Department of Environmental Health Science and Public Health, Akita University Graduate School of Medicine

秋田大学大学院医学系研究科 社会環境医学系

衛生学・公衆衛生学講座

教 育

大学院・社会人教育

教育理念


  1. 秋田県が抱える健康に関連した社会問題を解決できるリーダーを育成する。
  2. 臨床の枠にとどまらず、社会に貢献できるような人材の育成する。
  3. 男女共同参画を含めたダイバーシティ(多様性)を受け入れられるバランスの取れた人材を育成する。
  4. 国際的に科学的根拠 (Evidence based medicine) を発信できる研究力を養う。
  5. 対策立案につながるような意味のある研究を行い、結果を現場に還元することができる人材を育成する。
  6. 学位取得を目的にするのではなく、息の長い研究者になるように育成する。
  7. 協調性を持ち、他人に思いやりをもつことのできる研究者を育成する。

大学院生募集



 秋田県は、我が国で一番の高齢化県となっており、過去20年にも渡り47都道府県で自殺率がずっと首位にいることや、塩分摂取量が多く、そのため脳卒中やがん、特に消化器系のがんが多い等、社会健康上の問題がたくさんあります。 この背景には、風土や県民性、社会経済的な背景が強く影響を及ぼしています。
 このような問題を解決するために、公衆衛生学は切り札となる可能性があります。 公衆衛生は社会全般の集団の健康を支えるため、研究というツールを用いてエビデンスを造り、そのエビデンスに基づいた政策を行うことで現場をよくする学問です。 生活習慣病、メンタルヘルス、少子高齢化など幅広い分野を学べることに加え、官(行政、自治体、県庁)、民(民間企業、NPO法人など)、学(大学)、報(メディア)が連携しており、エビデンスを現場に戻すことがやりやすいところです。
 公衆衛生を学ぶのであれば、秋田県ほど、やりがいのある場所はありません。 是非、一緒に、生きた公衆衛生を学んでみませんか? 大学院生講義は遠隔で受講可能です。 東京やその他の土地に住みながら秋田県で大学院生ができます。

【 問い合わせ先 】
  秋田大学大学院医学系研究科 衛生学・公衆衛生学講座 教授 野村 恭子
  〒010-8543 秋田県秋田市本道1-1-1
  電話 018-884-6087(代表), 018-884-6086(直通)
  Fax 018-836-2609
  Email:knomura**med.akita-u.ac.jp(**を@に変えてください)

ジャーナルクラブ(社会人対応)



疫学研究の批判的吟味について学ぶ大学院講義「ジャーナルクラブ」への参加により,疫学研究論文を学ぶ。
大学院生の発表を録画配信で視聴することにより、論文の読み方を学ぶ。

修士課程講義


1.基礎科目

1.1 「基礎医学英語」 1コマ 対面

  担当教員:野村 恭子
当講座所属の外国人留学生と共に論文の読み方を学ぶ。


2.専門科目・社会医学系

2.1 「臨床疫学研究の実際」 10コマ Webclass(遠隔・オンデマンド)

  担当教員:野村 恭子
  1. 臨床疫学研究の基本的考え方 ~仮説の立て方~
  2. 文献検索の仕方
  3. 論文の書き方
  4. 統計手法の選択
  5. 生存分析
  6. データセットの作成方法
  7. 統計ソフトいろいろデモンストレーション(Stata, Python, SASなど)
  8. 臨床とフィールド疫学研究の実際(1)
  9. 臨床とフィールド疫学研究の実際(2)
  10. 臨床とフィールド疫学研究の実際(3)


2.2 「地域医療政策と環境保健」 8コマ 1-2 対面、3-8 Webclass(遠隔・オンデマンド)

  担当教員:野村 恭子、山崎貞一郎、ヨン ロザリン
  1. オリエンテーション:公衆衛生概論
  2. 精神保健:地域の社会復帰に関するエンパワーメント
  3. 環境保健総論
  4. 産業保健総論
  5. 環境保健各論 1. 空気と水
  6. 環境保健各論 2. 物理的環境
  7. 医療・保健制度
  8. 生活習慣と社会的健康決定因子


