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先端リハビリテーション医学

機能的電気刺激(FES)

機能的電気刺激(functional electrical stimulation; FES)は、脊髄損傷や脳卒中などで麻痺した手や足を動かす治療法です。当科では、1990年代からFESによる四肢麻痺、対麻痺、片麻痺などの機能再建治療に取り組んできました。FESにより、麻痺した手を動かして物を握ったりつまんだりする動作、麻痺した足を動かして立ち上がったり歩いたりする動作を再び行うことが期待できます。

経皮的埋め込み電極を用いたFESは、この分野における本邦初の高度先進医療として認可された歴史があります。

一方、表面電極を用いたFESは、麻痺発症後早期から治療を始めることが可能になります。

NESS H200、NESS L300は米国Bioness社で開発された装具型表面電極FES装置であり、 NESS H200は脊髄損傷による四肢麻痺上肢や脳卒中による片麻痺上肢の障害に対する手指機能再建、NESS L300は脳卒中による片麻痺性尖足障害に対する歩行機能再建が可能で、欧米を中心に普及が進みつつあります。

当科では、本邦で始めてNESS H200とNESS L300を導入しました。この機器は厚生労働省の薬事承認を受け、現在では国内で1500台以上の使用実績があります。

上肢用のH200は現在、最新のH200Wirelessとなり、単独での使用のみならずリハビリテーションロボットとのハイブリッド使用の試みなど先端的な研究を継続し、国内外の学会などで発表しています。

上肢用FES装置H200Wireless
下肢用FES装置L300の構成と装着した様子

リハビリテーションロボット

ロボット技術の進歩により、リハビリテーションにロボットを導入する試みが注目されています。

当科では、医工連携によりFESとロボット技術を融合した新しい歩行練習用リハビリテーションロボットAkitaTrainerを開発し、実証試験を進めています。現在のAkitaTrainerは片脚用ですが、次世代モデルには両脚用を開発し、脊髄損傷による対麻痺などでも利用可能な機器として展開する予定です。

また、上肢用のリハビリテーションロボットは従来大型で持ち運びが困難であり高価なものが多いのが現状ですが、卓上型のコンパクトなリハビリテーションロボット「リハビリマウス」を開発し、実用化を目指して基礎研究・臨床応用を進めています。

開発中のリハビリテーションロボットAkitaTrainer
上肢用リハビリテーションロボット「リハビリマウス」のプロトタイプ

FESサイクリング

脳梗塞や脊髄損傷など上位運動ニューロン傷害による麻痺下肢患者さんにFESを行いサイクリング運動を行うFESサイクリングは、心肺機能強化などのフィットネス対策に有用です。当科と秋田大学理工学部、秋田工業高等専門学校、秋田県立美術大学との医工連携により、車椅子に直接着脱可能な新しいFESサイクリングを開発中です。

FESサイクリング

動作解析

近年、慣性センサ(IMU)を用いた動作計測が注目されており、これまでにも歩行解析やスポーツ、スキー等のスノースポーツの分野等で研究されてきました。 IMUは安価なうえに、加速度、角速度、地磁気の計測が出来る事から他のモーションキャプチャーシステムと比較して多くのパラメータから解析が可能です。しかし、ジャイロセンサからのドリフト誤差や、設置時のスキンエラーを考慮する必要があり、実用段階までには多くの研究や改良が必要です。

私たちは、IMUを用いた、膝関節の動作計測・評価システムを開発しております。また、三次元動作解析装置のVICONやメガネ型ウェアルブルセンサ、足底圧センサなど様々な機器を駆使した動作解析を行っています。

モデルシミュレーション

本研究では独自に製作した3次元筋骨格モデルを用いて主に高齢者を対象とした脊椎疾患患者の生体内力評価を行なっています。3次元筋骨格モデルとはCT・MRI画像を基に筋肉や骨格を再現したもので、筋走行や関節駆動域が実際の人間と同様に再現されています。

このモデルに運動計測データを入力し動作シミュレーションをさせることで関節モーメントの他に、筋張力、筋活性度、関節間力等の生体内力の定量評価が可能となります。また、関節間力を解析することで有限要素解析(FEA)に用いる関節の荷重計算が可能となります。現在は生体内力評価に加え、モデルの改良を行なっており将来的には新たなトレーニング・リハビリ技術の効果計測・開発等への応用が期待されます。

