秋田大学医学部 外科学講座(第2外科)
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食道癌に対する外科治療

食道癌患者数および手術症例数
秋田大学医学部附属病院食道外科は地域の中核病院として秋田県内の患者さんを中心にこれまで多くの食道癌患者さんの治療に携わってきました。1972年教室開設以来の食道癌切除患者総数は約1000例です。最近の食道癌治療患者数は年間約120例(初治療患者数=手術例+根治的化学放射線治療例+内視鏡的粘膜切除症例)、食道癌切除患者数は年間約50例です。


過去5年間の食道癌切除患者数
年 次
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
食道癌切除患者数
38例
32例
43例
40例
50例

過去3年間の食道癌内視鏡的粘膜切除・化学放射線治療患者数
年 次
2003年
2004年
2005年
内視鏡的粘膜切除患者数(消化器内科)
8例
16例
27例
根治的化学放射線治療患者数(放射線科)
31例
26例
37例


病状説明と治療法決定のプロセス
当院に食道癌患者さんが受診(紹介)された場合、最初に患者さんご本人が病状をどこまで告知されることを望んでいるか、またご自身以外の誰に病状を伝えたいかを書面で確認します。次に患者さんの意志に従い病状を説明、さらに治療法(内視鏡治療、手術治療、化学放射線治療)の概要を説明し、患者さんご自身がどの治療法を望んでいるかを確認します。平行して当院の消化器内科医、食道外科医、放射線科治療医で構成する食道カンファレンスで医師側が患者さんに推奨する治療法を検討し、その結果を患者さんに提示します。そして最終的に患者さんご自身に治療法を決定していただきます。


手術
胸腔鏡補助下に開胸創を小さくした開胸開腹食道切除、後縦隔経路胃管再建術を基本術式としています。患者さんの状況により胸腔鏡腹腔鏡下食道切除再建術も行っています。また多臓器浸潤食道癌、リンパ節転移多数食道癌患者さんには根治的化学放射線治療を行い、癌遺残が認められた場合あるいは癌が再燃した場合には救済手術(食道切除再建術)を行います。


手術成績
1989年から2004年までの食道癌手術患者さん434例(姑息手術を除く)の術後5年生存率(他病死も含む累積生存率)は52%です。

病期(癌の進行度)別術後5年生存率(他病死も含む累積生存率)は病期0: 80%、病期I: 78%、病期II: 54%、病期III: 50%、病期Iva(術前化学放射線療法例を含む): 28%です。(A)

他病死を除いた場合の病期別術後5年生存率は病期0: 100%、病期I: 91%、病期II: 73%、病期III: 60%、病期Iva(術前化学放射線療法例を含む): 41%です。(B)




術後合併症
過去5年間の術後合併症発生頻度は手術直接死亡(術後30以内の死亡): 0%、縫合不全(消化管を縫い合わせた部分がつかない): 約10%、反回神経麻痺(声がかすれたり、呼吸が苦しくなる): 約20%、肺炎: 約20%です。


自己血輸血
食道癌手術患者さんには術前にあらかじめ自己血(自分の血液)を貯血し、術中あるいは術後に自己血を返却するという貯血式自己血輸血を行っています。自己血輸血により90%以上の患者さんは同種血(他人の血液)輸血を必要としません。同種血輸血は各種感染症が社会問題となっているばかりか、最近は食道癌そのものの予後にも影響を与えることが報告されています。


術後フォローアップ
関連病院と提携しきめ細かなフォローアップを行い、術後の全身状態管理、食道癌再発の早期発見と治療、重複癌のスクリーニングと積極的な治療を行っています。


音声再建手術
頸部食道癌・下咽頭癌でやむを得ず喉頭(声帯)を合併切除する場合、喉頭発生機能を完全に失いますが、遊離腸管移植を用いて消化管再建に工夫を凝らし、音声再建術を付加しています。



付録 [PDFファイル]

 食道癌患者さんに対する説明書(抜粋)[12KB]

 食道癌患者さんに対するクリニカルパス(抜粋)[577KB]

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良性食道疾患に対する外科治療

食道アカラシア、食道良性腫瘍、胃食道逆流症など良性食道疾患に対する外科治療を行っています。
最も代表的な疾患である食道アカラシアの診断に食道内圧検査は必須です。食道造影検査のみで食道アカラシアと診断された患者さんの中には、他の食道運動障害疾患であることがしばしばあり、是非一度専門家の診断を受けてください。手術は腹腔鏡下手術(食道粘膜外筋層切開および逆流防止手術)を行っています。疾患発生頻度が10万人に1人と少ないこともあり、年間3-4例程度の手術数です。手術を受けた患者さんの症状は劇的に改善することが多く、満足度の高い手術を提供できております。
食道良性腫瘍、胃食道逆流症などに対する鏡視下手術も行っています。



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