2.3 「データサイエンス:生物統計」 10コマ Webclass(遠隔・オンデマンド)

  担当教員:野村 恭子
  1. データの要約方法
  2. 連続量データの比較(t検定,Wilcoxon検定)
  3. 離散量データの比較(χ2検定)
  4. 関連性の検討(相関と回帰)
  5. 多変量有意性検定(一元配置分散分析,二元配置分散分析,多重比較法ほか)
  6. 加齢による影響の除去方法(重回帰分析,Mantel-Haenszel検定ほか)
  7. 多変量解析(生存分析,多重ロジスティック回帰分析ほか)
  演習
  1. デモンストレーション
  2. 応用例
  3. 生存分析


2.4 「疫学研究」 8コマ Webclass(遠隔・オンデマンド)

  担当教員:野村 恭子
  1. 疫学研究デザイン,EBMとPICO
  2. 横断研究
  3. Case Control Study
  4. Cohort Study
  5. RCT
  6. スクリーニング検査
  7. メタアナリシス
  8. 質的研究と混合手法


2.5 「メンタルヘルス実践学」 7コマ Webclass(遠隔・オンデマンド)

  担当教員:野村 恭子
  1. ストレスと行動科学
  2. 公衆衛生学領域で重要な精神疾患(竹内 武昭)
  3. 大学におけるメンタルヘルス対策:コロナ禍における秋田大学の取り組み
  4. 大学におけるメンタルヘルス対策:自殺のゲートキーパー(1)動画
  5. 大学におけるメンタルヘルス対策:自殺のゲートキーパー(2)効果検証
  6. 職場におけるメンタルヘルス対策:過重労働とうつ
  7. 地域における高齢者メンタルヘルス対策:社会的孤立


3.専門科目

3.1 「医科学特別課題研究」

  担当教員:野村 恭子
様々な社会医学の課題、公衆衛生学的課題,少子高齢化,脳血管障害やがん対策に資する疫学研究を計画し,学会発表,ならびに論文化を目指す。その他,個別の関心等によりテーマを選択することも相談のうえ認めることがある。


博士課程講義


1.クラスター共通基礎科目

1.1 「医用統計疫学基礎・演習」 10コマ
  Webclass(遠隔・オンデマンド):講義・実習1-7、演習8-10

  担当教員:野村 恭子
  1. 医学研究に必要な生物統計 序論
  2. 医療統計概論
  3. データの要約統計<課題1>
  4. 連続量データの比較(t検定,Wilcoxon検定)<課題2>
  5. 一元二元配置分散分析,多重比較法ほか<課題3>
  6. 比率の検定、ロジスティック回帰モデル<課題4>
  7. 回帰と相関、重回帰モデル<課題5>
  演習
  1. デモンストレーション
  2. 応用例
  3. 演習 生存分析

<授業の概要> 根拠に基づく医療(EBM)の根拠とは,疫学(Epidemiology)から得られる結果を指し,動物実験(Experiment) から得られる結果ではない。このため,臨床疫学と医学統計を理解し,自らヒト集団のデータから因果関係を推定できるようになる必要がある。基礎統計から多変量解析を講義とコンピュータ演習で行う。
 また,臨床疫学は厳密な科学的方法を用いて,同じような疾病を有する患者群で臨床的事象の発生頻度を測定することにより,個々の患者における予測を行う科学である。この目的は系統的誤差や偶然による誤った判断を避けることで,妥当な結論を導き出すための臨床的観察方法を開発し応用することである。


1.2 医科学研究セミナー「疫学研究論文の批判的吟味」 7コマ
  Webclass(遠隔・オンデマンド):1-4、Zoom:5-7
  個別指導+オンラインによる録画配信

  担当教員:野村 恭子
  1. ジャーナルクラブオリエンテーション
  2. CONSORT を用いた批判的吟味の方法
  3. STROBE を用いた批判的吟味の方法
  4. PRISMA を用いた批判的吟味の方法
  5. 担当者決めとCQのブレインストーミング 1
  6. 担当者決めとCQのブレインストーミング 2
  7. 発表会 録画配信

