医学部6年生:青木亮也さんの原著論文(R7)
How many truck drivers would have sleep disorders? : Investigation on lifestyle and stress on insomnia among Japanese male truck drivers.
Aoki R, Miyachi T, Sugano Y, Kanke C, Yamazaki T, Mishima K, Nomura K.
Journal of Occupational Health 【 PubMed 】
博士課程大学院生:山崎貞一郎さんの原著論文(R6)
Association between the number of deliveries and cognitive impairment considering the presence of subclinical cerebrovascular diseases: the Ohasama study.
Yamazaki T, Nomura K, Satoh M, Hara A, Tsubota-Utsugi M, Murakami T, Asayama K, Tatsumi Y, Kobayashi Y, Hirose T, Inoue R, Totsune T, Kikuya M, Metoki H, Hozawa A, Imai Y, Ohkubo T.
Tohoku Journal of Experimental Medicine. 2024 Nov 28. DOI: 10.1620/tjem.2024.J139. Online ahead of print. 【 PubMed 】

画像を拡大
対象は1998年の出産回数聴取時に55歳以上だった女性627人とした。出産回数は「0または1回」「2回」「3回」「4回以上」の4群に分類した。認知機能はMini-Mental State Examination(MMSE)で測定し、28点以上を「正常」、27点から24点を「軽度認知機能障害」、23点以下を「重度認知機能障害」と3群に分類し順序変数として扱った。SCDsは頭部MRIと頸動脈超音波により測定した、ラクナ梗塞の有無、脳白質病変の有無、頸動脈プラークの有無、頸動脈内膜中膜厚の4変数とした。共変量は、出生年(5分位)、MMSE測定時年齢、body mass index、教育歴、喫煙歴、飲酒歴、高血圧・糖尿病・脂質異常症の既往、心血管疾患の既往を用いた。統計解析は、MMSE(3群)をアウトカム変数とした順序ロジスティック回帰モデルを用い、出産回数2回を基準群として、各群の認知機能障害の多変量調整オッズ比と95%信頼区間を推定した。この多変量モデルにSCDsの4変数を追加投入し解析することで、出産回数と認知機能障害との関連におけるSCDsの媒介を検討した。
結果として、出産回数2回に対する出産回数0または1回で有意に認知機能障害のオッズが高いという関連が観察された。出産回数4回以上も2回に比べ、オッズが高かったが有意ではなかった。また、出産回数と認知機能障害との関連に二次曲線的な関連を認めた(線形傾向のP値 0.862, 二次傾向のP値 0.006)。SCDsの4変数を追加して解析したところ、追加前後で推定値はほとんど変化しなかった。
本研究の結果、出産回数2回比べ、0または1回の場合、認知機能障害を有する割合が高いという関連を認めた。また、SCDsはこの関連を媒介しているとは言えなかった。出産回数と認知機能との関連について、先行研究では出産回数の背景にある種々の社会経済的要因や時代の影響が交絡因子となっている可能性が指摘されており、本研究が横断研究であることも考慮すると因果関係については言及できない。関連の因果性やメカニズムについて、今後さらなる検討が必要である。
博士課程大学院生:森川梢さんの原著論文(R6)
Sociodemographic and environmental characteristics associated with thoughts of death and suicidal ideation in community-dwelling residents of a rural town in Japan: Analyses from a perspective of accompanying problems.
Morikawa K, Nomura K, Onozawa D, Sasaki H, Morikawa Y.
