臨床の紹介

脳腫瘍

図1 術中ニューロナビゲーションシステムを用いた手術風景。赤外線で穿刺針に取り付けたマーカー(反射球)を認識します

脳腫瘍の手術においては術前のCT・MRI画像上に現在手術している位置がリアルタイムに表示される術中ナビゲーションシステムを用いることにより頭蓋底や脳深部の腫瘍への到達が確実になります(図1)。

また、重要な脳機能を有する部位に近接して腫瘍がある患者さんでは脳機能が様々に偏位しているため、患者さんごとに脳機能マッピングを行い、機能的に重要な部位(大脳皮質あるいは神経線維)を可視化することも重要です。functional MRI(fMRI)、脳磁図(MEG)、ポジトロンCT(PET)、硬膜下電極による脳機能マッピングおよびMRIを用いた神経線維画像化(tractography)による神経線維の走行を考慮して手術を計画することで、術後の機能障害を最小限として腫瘍を最大限に摘出しています。

ナビゲーションシステムとPET、MEGの重ね合わせによる切除範囲の決定

ナビゲーションシステムとPET、MEGの重ね合わせによる切除範囲の決定(クリックで拡大します

硬膜下グリッド電極留置による脳切除範囲の決定

硬膜下グリッド電極留置による脳切除範囲の決定(クリックで拡大します

腫瘍を摘出した部位で最も深いところをセンサーで指し示すとコンピュータのMRI画像上にセンサーの位置が表示され、腫瘍と正常脳の境界部に達したことが確認できます

腫瘍を摘出した部位で最も深いところをセンサーで指し示すとコンピュータのMRI画像上にセンサーの位置が表示され、腫瘍と正常脳の境界部に達したことが確認できます(クリックで拡大します

Tractgraphyによる錐体路線維の同定

Tractgraphyによる錐体路線維の同定(クリックで拡大します

脳腫瘍の中にはCT・MRIといった形態学的画像では腫瘍浸潤範囲が正確に描出できない腫瘍(グリオーマ)もありますが、PETを用いた代謝画像( 11C-メチオニン)は腫瘍浸潤を的確に可視化して早期診断が可能で、 18F-fluorodeoxyglucose (FDG)は悪性度診断に有用です。秋田県立脳血管研究センターとの共同研究でPETの代謝機能情報をMRIなどの形態学的画像に統合するシステムが確立し、腫瘍の浸潤範囲を的確に把握し、腫瘍の悪性度を考慮した手術および放射線・化学療法を行っています。