無、原因等が分かります。

2.子宮卵管造影

月経10日以内に検査します。この検査は予約制で火曜日、木曜日の午後1時30分から行います。また、翌日、午前中にもレントゲン撮影があります。子宮の形状、卵管の通過性、骨盤内の癒着等が分かります。

3.精液検査

数日の禁欲期間の後、検査します。時期は問いません。

4.性交後試験

月排卵期に検査します。検査前日ないし当日の朝、性交し、子宮頸管粘液中の精子の運動性等について検査します。夫の精子に対する抗体の有無が分かります。

5.その他

子宮鏡検査:子宮内膜ポリープや粘膜下子宮筋腫などが疑われる場合に行います。  腹腔鏡検査:全身麻酔下にお腹に小さな孔をあけて内視鏡を挿入し、骨盤内を直接診察します。

治療方法

不妊原因ごとに治療方法は異なりますが、一般的にはタイミング指導、配偶者間人工授精(AIH)、体外受精胚移植法(IVF-ET)とステップアップしていく事になります。くわしくは、体外受精胚移植法のくわしい説明PDF)、料金等の情報PDF)をごらんください(PDFを閲覧するにはAdobe Reader等のPDFリーダが必要です)。

1.タイミング指導

排卵前に超音波検査などで排卵日を予測し、できるだけ排卵日近くで性交するように指導します。

2.配偶者間人工授精

排卵前に超音波検査で排卵日を予測し、性交をする代わりに精液から精子を分離抽出し、精子のみを子宮内に注入します。

3.体外受精胚移植法

卵巣から卵子を取り出し、培養液内で精子を受精させたのちに受精卵を子宮内に戻す方法です。

  1. 顕微授精:通常の体外受精では卵子と精子を培養液内に混ぜておくだけで受精は起こりますが、精子濃度が低い場合などでは、混ぜておくだけでは受精しないことがあります。このような場合に細い針で精子を直接、卵子内に注入します。くわしい内容はこちらPDF)をごらんください。
  2. 凍結胚移植:新鮮胚移植時に余剰胚がある場合や子宮内膜が薄い場合、卵巣過剰刺激症候群を回避する場合などに胚をガラス化法にて凍結保存します。 
    この凍結胚を融解し子宮内に移植します。くわしい内容はこちらPDF)をごらんください。
  3. 胚盤胞移植(長期培養、胞胚期移植):4細胞期胚を長期培養液に移し、さらに3日間程度培養することで受精卵は胞胚期になります。この胞胚期胚を移植する方法です。くわしい内容はこちらPDF)をごらんください。

具体的治療法

いくつかの疾患について具体的な治療方法を示します。

子宮内膜症

1.多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovarian syndrome:PCOS)

自覚症状としては月経不順があります。超音波検査で卵巣に小さな嚢胞がたくさんあることやホルモン検査での異常値で診断します。PCOSでは排卵が障害されていることがありますので、排卵を起すために排卵誘発剤の内服薬(クロミッド)や注射剤(ヒト閉経後ゴナドトロピン)を使います。また、腹腔鏡で卵巣に孔をあける手術(腹腔鏡下卵巣多孔術)を行うこともあります。

2.子宮内膜症

子宮内膜症は自覚症状としては強度の月経痛、排便痛、性交痛、慢性骨盤痛などがあります。超音波検査で卵巣にチョコレート嚢胞が認められた場合、GnRHaなどの薬物療法は行わずに、内視鏡下手術を行っております。その際には核出術やアルコール固定術を選択しています。手術後、2年以内に30%くらいの方が妊娠しています。それでも妊娠しない場合、体外受精胚移植法を勧めています。

3.男性因子

精液検査では精子濃度2000万/ml以上、運動率50%以上が正常とされています。しかし、この基準以下では妊孕性が全くないというわけではありません。泌尿器科での診察で異常が認められなければ、配偶者間人工授精を行います。それでも妊娠に至らなければ、体外受精胚移植法を勧めています。無精子症でも精巣内で造精能が確認できれば、精巣から直接精子を採取し、体外受精(顕微授精)で妊娠することも可能です。

4.原因不明不妊(機能性不妊)

検査で異常が認められないにも関わらず、長期間、妊娠しない場合の方に対しては、タイミング指導から始め、配偶者間人工授精、体外受精胚移植法と行っていきます。

治療成績

1.配偶者間人工授精(AIH)

2001年から2003年の2年間に原因不明不妊に対して行った70症例の治療成績は70症例中16例(23%)が妊娠しました。1回あたりの妊娠率は約7%でした。妊娠症例は6回以内に妊娠していました。

2.体外受精

治療成績は不妊原因や年齢によって異なりますが、およそ25%です。40歳以上の妊娠率は低くなっています。

下表は年齢層毎の治療成績です.(2007年1月~12月)

年代 刺激周期数 採卵周期数 移植周期数 妊娠数 妊娠率
(対採卵周期)
妊娠率
(対移植周期)
30歳未満 22 22 12 5 22.7% 41.7%
35歳未満 90 83 58 25 30.1% 43.1%
40歳未満 125 118 80 31 26.3% 38.8%
45歳未満 59 49 28 8 16.3% 28.6%
50歳未満 5 5 2 0 0.0% 0.0%
合計 301 277 180 69 24.9% 38.3%
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不育症

不育症とは、妊娠をするものの胎児が育たないで流産・早産してしまう場合を言います。また、連続して2回流産した場合を反復流産、3回流産した場合を習慣流産とも言います。当科ではその原因精査と治療を行っています。

原因

  1. 子宮の形態異常(癒着・子宮奇形)
  2. 内分泌機能異常
  3. 染色体異常
  4. 抗リン脂質抗体
  5. 血液凝固異常
  6. 同種免疫異常

治療は原因にあわせて内分泌療法、低用量アスピリン療法、手術療法などの治療方法を選択しています。

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