BMC Public Health. 2024 Apr 23;24(1):1130. doi: 10.1186/s12889-024-18538-2. 【 PubMed 】

画像を拡大
秋田県A町の20歳以上の住民1844名を対象に、過去1ヵ月間の自殺念慮に関する調査を行い、人間関係問題(HRP)、健康問題(HP)、経済問題(FP)の問題を伴うモデル、全体的なモデルにおいて検討したところ、それぞれの問題ごとにリスクファクターと予防的因子について特徴的な結果が得られた。自殺念慮を持つ218名のうち、人間関係(n=104)、健康(n=112)、経済(n=72)に問題を抱えていることに着目し、それぞれの原因別に自殺念慮のリスクと予防因子について分析した。
その結果、自殺念慮のリスクになる因子として、全体では「抑うつ傾向」、「女性」、「現在喫煙」、「周囲での自殺を見聞きしたことがある」、「家族に相談できるひとがいない」、人間関係に問題をもつ人においては「抑うつ傾向」、「家族に相談できるひとがいない」、健康問題を持つ人においては、「抑うつ傾向」、「周囲での自殺を見聞きしたことがある」、経済的に問題を持つ人においては「抑うつ傾向」、「周囲での自殺を見聞きしたことがある」「助けを求める人が誰もいない」であった。一方予防因子は全部のモデルに共通で、「楽観主義」であり、人間関係に問題のある人では、70歳以上になると、むしろ、自殺念慮のリスクが低くなった。
これらの結果から、自殺対策における、原因別アプローチの有用性が確認できた。
医学部6年生:大関千潤さんの原著論文(R6)
Changes in menstrual symptoms and work productivity after checklist-based education for premenstrual syndrome: an 8-month follow-up of a single-arm study in Japan.
Ozeki C, Maeda E, Hiraike O, Nomura K, Osuga Y.
BMC Womens Health. 2024 Apr 15;24(1):242. doi: 10.1186/s12905-024-03067-2. 【 PubMed 】
博士課程大学院生:竹之下真一先生の原著論文(R5)
Scale Development for "Great Research Mentors" and Its Relationship to Mentees' Psychological Burnout in Young Physician Researchers.
Takenoshita S, Iwakura M, Nagasawa T, Nomura K.
Tohoku Journal of Experimental Medicine. 2023 Dec 21. doi: 10.1620/tjem.2023.J102. Online ahead of print. 【 PubMed 】
日本の医学研究のレベルを向上させるためには、若手研究者の研究能力を育成することが不可欠である。我々は、メンティの心理的バーンアウトのリスク低下に関連するメンターの特性を明らかにすることを目的とした。医師、研究者、看護師などの医療従事者からなるタスクチームが、研究指導者の特性に関連する35項目を作成した。2015年に、2014年から2015年の間に新規の若手科学研究助成金を獲得した医師研究者258人を募集し、35項目を5段階のリッカート尺度で採点してもらった。因子分析を用いて大規模な研究指導者尺度を開発し、開発した尺度のどの特徴(すなわちドメイン)が、コペンハーゲン燃え尽き症候群目録(Copenhagen Burnout Inventory)で測定した心理的燃え尽き症候群のレベルの低下と関連するかを調査した。バリマックス回転を用いた最尤因子分析の結果、16項目からなる3つのドメインが見出された。3つのドメインは、「良好な信頼関係の構築」(6項目、クロンバックのα=0.889)、「研究におけるメンターシップ」(6項目、α=0.853)、「確立され、公認されたメンター」(3項目、α=0.882)とラベル付けされた。多変量線形回帰モデルにより、「研究におけるメンターシップ」は、個人的バーンアウト(PBO)(β=-6.25、p=0.014)および仕事関連バーンアウト(WBO)(β=-4.76、p=0.029)と逆相関し、「良好な信頼関係の構築」は、クライアント(顧客)バーンアウト(PBO)と逆相関することが示された。優れた研究指導者は、研究でのメンターシップや、メンタルヘルスサポートのためのメンティーとの信頼関係を持つことでメンティーの精神疲労度を低下する可能性が示唆された。
医学部4年生:安藤友華さんの原著論文(R5)
The Relationship between Insomnia and Lifestyle-related Diseases among Japanese Male Truck Drivers.
Tomoka Ando, Takashi Miyachi, Yuta Sugano, Makoto Kamatsuka, Kazuo Mishima, Kyoko Nomura.
