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研究の紹介

食道外科

食道外科では食道癌治療成績の改善と手術治療に伴う患者負担の軽減を目指して以下の研究に取り組んでいます。

進行食道癌に対する標準治療

進行食道癌に対する標準治療は「手術を中心とした集学的治療」です。治療成績の改善と手術治療に伴う患者負担の軽減のためには「化学放射線療法(抗癌剤+放射線治療)」の感受性を治療前に知り、その結果に基づいた治療戦略を立てる必要があります。 私たちはREG I(レグワン)という遺伝子に着目して研究を進めてきました。これまでの研究で、REG Iを発現している食道癌は化学放射線療法が効きやすく、患者さんも長生きできることが分かってきています。このREG I発現を指標にした食道癌治療を行うべく基礎的・臨床的研究を継続中です。

REGI発現と食道癌治療成績

個別リンパ節郭清の実施

個別リンパ節郭清の実施

食道癌のリンパ節転移は治療成績を左右する大きな因子です。その一方で食道癌手術における広範なリンパ節郭清は患者さんに大きな負担をかけます。

これに対し私たちは磁性体(磁石の成分を持った液体)とMRIを用い、当科独自の新しい方法を用いた方法で「食道癌リンパ流」を検出し、「患者さん一人一人のリンパ流」に基づいた縮小手術の開発に取り組んでいます。

個別治療の開発

CRP 1846C > T遺伝子多型

食道癌進展や手術に対する患者さんの生体反応には大きな個人差があります。その個人差を患者さんの遺伝子多型の違いと考え、患者さんの遺伝子多型による食道癌リンパ節転移診断、術後の反応、合併症発生予測を行う個別治療の開発に取り組んでいます

Toll様受容体

人間の体は60兆個とも言われる数の細胞から成り立っています。その一つ一つの細胞は、その表面や内側に様々な“受容体”と呼ばれるタンパク質を発現しています。これらの“受容体”は、その細胞の機能や細胞自体の分裂、成長、老化、死、に密接に関わっています。Toll様受容体は主に免疫細胞に発現しており、ウイルス、細菌、カビなどの病原体に対する免疫反応に重要な働きをしていることが分かっています。これまでの私達の研究で、食道癌細胞もToll様受容体のいくつかを発現していることが分かりました。さらに食道癌細胞の増殖速度、細胞死にも関係していることが分かってきました。私達はこのToll様受容体をターゲットにした新しいより効率的な治療法を確立するための研究を継続中です。

食道癌細胞

食道癌細胞