<授業の概要> 5月~6月にかけて履修参加者に日程調整を行い2~3回に分けてミーテイングを行う。ミーテイングの内容は、各自の関心のある研究についてPI(E)COを通じて検索用語をたて、PubMedにて文献検索を行う。エビデンスの高い論文一つを選択し、観察研究であればSTROBE、介入研究であればCONSORT、システマティックレビュー及びメタアナリシスであればPRISMAを用いて批判的吟味を行う。準備ができたら、担当教員(ブレインストーミング時に決めます)に個別に連絡をとり、発表会を行う。担当教員は発表会を録画し、ジャーナルクラブのMLへ配信する。web classにあるジャーナルクラブオリエンテーションは最初に視聴しておくこと。


2.社会医学系クラスター

2.1 「SASを用いた統計プログラムの書き方と実践」 9コマ Webclass(遠隔・オンデマンド)

  担当教員:野村 恭子
  1. データセットの読み込み
  2. 基本的なプログラムの書き方と連続変数と要約統計量
  3. t検定、one-way ANOVA検定
  4. 相関係数の求め方
  5. カイ二乗検定, フィッシャーの正確検定
  6. ロジスティック回帰分析
  7. 線形回帰分析
  8. 生存分析
  9. マクロプログラムの作り方

<授業の概要> 統計ソフトは昨今多種多様で提供されるが、実際に自分でプログラムを書いて理解することで、様々な種類の統計ソフトを自由自在に使いこなせるようになる。これが本科目の狙いである。またSASは医学論文の領域で最も汎用性が高く、研究者からの信頼も厚い。プログラムも無数にオープンになっている。本講座では実践ということで、各種プログラムを自分で書いて、回すことで生物統計の基本的な理解を促進する。またすぐにでも論文ができるように、ロジステック回帰モデルと線形回帰モデルについて多変量解析までプログラムを実際に回してみる。SASは個人PCへインストーラーを配布して用いる。


2.2 「臨床疫学研究」 10コマ Webclass(遠隔・オンデマンド)

  担当教員:野村 恭子
  1. 臨床疫学研究の基本的考え方 ~仮説の立て方~
  2. 文献検索の仕方
  3. 論文の書き方
  4. 統計手法の選択
  5. 生存分析
  6. データセットの作成方法
  7. 統計ソフトいろいろデモンストレーション(Stata, Python, SASなど)
  8. 臨床とフィールド疫学研究の実際(1)
  9. 臨床とフィールド疫学研究の実際(2)
  10. 臨床とフィールド疫学研究の実際(3)

<授業の概要> 疫学研究として集団を対象に因果関係について統計処理にて検証を行う方法について、仮説の立て方、文献検索の仕方、PubMedを中心に、キーワードの設定方法、Meshの調べ方、文献検索用語の立て方について学ぶ。次に論文の書き方、仮説検証のためどの統計手法を選択すればいのか、概観する。最後に臨床疫学研究でよく使用される生存分析について、説明する。その後に、実際のデータセットの作成方法、各種統計ソフト(Stata, Python, SASなど)について簡単にデモンストレーションをして、それぞれの統計ソフトの特徴について学。最後に、実際の臨床現場における疫学研究の実際として、3領域の実例について紹介する。


3.地域健康増進系クラスター

3.1 「秋田県生活習慣病対策と公衆衛生学的研究の実践」 7コマ Web会議

  担当教員:野村 恭子
  1. 実習(院生用メーリングリストにて連絡)

<授業の概要> 秋田県国民保健連絡協議会あるいは衛生学公衆衛生学講座の教室セイナー(Web開催)に参加し,受診勧奨、糖尿病重症化予防、生活習慣病対策、メンタルヘルス対策、高血圧への予防介入等について全般的に学ぶ。


3.2 「労働衛生」 実習

  担当教員:野村 恭子
  1. 実習(3日間、JRは毎月、秋田県警本部は年5回程度あり、院生用メーリスで連絡します。)