Tohoku Journal of Experimental Medicine. 2023 Sep 6;261(1):1-11. doi: 10.1620/tjem.2023.J052. Epub 2023 Jun 22. 【 PubMed 】
秋田県トラック協会支部に所属するドライバー調査の医療保険レセプトを用いた分析からまとめた論文。ドライバーが一般集団に比べて不眠症が多く(13.2%)、不眠症があると他の生活習慣病のリスクも高くなることを明らかにした。またドライバーにおいては、一般集団に比べて、高血圧 17.3%、脂質異常症28.1%、糖尿病31.0%についても有病率が高いことを報告した。医学部5年生:太田友さんの原著論文(R4)
Influence of LINE-Assisted Provision of Information about Human Papillomavirus and Cervical Cancer Prevention on HPV Vaccine Intention: A Randomized Controlled Trial.
Yu Ota, Kyoko Nomura, Nozomi Fujita, Tomoya Suzuki, Makoto Kamatsuka, Natsuya Sakata, Kengo Nagashima, Junko Hirayama, Naoko Fujita, Kuniko Shiga, Noriaki Oyama and Yukihiro Terada.
Vaccines. 2022 Nov 24;10(12):2005. doi: 10.3390/vaccines10122005. 【 PubMed 】
我々はランダム化比較試験(RCT)により(1)HPV関連情報を提供する際の媒体(LINE群 vs. 郵送群)による効果および(2)SNSのより有効な情報提供の方法としてLINEを用いた頻回な介入と会話の場の提供(LINE-assisted intervention群vs. 無介入群)による効果を秋田県内の4大学の学生を対象に検討しました.1回目介入後調査では,LINE群と郵送群では,接種意思(51% vs. 40%)および知識,ヘルスリテラシー,HBMに有意差を認めませんでしたが,群内比較ではLINE群において接種意思および知識・ヘルスリテラシー・HBM(罹患性・重大性)のレベルが向上し,郵送群では知識およびヘルスリテラシー・HBM(罹患性・重大性)が向上していました.LINE,郵送ともに情報提供の効果を認めました.これらのことから,LINEと郵送という媒体の違いによらず両者とも知識・ヘルスリテラシー・HBM(罹患性・重大性)の向上を促すことが示されましたが,LINE群では知識およびヘルスリテラシー・HBM(罹患性・重大性)に加えて接種意思が向上しており,LINEを用いた情報の提供がより効果的と考えられます.さらに2回目介入後調査では, LINE-assisted intervention群において接種意思(66% vs. 44%)が向上していました.このことから,頻回な介入と会話の場の提供を行うことはSNSのより有効な利用方法であると考えられます.
日本では,2013年から2021年にかけて,ヒトパピローマウイルスワクチン(HPVワクチン)の積極的勧奨が差し控えられていましたが,2022年4月に積極的勧奨が再開されました.積極的勧奨差し控えの期間にHPVワクチン接種を逃した方を対象に,2025年までの3年間という期限を設けキャッチアップ接種が行われています.HPVワクチン接種率向上に向けてSNSを活用した啓発活動が必要と考えられます.
医学部6年生:鈴木智也さんが筆頭著者となる原著論文(R4)
HPV vaccine intention among university students during suspension of active recommendation in Japan.
Suzuki T, Ota Y, Sakata N, Fujita N, Kamatsuka M, Nagashima K, Hirayama J, Fujita N, Shiga K, Oyama N, Terada Y, Nomura K.
