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器官・統合生理学

組織紹介

医学専攻 機能展開医学系:器官・統合生理学講座の概要

※この情報は、平成2709月現在の状況です。

構成員の紹介

教授 河谷 正仁 Masahito KAWATANI
准教授 林田 健一郎 Kenichiro HAYASHIDA
助教 善積 克 Masaru YOSHIZUMI
技術職員 仁村俊枝 Toshie NIMURA
技術系補佐員 柏崎千佳 Chika KASHIWAZAKI
     

教育と研究の概要

主な担当授業

学部の授業
講義:「個体の構成と機能」:細胞膜、情報伝達の機序、神経による情報伝達、
   ホメオスターシス   
   「臓器の機能」:中枢神経・内分泌、消化チュートリアル
   「生理機能学実習」:能動輸送、人の血圧・心電図・心音図
   「選択科目」:神経学研究の紹介
   「消化器」:消化器の機能、 「神経[神経系特性と病態]」:運動
   「腎[腎臓疾患]」:糸球体・尿細管機能、ホルモン系
   「運動器」:骨格筋生理、 「呼吸器」:呼吸生理、薬理

大学院の講義
 講義:生理学(二)特論
 実習:生理学(二)

 

主な研究対象

1.シナプス・イオンチャネルの神経科学に関する研究
2.痛みと鎮痛の分子機構に関する研究
3.光エネルギーの細胞生理に及ぼす影響に関する研究
4.骨盤臓器の自律神経科学に関する研究
5.運動とその制御機構に関する研究

医学専攻 機能展開医学系:器官・統合生理学講座の概要

研究内容

 自律神経による骨盤臓器支配についての検討ならびに、痛みとその鎮痛機構について、動物と摘出標本を用いての検討を行なっている。最近の研究からプロスタグランジンE(PGE)の受容体サブタイプがのうち、頻尿・疼痛にはEP1受容体が、勃起にはEP2/EP4受容体が関係している可能性が明らかになりつつある。
 膀胱は畜尿とその排泄が、完全になされることが重要である。この機構には膀胱壁知覚神経終末・後根神経節・脊髄・骨盤神経節が関与しており、それぞれの興奮伝達機構が明らかにされてきている。また、排尿障害には神経機構が破綻したりその興奮伝達機構が変化し、膀胱収縮が正常と違った刺激で行なわれていることが検討されはじめた。脊髄における起始核である仙髄副交感神経節前ニューロン(PGN)には、刺激入力の持続に応じて放電が持続するtonic ニューロン(tPGN)と、刺激が持続しても放電は刺激開始直後のみにしか起きない phasic ニューロン(pPGN)の二種が存在することが、脊髄スライスを用いたパッチクランプ法による検討で明らかとなった(Miura et al, Brain Res, 872, 54-63, 2000)。この2種類の発火パターンについて、(1)臓器特異性があるのか、(2)病態での発火パターンの変化がおきるのかといった解明を現在行なっている。PGNへのシナプス入力は、外側索を介して上位中枢から、後交連から求心性線維の興奮を介在ニューロンを通しての入力があることが明らかとなったので、これについての興奮機構の解明を行なっている。PGEに関しては、これによってtPGNは活動電位後過分極電位が短くなり、刺激後に放電の持続が認められる結果が得られた。これは従来pPGNであった膀胱支配のニューロンが求心性入力で興奮が増大してtPGN化し、さらに脊髄内で放出されたPGEにより興奮が持続するというPGN活動性を高める機構があるのではないかと予想し検討を進めている。
 膀胱炎で代表される排尿反射の亢進は、主に膀胱にある知覚神経終末が過敏になり正常より過大な感覚入力が排尿中枢に送られることによりおきるといわれている。これまでサイトカインのインターロイキン1β(IL1β)が排尿反射を亢進させジクロフェナックがその反応がなくすことから、PGEがこの過敏反応に関係する可能性が示された。さらにEP1受容体の拮抗薬を用いると排尿反射の過敏が起こらなかったことから、EP1受容体を介する機構が存在すると考えられた。膀胱からの求心性線維の興奮は膀胱内の容量が増大すると放電数が比例して増大する。この放電は化学刺激である酢酸(0.1%)やカプサイシン(バニロイド受容体刺激薬で熱侵害受容器を刺激すると考えられている)IL1β(10-7M)、PGE(10-7M)で活性化される。PGE、酢酸、IL1βの効果はEP1受容体の拮抗薬(10-7M)で消失したが、カプサイシンの効果は拮抗薬(10-6M)で変化しなかった。これは、炎症に伴い産生されたPGEが感覚神経を刺激し過活動膀胱を起こすこと、バニロイド受容体による過活動膀胱はPGEとは別であることと考え現在検討を進めている。
 陰茎海綿体への血流増大は骨盤神経の興奮が一酸化窒素の放出を惹起し発生する。この一酸化窒素のよる勃起は神経機構が必要であるが、血管平滑筋を直接弛緩させるPGEは神経障害があっても勃起を起こさせることができる。平滑筋マグヌス管実験でEP2/EP4による弛緩が明らかとなり、EP4受容体による陰茎の弛緩機構について詳細に検討を行なっている。
 これらは最近の国際自律神経科学学会(London)において発表した。また、昨年の神経因性膀胱学会やAsian Pacific Impotence Research学会で特別講演で講演し、本年自律神経学会のシンポジウムでも発表した。
 痛みを抑える治療の一つに波長780〜830nmの光を数mW〜1W程度の生体に照射することにより疼痛緩和をさせることが知られている。この光照射は皮膚潰瘍の修復、アレルギー性鼻炎の改善、骨折後の骨形成の促進などに効果あるとされているが、メカニズムは不明である。神経細胞に対してレーザー照射すると細胞膜は極低出力(数mJ)でNa+チャンネルの開口が増加し、脱分極がおき、痛み信号の遮断をおこすことを明らかとした(Miura et al, 1996)。また、星状神経節に照射してもシナプス伝達の抑制がおきた(宮澤 他, 2000)。従って、感覚神経や交感神経の興奮性を抑制し、疼痛を抑える可能性が考えられた光作用のNa+チャネルの性質について検討を進めている。この研究は本年の日本麻酔科学会のランチョンセミナー、日本レーザー治療学会のシンポジウムで発表した。