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骨軟部腫瘍グループ

骨軟部腫瘍は、骨や軟部組織(筋肉・脂肪・神経など)に発生する腫瘍であり、整形外科疾患の中では比較的稀な疾患を扱う分野になります。発生頻度が少ないにもかかわらず、そのなかには悪性腫瘍、いわゆる「がん」が存在するため、骨軟部腫瘍疾患の診察・治療を多く経験した医師の治療が必要となります。秋田大学整形外科では、秋田県において唯一骨軟部腫瘍を扱っており、県内の様々な病院から患者さんを受け入れ、骨軟部腫瘍について診断および治療を行っております。

骨軟部腫瘍は比較的稀な疾患ですが、分類上、150種類以上の疾患が存在しており、治療方針の決定の為に診断がとても大切になります。骨軟部腫瘍の確実な診断を行うためには腫瘍の組織を一部採取し、採取した組織を顕微鏡で見て評価を行う病理学的診断を必要とする事が多くあります。少し太い針を刺して組織を採取することもあれば、針での組織採取が難しければ、手術によって組織を採取する事もあります。どちらの方法を行うとしても、その後の治療を考えたアプローチを考える必要があり、専門的な知識が必要です。

悪性の骨軟部腫瘍の治療は、手術療法を中心に、化学療法(抗癌剤)や放射線療法を組み合わせて行います。悪性骨軟部腫瘍は手術で全て切除する事が基本となりますが、腫瘍そのものだけを取り除いても、腫瘍の周囲に目に見えないくらいの腫瘍細胞が散らばっている事が多いため、再発する可能性が高いです。そのため、腫瘍周囲の一見正常に見える部分も一緒に切除する必要があり、元々存在していた骨や筋肉などが大きく欠損してしまいます。骨が無くなった場合には、無くなった部分を補填するために腫瘍用人工関節を用いたり、腫瘍が存在していた骨を熱処理して再び使用する自家骨移植などを用いることで、患肢温存手術を積極的に行います。また、手術後の筋力低下予防には術後早い段階で足をつけて荷重する事が大事であるため、イリザロフ創外固定器を用い、よりよい機能を目指す治療も行っています。

皮膚や筋肉などの軟部組織が大きく欠損した場合には、皮膚が縫合できなくなってしまいます。その場合は、別の部位から皮膚を移植したり、筋組織ごと軟部組織を移植する事も行います。


骨軟部悪性腫瘍の治療では化学療法の役割も重要です。手術前に腫瘍を縮小させるために用いたり、転移病変に対して使用します。特に近年、軟部悪性腫瘍に対しては新しい薬剤が複数使用できるようになったため、選択肢が広がっております。

近年がん治療が進歩した事により、がんを抱えながら社会生活を送られる患者さんも増えてきています。そのため、がんの骨転移患者さんへの治療も、予後と生活の質を考えた治療が必要とされます。当院では他科の医師とがん患者について検討する、キャンサーボードも定期的に開催しており、骨転移患者さんの治療を診療科の垣根を越えて取り組んでいます。


骨軟部腫瘍は専門性の高い分野でもありますので、骨軟部腫瘍を扱っていない整形外科医師では判断が難しい事も多いです。気になる事などございましたらいつでも御相談下さい。

スタッフ

骨軟部腫瘍グループ
  • 永澤博幸(Hiroyuki Nagasawa)
  • 土江博幸(Hiroyuki Tsuchie)
  • 村田昇平(Murata Shohei)

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