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新生児

新生児診療グループ(助教 安達裕行 記)

臨床

NICU6床(保険認可)、GCU3床(保険認可)の運営を行っています。当院は2014年より地域周産期母子医療センターに認定され、秋田県に2つしかない三次新生児医療施設の一方として、秋田赤十字病院NICU(総合周産期母子医療センター)と一体となって新生児医療を行っています。

秋田赤十字病院NICUは主に早産・低出生体重児を担当し、秋田県の超低出生体重児の9割が入院しています。一方当院NICUは、主に他科や他グループと共同で診ることを必要とする小児外科疾患や先天性心疾患などの先天異常を有する児を担当しています。術前・術後管理に加え、NO吸入療法、低体温療法、腹膜透析、胸腔ドレーン管理、N2ガスによる低酸素吸入療法などの高度医療を速やかに施行できる医療設備や看護スタッフを備えています。

複雑な症例が多いため産科との連携も重要であり、週1回産科医師とのカンファレンスを行い、両病棟の看護師、助産師、臨床心理士も参加して情報交換を行っています。また産科出生のすべての正常新生児に対して、退院前に当グループ医師による診察とSpO2測定による先天性心疾患のスクリーニングを行っており、1カ月健診もすべて当グループで行っています。

NICU入院数 67例 (2015年度)
超低出生体重児3、極低出生体重児7、低出生体重児25、小児外科疾患10、先天性心疾患8、脳神経外科疾患2、その他(重複あり) 
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研究

研究ではA.未熟児肺におけるフィブロネクチンとマクロファージの生理的意義に関する研究と、B.低酸素性虚血性脳症および脳室周囲白質軟化症の病態解明と治療に関する研究を行ってきました。

新生児診療グループ
  1. 肺の形態形成において重要なフィブロネクチンのEDA、EDBと呼ばれる領域の肺における発現と機能を調べてきました。ヒトの肺において、EDB領域は未熟肺または肺低形成に限定して発現していることを示し、更に肺胞上皮細胞の分化に関与している可能性を示唆しました(Arai, Am J Pathol 1997)。次いでラット肺で、EDA領域は周生期の肺胞形成に伴って発現が変化し、これらが細胞増殖と関連している可能性を見い出しました。現在は,子宮内感染によって引き起こされる未熟児慢性肺疾患へのEDA領域の関与を解析しています(Arai, Pediatr Pulmonol. 2014)。また、未熟児慢性肺疾患におけるマクロファージの役割についても研究を展開中です。(秋田赤十字病院 新井浩和 記)
  2. 新生児低酸素性虚血性脳症モデル(Rice-Vannucci model)における神経細胞死(アポトーシスとネクローシス)のメカニズムを研究し、免疫組織学・電子顕微鏡を用いて神経細胞死の連続を示しました(Nakajima, J Neurosci. 2000)。同モデルを用いて臨床応用を念頭にフリーラジカルスカベンジャーであるエダラボン (Yasuoka, Brain Res. 2004)、72時間持続する低体温療法(Ohmura, Brain&Dev. 2005)、ネクローシス抑制の可能性を探ったカルパイン阻害剤 (Kawamura, Brain Res. 2005)、抗酸化物質であるアスコルビン酸(Miura, Brain Res. 2006)の脳保護効果をそれぞれ明らかにしました。また、新たに我々は日齢3の仔ラットを用い、びまん性の白質障害を示す脳室周囲白質軟化症(PVL)モデルを作成しました。同モデルで軸索形成を誘導する脳特有のタンパクであるCollapsin response mediator protein-2(CRMP2)が断片化・低リン酸化されることを明らかにし、CRMP2の活性化による軸索の形成・再生を誘導する可能性を示唆しました(Sato, Brain Res. 2011)。(平鹿総合病院 佐藤陽子 記)
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