当部門では実験動物の清浄度維持のため、各飼育区域のマウス・ラットについて12~13項目の微生物を対象とした年4回の定期的な微生物モニタ
リング検査を行っています。
微生物モニタリング検査とは動物の微生物学的品質を保つことを目的とした検査です。検査項目の中には人獣共通感染症を含む病原性の強い微生
物から通常は感染しても症状を呈さない、いわゆる不顕性感染に終始する病原性の弱い微生物まで多様な微生物を含んでいます。不顕性感染症の感
染動物は目に見える症状こそありませんが、生理状態を変化させて再現性の低下を招く可能性があるため、病原性の弱い微生物も含めています。
また、動物実験処置によるストレスの影響で感染に対する抵抗性が低下した場合や、免疫不全動物の場合は症状が顕在化し、実験の中断を余儀なく
されることがあります。
こういった事態を防ぎ迅速に対処するためには、定期的な検査により感染した動物を早期発見することが重要です。
当部門では微生物モニタリング検査に供する検体として、囮として飼育したモニター動物を推奨しています。モニター動物の飼育方法については、
微生物モニタリングの検体選出方法についてを参照ください。
当施設ではマウスは年3回の自家検査と年1回の外部機関(ICLASモニタリングセンター)への委託検査、ラットは年4回の外部機関へ
の委託検査により微生物モニタリングを行っております。
検体は2ヶ月以上、囮として飼育したモニター動物2匹です。検査項目は下表の通りです。
カテゴリー
A. 動物から人に感染し、発病させる恐れがある病原体(人畜共通感染症)。
B. 伝染力が強く、動物を致死させる恐れがある。
C. 動物を致死させる力はないが、発病の可能性があり、発病しなくても(不顕性感染)生理機能を変化させる恐れがある。
D. 健康な動物にも存在することがある。通常は発病しないが、実験処理いかんでは病気を誘発する恐れがある。
E. 通常は病原性無し。飼育環境の微生物統御を判断する指標に有用。
マウス 検査項目 | カテゴリー | 検査方法 |
---|---|---|
Clostridium piliforme | C | ELISA |
Mycoplasma pulmonis | B | ELISA |
Ectromelia virus | B | ELISA |
LCM virus | A | ELISA |
Mouse hepatitis virus | B | ELISA |
Sendai virus | B | ELISA |
Corynebacterium kutscheri | C | 培養 |
Mycoplasma pulmonis | B | 培養 |
Pasteurella pneumotropica | D | 培養 |
Salmonella spp | A | 培養 |
Ectoparasits | E | 鏡検 |
Intestinal protozoa | E | 鏡検 |
Pinworm | C | 鏡検 |
ラット 検査項目 | カテゴリー | 検査方法 |
---|---|---|
Clostridium piliforme | C | ELISA |
Mycoplasma pulmonis | B | ELISA |
Ectromelia virus | B | ELISA |
Hantavirus | A | ELISA |
Sendai virus | B | ELISA |
Sialodacryoadenitis virus | C | ELISA |
Corynebacterium kutscheri | C | 培養 |
Mycoplasma pulmonis | B | 培養 |
Bordetella bronchiseptica | C | 培養 |
Salmonella spp | A | 培養 |
Ectoparasits | E | 鏡検 |
Intestinal protozoa | E | 鏡検 |
Pinworm | C | 鏡検 |