臨床の紹介

手術風景

手術風景

対象疾患は新生児外科疾患(先天性食道閉鎖症、先天性横隔膜ヘルニア、先天性腸閉鎖、壊死性腸炎、腸回転異常、鎖肛、腹壁異常、ヒルシュスプルングなど)、小児悪性固形腫瘍(神経芽細胞腫瘍、腎芽腫、肝芽腫、胚細胞腫瘍など)、胆道疾患(胆道閉鎖症、先天性胆道拡張症など)、日常疾患(乳児肥厚性幽門狭窄、腸重積症、虫垂炎、ソケイヘルニア、臍ヘルニア、体表の腫瘍や先天性瘻孔、便秘、肛門疾患)、泌尿生殖器疾患(水腎症、重複尿管、尿管瘤、膀胱尿管逆流、停留精巣など)や漏斗胸などの広範囲に及んでいます。

また、重症心身障がい児の患者さんに対する、胃食道逆流防止術、胃瘻造設術、気管切開、喉頭気管分離術なども施行しています。

新生児外科疾患(外科的先天異常)は近年、出生前診断症例が増加しており、産科、小児外科、新生児科と連携して治療することが多くなっています。また、壊死性腸炎などの1000g未満の超低出生体重児対する外科治療も行っています。

小児悪性固形腫瘍に対しては日本全国統一プロトコールに沿って小児科、放射線科、および小児外科による集学的治療を行っています。

なお、小児外科診療の特徴である長期経過観察を必要とする患者さんを対象に生体肝移植、在宅静脈栄養(HPN)および直腸肛門機能の3特殊外来を設けています。

診療実績

  1. 年度別入院数(図1):年度とともに入院数は増加し、1979年より200人を越え、1986,87年は350人とピークを示し、その後250人前後となっています。現在までの総入院数は約10000人で、最近10年間の平均入院数は260人です。新生児入院数も1979年には20人を越え、新生児総入院数は900名となっています。
  2. 年度別全麻手術数(図2):入院数と同様に手術数も年々増加し、1980年より200例を越え、総全麻手術数は約8000例に達しています。最近10年間の平均手術数は200例前後です。新生児手術数も1979年より20例を越し、新生児総手術例は900例で、最近10年間の平均新生児手術数は24例です。なお、手術の原疾患の内訳は先天異常が約70%、後天性疾患が20%、腫瘍性疾患が10%となっています。
  3. 死亡率:(図34)総入院数に対する死亡率は1.2%で最近10年間の死亡率は0.5%です。新生児死亡は10年毎の新生児死亡率の推移をみると最近10年間の新生児死亡は2%と治療成績は向上しています。
  4. 新生児主要外科疾患別治療成績(表1):いずれの疾患も全国平均に比べ低い値です。死因は肺低形成、複雑心奇形、染色体異常などの重症合併に起因するものが多くなっています。

図1

図1
 

図2

図2


図3

図3
 


図4

図4

表1 新生児主要外科疾患別成績 (1978年〜2011年)

  症例数  死亡数 死亡率
先天性横隔膜ヘルニア 62 13 21.0%
食道閉鎖 51 7 13.8%
消化管穿孔 45 6 13.3%
腸閉鎖・狭窄 102 2 1.9%
腸回転異常 54 1 1.9%
腹壁異常 48 5 10.4%
直腸肛門奇形 107 6 5.6%
ヒルシュスプルング病(類縁) 56(4) 3(2) 5.4%