趣意書
秋田大学医学部は、戦後初めて設置された国立大学医学部として、1970年4月1日に創設されました。薾来50年の年月が経過し、2020年4月に創立50周年を迎えました。
秋田大学医学部は、実地医療に即した医師と研究者の養成、地域医療との連携、学部体制の柔軟な運営を創立の理念といたしました。この理念は当時としては極めて斬新なもので、多くの新進気鋭の教員がこの理念に共感して全国各地から参集いたしました。
その後、教職員一同のたゆまぬ努力と卒業生や各界からの力強いご支援により、秋田大学医学部は着実今、秋田大学医学部は東北地方の中で確固たる医学の先進的拠点としての地位を固め、日本の医学界や医学教育界より高い敬意を払われる学部となりました。秋田大学医学部の卒業生は、秋田県内はもとより全国各地の医療の最前線で活躍しています。また、アカデミズムの世界においても、全国各地の医学部に教授を輩出しており、戦後の新設大学の中でも輝かしい存在として認知されています。また、秋田大学医学部附属病院は秋田県の医療の中心的存在であるとともに、秋田県における医療の最後の砦として大きな存在感を示しており、先の新型コロナ禍においても大きな指導力を発揮しました。国際交流の分野においては、欧米やアジア各国の歴史ある卓越した大学との活発な交流を拡大しており、学術面、教育面での国際化を積極的に推進しています。
秋田大学医学部は2009年4月から大学院部局化を行い、大学院の教育研究に重点をおいた医学部としてのアイデンティティーを示し、21世紀COEプログラムやグローバルCOEプログラムに代表される卓越した生命科学研究の拠点として功績を積み上げて来ました。また高いがん死亡率や脳血管循環器病死亡率、少子高齢化、高い自殺率、新興感染症など県内のみならず広く日本や世界レベルの大きな問題・命題に対しても全学組織の各センターと協力し、研究、教育、診療の3方面で秋田から世界へと発信を続けております。さらには先端的な医理工連携プロジェクトに代表される優れた地域連携研究開発の拠点として成果を挙げております。教育面では高度専門職業人としての医師やコメディカルスタッフの育成という理念とともに、大学院の教育研究の発展を目指している一方で、医学科、保健学科ともに全国トップクラスの国家試験合格率を誇っております。同時に、医学科において地域枠入学者の受け入れや地域医療教育カリキュラムの充実により秋田県や世界に貢献できる優れた医療人養成にも力を入れて、社会貢献・地域貢献にも積極的に努めています。
2004年の国立大学法人化以後、大学行政や地域医療を取り巻く環境が厳しさを増す中で、大学及び医学部の社会で果たすべき役割が厳しく問われるようになっています。秋田大学医学部のこれまでの医学教育、医学や生命科学、医療活動での実績に安住することなく、厳しい環境の中で今後の一層の飛躍と発展に向けて、さらなる努力を求められることになります。これからも「地域に根ざしつつ、世界に飛躍、発展する医学部」として飛翔するために、創立50周年を迎えた今こそ、次の飛躍に向けた秋田大学医学部の新たなビジョンを構築し、皆様とともにその基盤を確固たるものにする必要があります。
大学院及び学部における教育、研究、診療の更なる水準の向上に努め、内外における秋田大学医学部の地位をゆるぎないものにするため、この創立50周年記念事業をひとつの契機としたいと考えております。50周年記念事業を行うに際しては、「学生&職員ウェルビーイング施設」事業、国際交流事業、「秋田大学医学部50年史」発行、記念式典・記念講演会等を主要事業とする記念募金を行うことを計画いたしました。数多くの同窓生がすでに県内外の医学界において枢要な地位を担い、若い同窓生が秋田県内で活躍しはじめている現状を踏まえ、同窓生や秋田大学医学部をご支援いただく皆様が一体となって集う場として記念式典・記念講演会を行い、秋田大学医学部の一層の発展に寄与するものと確信しております。
何卒、ご趣旨をご理解いただいた上、本事業の達成に皆様の多大なご協力を賜りたく、哀心よりお願い申し上げます。
令和6年7月