仙北ウェルビーイング地域医療・総合診療連携講座

2024年4月、秋田県仙北市と秋田大学の連携によって当講座が開設されました。
仙北市は、幸福度全国No.1を目指してまちづくりをしています。感情的な短い幸せではなく、身体的、精神的、社会的に満ち足りたWell-beingの向上を図るという仙北市の理念は、総合診療と通じるところが大いにあります。
当講座のロゴの上部は、自然豊かで風光明媚な仙北市の山々を模したデザインで、仙北市の市章カラーをモチーフとしています。下から支える秋田大学医学部カラーのWはWell-beingの頭文字と田沢湖をイメージしています。

仙北市は、角館の武家屋敷や田沢湖、温泉、農山村の原風景など、多彩な自然と文化資源が豊富で、秋田県内でも有数の観光地ですが、他の地域と同様、高齢化が進んでいます。高齢化では複数の健康問題を抱える方が増え、さらに介護・福祉などの問題も多くなります。
このような現状においては、医師は、幅広い臨床能力を持つこと、そして病気に留まらず様々な背景や事情を踏まえ、患者さん・家庭・地域と伴走して、暮らしを支援していくことが必要です。これこそが仙北市の理念であるWell-beingであり、これをトータルで行うのが総合診療です。総合診療医がもっとも得意とするところはこのような地域医療の現場であり、今後総合診療医が増えることは、医師の地域偏在・診療科偏在の改善という意味でも、社会から大きな期待が寄せられています。
また、仙北市は自然豊かな反面、土地も広いため市民が住む集落が各地に点在し、公共交通機関も乏しいことから、医療へのアクセス面も大きな問題です。
仙北市は令和4年に「仙北市DX(デジタルトランスフォーメーション)推進計画」を策定、また令和5年には秋田大学と仙北市は連携協定を締結しました。医療の分野でも、遠隔医療技術など医療DXを推進することで、地域の方に医療サービスを安定的に提供できるような環境の整備を行っていきます。
本講座では、市立角館総合病院への総合診療医の派遣や、勉強会・セミナーなどの開催を通じて、総合診療医の育成や診療を行い、医療MaaS事業やDX連携の推進などの活動・研究を行うことで、仙北市の方々のWell-being 向上のお手伝いをしていきたいと思います。住民の方々それぞれが心身ともに健康であること=Well-being向上のため、尽力していきますのでどうぞよろしくお願い致します。
仙北市での学び(市立角館総合病院 総合診療科 渡部健)
2024年4月に市立角館総合病院 総合診療科に赴任しました。

当科では、これまで自治医科大学出身の先生方が地域医療に貢献し、仙北市周辺の医療を支えてきました。そんな頼れる先生方と共に働く日々は大変充実しており、学びの多い毎日を送っています。
仙北市は豊かな自然、美しいお祭り、地元の食文化やお酒など、魅力的な要素が揃った地域です。仕事はもちろん、プライベートも充実しており、この地域の魅力に感謝しながら生活しています。現在、仙北市は高次医療機関との距離があるため、地域医療の重要性が高まっています。開業医の高齢化に伴う医院やクリニックの閉院も増加しており、当院の役割はますます重要です。今後は、医療MaaSや医療DXといった新たな技術を活用し、広大なエリアに効率的に医療を提供する体制が求められます。
当院も県内の先進事例として、これらの取り組みを積極的に進めています。
こうした背景の中、総合診療医として果たすべき役割は大きく、仙北市民のwell-beingを支えるため、今後も尽力してまいります。仙北市民の健康を守り、地域医療の発展に貢献できることを誇りに思い、引き続き努力を続けます。