北東北における総合的がん専門医療人養成プラン/平成19年度文部科学省「がんプロフェッショナル養成プラン」採択プログラム

スケジュール

秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻特別講演

安らぎと平和をもたらすケアとは 〜ドイツ・エイズホスピスにみる心のケア〜

ポスターデータ(PDF)
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開催日時
平成21年8月25日(火)18:30〜20:00
演題
安らぎと平和をもたらすケアとは 
〜ドイツ・エイズホスピスにみる心のケア〜
講師
ドイツ初のエイズホスピス・ハウスマリアフリーデン施設長
ティーレ・ケルコヴィウス氏  日本語通訳付
開催場所
秋田大学医学系研究棟4階総6講義室(本道キャンパス内)
受講対象者
大学院医学系研究科保健学専攻1・2年生・教員
秋田大学医学部附属病院医師、コメディカル
秋田県内の看護学生・教員
秋田県内の医療・福祉機関の医師、コメディカル
北東北がんプロの大学院生
申込方法
当日直接会場への参加となります。
参加費用
無料ですので、是非ご参加下さい。
お問い合わせ先
秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻事務室
018-884-6543
電子メール
ganpro@hos.akita-u.ac.jp
レポート

秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻 臨床看護学講座 講師 渡邉知子先生から

去る8月25日、北東北4大学がんプロフェッショナル養成プランとの共催で秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻特別講演「安らぎと平和をもたらすケアとは 〜ドイツ・エイズホスピスにみる心のケア〜」が行われました。講師T・ケルコヴィス氏の講演会中に紹介されたスライドでみる病室の様子は、ペンション等の個室に似た雰囲気であるとともに患者様の嗜好やそれまでの生活背景を強く感じされる空間でした。日本国内でも、様々な施設でホスピス病棟が開設されていますが、多くの施設は、患者様に行う何らかの治療や身体的介助が円滑に提供できること、患者様の身体的安全を確保し行動上の負担が少ないことが重視され、それまでの患者様の生活や嗜好の反映には限界があり、何らかの面で医療が優先されているように思います。

近年、がんを慢性疾患と位置付け、患者自身が生活の中でがんと共生することの必要性が指摘されるとともに、がん基本対策法の施行により、診断直後からの緩和ケアの重要性が強調されています。これらのことは、「病気」を中心として考えるのではなく、人間が社会で生活し、年齢を重ね、いずれは最後の時を迎えるまでの間に「病気」と出合いながらも生活を継続することを意味し、人間の尊厳と生活の重視と考えます。

看護は、「診療の補助」とともに、医学知識を基盤とした生活全般への支援である「療養上の世話」を提供します。また、「医師は病を診る。看護師は人を看る」という言葉があります。これらのことから、緩和ケアやホスピスでの援助は、看護の基本といえます。これらの場面における看護実践が専門性の向上につながるものと思いました。

秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻 臨床看護学講座 教授 米山奈奈子先生から

 安らぎと平和をもたらすケアとは〜ドイツ・エイズホスピスにみる心のケア〜

 ティーレ・ケルコヴィウス先生の講演

ドイツで現在はエイズのみならず、がんや難病・終末期の患者さんに開放されているハウスマリアフリーデンには、利用者にとって安らぎと平和を取り戻すことのできる生活があるといいます。心理士で施設長のケルコヴィウス氏の講演では、すべてのスタッフが利用者一人ひとりを尊重する、利用者の視線で利用者の意向に沿ったスピリチュアルケアを提供しているとのことでした。私が胸を打たれたのは、スタッフ間でも話し合う時間を十分に取り、特に亡くなった患者さんを追悼する場や時間を定期的に確保していることでした。ケア提供者も『死』に関わることで実は傷つきます。ケア提供者にとって、自らを振り返り自らの感情を癒すことが、こうしたケアを提供し続けるためには必要不可欠であることを改めて実感することができました。

東北地方では、患者さんが自らの意向をなかなか表現されないことによって、ケアスタッフも苦慮することが少なくないのではと考えられます。患者さんに対するケアはもちろん、医療関係者を取り巻く環境も含めて、ケアの質が問われる時代になっているのではないでしょうか。患者さんやご家族、ケア関係者を支えることができるように少なからず尽力していきたいと考えます。

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