Hum Vaccin Immunother. 2022 Nov 30;18(6):2116900. doi: 10.1080/21645515.2022.2116900. Epub 2022 Sep 15. 【 PubMed 】
日本では,2013年から2021年にかけて,ヒトパピローマウイルスワクチン(以下,HPVワクチン)の副反応の報告により,積極的な勧奨が見送られました.その結果,ワクチン接種率が低くなっており、世代によっては女性の接種率が1%未満との報告があります.本研究では,2020年から2021年にかけて,秋田県内の4大学を対象に学生を募集し,ウェブベースの自記式質問票に回答してもらいました.未接種男女の基礎特性,知識,リテラシー及びヘルスビリーフモデルと,アウトカムであるワクチン接種意向との関連を調べるために,χ二乗検定,t検定及び多変量ロジスティック回帰分析を用いて男女別に統計解析を行いました.合計318名の未接種男女(男性54%,女性46%,平均年齢21歳)が自記式質問票に回答し,「直ちに」ワクチンを受けようと思うと回答したのは6%にとどまり,61%が「受けようと思わない」又は「わからない」と回答しました.HPVワクチンに関連する知識の正答率は,性別に関係なく低い結果となりました(男性41.4% vs. 女性39.6%).
医学部5年生:太田友さんの原著論文(R4)
Relationship between somatic symptoms with menstruation and intention to leave work among university hospital nurses in Japan: A cross-sectional study.
Yu Ota, Kyoko Nomura, Junko Hirayama, Eri Maeda, Junko Komatsu, Mio Nakamura, Rouko Yamada, Hitomi Ishikawa, Teiko Kobayashi, Hideko Shirakawa, Kozo Aisaka, Mariko Ono, Haruko Hiraike, Osamu Hiraike, and Hiroko Okinaga.
International Archives of Occupational and Environmental Health. 2023 Jan;96(1):155-166. doi: 10.1007/s00420-022-01905-0. Epub 2022 Aug 1. 【 PubMed 】
日本国内の二つの大学病院に勤務する看護師を対象にした性周期に伴う月経随伴症状による労働生産性を明らかにした研究月経附随症状(月経前症候群)がある人はない人に比べ有意に離職意向が高かったとする論文です。このことより、月経前症候群は女性就労継続を妨げる可能性があり、投薬による加療など何らかの対処が必要であると示唆できます。
秋田大学医学部OB研修医 宮地貴士先生と 医学部3年生 菅野勇太さんらの原著論文(R4)
COVID-19 Vaccine Intention and Knowledge, Literacy, and Health Beliefs Among Japanese University Students.
Takashi Miyachi, Yuta Sugano, Shizune Tanaka, Junko Hirayama, Fumio Yamamoto and Kyoko Nomura.
Vaccines. 2022 Jun 2;10(6):893. doi: 10.3390/vaccines10060893. 【 PubMed 】
大学生における新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の意思について、行動変容理論の一つであるヘルスビリーフモデルがどのようにかかわっているのか検討した論文約56.7%の学生が積極的な接種意思を持っていた。多項ロジスティック回帰モデルによる分析では、医療コースであること、生命を脅かす・社会的に重大な影響が及ぶという疾患重大性を認知していること、ワクチンによる感染予防の恩恵を認知していることが積極的意思と有意に関連した。一方で、副反応,面倒くさい,親の不同意は,接種意思と負の関連を認めた。学生のワクチン接種率を向上させるための公衆衛生の戦略には,ワクチンの安全性と有効性に関する正確な情報を若者に提供すると同時に,ワクチン接種に対するあらゆる障壁を取り除く(接種しやすい環境を準備する等)ことが必要である。
医学部5年生:鈴木智也さんの原著論文(R4)
Relationship between child care exhaustion and breastfeeding type at two and six months in a cohort of 1,210 Japanese mothers.
Tomoya Suzuki, Keisuke Nojiri, Satoshi Higurashi, Yuta Tsujimori, Yasuhiro Toba, Kyoko Nomura.
Nutrients. 2022 Mar 8;14(6):1138. doi: 10.3390/nu14061138. 【 PubMed 】
メグミルク・雪印ビーンスタークとの共同研究WHOやUNICEFでは完全母乳による育児を最低6か月は推奨していますが、我が国を含む先進国では6か月の母乳育児率は50%を下回っています。本研究では分娩後2か月の完全母乳の樹立時に母親の育児ストレスが完全母乳樹立に負の影響を与えていることを明らかにした論文で、この時期の母親の育児ストレスを緩和することで母乳栄養を継続できる可能性を示唆しています。