モデルシミュレーション

応力解析・3Dプリンタ

股関節の病態である寛骨臼形成不全や、股関節・膝関節疾患の1つである変形性関節症には臼蓋棚形成術や高位脛骨骨切り術といった関節の荷重負荷を分散させる手術が広く行われています。これら外科手術法は医学的なエビデンスに基づいていますが、応力分布等の定量評価はほぼ行われていません。

本研究では、FEAを用いた整形外科手術効果の検証を行っています。具体的には。骨のCT画像から3Dメッシュモデルを製作し、関節間力や軟骨・靱帯等の弾性係数等を境界条件として適用し、応力分布を解析します。これを術前後のデータで行い比較することで生体力学的な評価を試みております。

また、本研究では3Dプリンターで製作した手関節装具の応力分布や強度等も評価しています。これらの定量評価を行うことで将来的な手術方法の改善や、装具の最適な形状設計を目的としています。

応力解析・3Dプリンタ

座位バランス計測装置

リハビリテーションにおけるバランス機能の評価 は非常に重要です。特に加齢変化に伴うバランス能力の低下は、転倒を引き起こす重要な因子と考えられており、高齢者に対するバランス評価は転倒予防の観点からも必須となっています。

しかし、立位でのバランス評価には、めまいや膝折れなどによる転倒の危険性も含まれるため、転倒リスクを抱えた高齢者には評価自体が危険な場合があり、バランス機能を安全かつ簡便に評価する手法の開発が望まれています。

安全にバランス機能を測定するため、当科と秋田大学理工学部の医工連携により動的座位によるバランス計測装置を開発し、これまでその有用性について多数の研究報告を行っています。

座位バランス計測装置

人工筋肉/Brain Machine Interface(BMI)

ブレインマシンインターフェース(Brain-machine interface:BMI)は脳活動によって機械を操作する身体代替技術のことです。BMIは手を動かさずにロボットを制御することができるため、「考えるだけで指令を送ることができるヒューマンインターフェース」であると言えます。

東京工業大学小池康晴教授はBMIに関する研究を多数手がけ、業績を挙げています。東京工業大学工学院の鈴森康一教授らは、空気圧で収縮する細径マッキンベン人工筋肉を開発されました。

この人工筋肉は外径が2-5mmと従来の人工筋肉と比較し「はるかに細く柔軟で軽量」という特徴を併せ持っており、100万回の耐久試験にも耐えるほど安全性にも非常に優れたものです。

2017年3月に東京工業大学と秋田大学、秋田県医師会との三者間連携協定が締結されたことにより、当科で継続して行われていた医工連携事業と東京工業大学のBMIや人工筋肉技術を融合することで新たな医療機器の開発が行われることとなりました。

現在プロジェクトが進行中です。

人工筋肉/Brain Machine Interface(BMI)

スタッフ

  • 教授 島田洋一 (Prof Shimada Yoichi, MD., PhD)
  • 准教授 松永俊樹 (Assoc. prof Matsunaga Toshiki, MD., PhD)
  • 市川兼之 (Ichikawa Kaneyuki, PT)
  • 井上純一 (Inoue Junichi, PT)
  • 大倉和貴 (Okura Kazuki, PT)
  • 加賀美 開 (Kagami Kai, OT)
  • 菊池 耀 (Kikuchi Hikaru, PT)
  • 工藤大輔 (Kudo Daisuke, MD., PhD)
  • 斉藤公男 (Kimio Saito, MD., PhD)
  • 齊藤英知 (Saito Hidetomo, MD., PhD)
  • 須田智寛 (Suda Tomohiro, PT)
  • 髙橋裕介 (Takahashi Yusuke, PT., PhD)
  • 田中祐汰 (Tanaka Yuta, OT)
  • 千田聡明 (Chida Satoaki, OT., PhD)
  • 畠山和利 (Hatakeyama Kazutoshi, PT., PhD)
  • 本郷道生(Hongo Michio, MD., PhD)
  • 三田基樹(Mita Motoki, MD)
  • 三浦隆徳(Miura Takanori, MD)
  • 村田昇平(Murata Shohei, MD)
  • 若林玲奈(Wakabayashi Rena, MD)
  • 渡邊基起(Watanabe Motoyuki, PT., PhD)

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