<授業の概要> 職場見学(JR車両工場、JR秋田駅、JR清掃部門、秋田県警本部、等から3か所程度)を行う。
各事業所について下記の項目を中心に、教員とのディスカッションおよびレポート提出を行う。
  1. メンタルヘルス対策
  2. 感染症対策
  3. リスクアセスメントの実施
  4. 労働災害・通勤災害の予防
  5. 有害化学物質の管理
  6. 騒音対策
  7. 労働衛生の三管理


3.3 「メンタルヘルス実践学」 9コマ Webclass(遠隔・オンデマンド)

  担当教員:野村 恭子
  1. ストレスと行動科学(野村恭子、竹内武昭)
  2. 公衆衛生学領域で重要な精神疾患(野村恭子、竹内武昭)
  3. 大学におけるメンタルヘルス対策:コロナ禍における秋田大学の取り組み
  4. 大学におけるメンタルヘルス対策:自殺のゲートキーパー(1)動画
  5. 大学におけるメンタルヘルス対策:自殺のゲートキーパー(2)効果検証
  6. 職場におけるメンタルヘルス対策:過重労働とうつ
  7. 地域における高齢者メンタルヘルス対策:社会的孤立


3.4 「学術研究から考える少子高齢化対策」 6コマ Webclass(遠隔・オンデマンド)

  担当教員:野村 恭子、前田 恵理
  1. 学術研究から考える超少子高齢化対策
  2. プレコンセプションケア総論
  3. 魚介類摂取とプレコンセプションケア
  4. 日本の不妊治療と日産婦ART-DB
  5. 女性の就労と健康
  6. フレイル予防と健康寿命延伸


3.5 「疫学研究」 8コマ Webclass(遠隔・オンデマンド)

  担当教員:野村 恭子
  1. 疫学研究デザイン,EBMとPICO
  2. 横断研究
  3. Case Control Study
  4. Cohort Study
  5. RCT
  6. スクリーニング検査
  7. メタアナリシス
  8. 質的研究と混合手法

医学部教育

一般教育目標


 公衆衛生全般について医学生として学ぶべき項目を押さえ、社会医学の基礎について学ぶ。医師として、患者さんを包括的に診ることのできる力をつけることを目標とする。

  1. 環境・社会との関わりから健康事象を理解し,対処できる基本的知識・技術・態度を修得する。特に今日の医学・医療を取り巻く状況の変化を理解し,それに対処できる力を身につける。
  2. 集団を対象とした健康事象の把握手法,および因果関係推定の技法であり,根拠に基づく医学・医療 (EBM:Evidence Based Medicine) に必須である疫学を修得することにより,科学的医療を実践する力を身につける。
  3. 予防,診断・治療,社会復帰に関わる社会的取り組み,諸システムを包括的に理解し,それを医学・医療の実践に適用する力を身につける。
  4. 患者や生物学的・社会的弱者の立場を理解した医学・医療を実践できる力を身につける。

医学部2年生


必修 医療・社会・行動科学II

・環境と健康 (Environment and Health)

 社会と健康・疾病の関係や地域医療について理解し、個体および集団を取り巻く環境諸要因の変化による個人の健康と社会生活への影響について学ぶ。


基礎医学アドバンスコース

 検索エンジン pubmed を用いた医学情報収集。PICOの立て方、リサーチクエスチョンの立て方を学ぶ

医学部3年生


必修 医療・社会・行動科学 III

・疫学と予防医学 (Epidemiology and Preventive Medicine) -ヒト集団の健康問題に関する因果関係の推定-

 保健統計の意義と現状、疫学とその応用、疾病の予防について習得する。

・生活習慣病と臨床研究 (Clinical Research and Lifestyle-related Diseases)

 生活習慣(食生活を含む)に関連した疾病の種類、病態と予防治療について学習する 医療の発展における臨床研究の重要性について学習する。

・保健と福祉の制度 (Health and Welfare Policy)

 保健と福祉の制度の概要、発展過程を学習する。


基礎配属 4月~7月

テーマ例

・全国健康保険協会データベース
・がん患者・サバイバー社会的孤立・孤独
・女性の生殖因子と脳容積との関連(大迫研究)
・雪印母乳研究・統計学
・高齢者の社会的処方
・トラック・健康栄養調査