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地球が誕生して46億年、その地球上に生命が誕生して40億年、そして4億年前の古生代デボン紀に魚類から進化した両生類が水中から陸上へと進出し、は虫類、鳥類、哺乳類を経て今から100万年前に人類が誕生したとされています。それから人類はこの地球上で動物と共存してきました。初期の人類は力も弱く、2万年前の旧石器時代には地球上の人口はわずかに200〜300万人とされています。しかし、人類は道具や言葉を使うことを覚え、文明が超速度で発展して、現在70億人を超え、この地球上で最も力をもった生き物となっています。 |
人類は100万年程の間は狩猟生活をしていました。右の図はラスコーの壁画ですが、数10万年続いた旧石器時代の終わり頃、今から2万年程前に描かれたとされています。この壁画には動物の中でも危険な種類のものだけが描かれています。それらの動物は当時の原始人にとっては大切な食料となるものですが、生命を脅かす恐ろしい存在でもありました。したがって、それらの動物に対して畏敬の念を抱いていたようです。アイヌの人々が山の恵としてクマを捕らえ、死んだクマを神として祭ることに通ずる考えのようです。 |
![]() Author= Prof saxx ラスコーの壁画 |
![]() 犬の家畜化 |
ラスコーの壁画が描かれてから1万年を経過した頃、つまり今から1万年程前の新石器時代に人類は作物を作ることを覚えます。また野生動物を家畜化し、それらを飼うことを覚えます。最初に家畜化されたのはイヌです。イヌの祖先はオオカミですが、オオカミが家畜化されたのが新石器時代の少し前14,000〜12,000年前頃とされています。その頃はまだ人類が狩猟生活をしていた時代であり、オオカミが狩りの手伝いをしてより人と親しくなり、今のようなイヌへと進化してきたものと思われます。 左の絵はエジプトのイピ王の墓に描かれているイヌで、これをみると紀元前1000年頃にはイヌがペットとして飼われていたようです。このイヌにオオカミの面影はありません。 古代の居住地跡から発掘される動物の骨の研究から、ヒツジやヤギが家畜化されたのが9,000年前、牛と豚が家畜化されたのが8,000年前とされています。 |
紀元前3,000年頃になるとエジプトに統一国家がおこります。この国家はナイル川のほとりで多くの穀物を生産することにより繁栄しました。貯蔵している穀物を荒らすネズミを退治するために山猫からネコが家畜化されました。古代エジプト人は多くの動物を神として崇めていましたが、特にネコは豊穣の神として大切に扱われました。
このように古代人は自然や動物に敬意を払っていたようです。このような考えは先程例に上げたアイヌの人々やアメリカインデアンにも通じるものがあります。また、病気は超自然的な現象であり、それを治すためにまじない師による魔術的な方法がとられていました。
ギリシャ・ローマ時代
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自然科学は今から2500年ほど前の古代ギリシャ時代から始まります。古代エジプトやバビロニアでは病気は超自然的な現象つまり神あるいは悪魔の仕業であり、それを治すために魔術的な方法がとられていました。しかし、ギリシャ時代になると病気が超自然的なものであるとの考えを廃し、病気を科学的に探ろうとしました。ギリシャの医学者であるヒポクラテス(紀元前460〜375)は医療に数々の貢献をし、死後に弟子達によりまとめられた「ヒポクラテスの誓い」の中には「安楽死の禁止」と「医者の守秘義務」が書かれています。彼はヒトの臓器についての解剖学的知識を持ち、ある種の手術は当時既に行われていたようです。 |
ギリシャ時代が終わりローマ時代になっても医学はギリシャ人に任され、その中にガレノス(131〜201)が現れました。この頃になると人体の解剖が許されなくなり、彼はブタやサルなど多くの哺乳動物用いて解剖学的、生理学的実験を行い、動物の体の構造や脳と神経の機能、血液の働きなどを研究し、それらの実験を通して彼は初めてギリシア医療に実験的証明という方法を導入し、ギリシャ医学の集大成を行いました。ガレノスの学説はルネッサンスが興る16〜17世紀まで覆りませんでした。 時代は移りギリシャが衰え、ローマが繁栄します。ローマの全盛時も医療はギリシャ人に任されていました。しかし、ローマ人も上水道や下水道を整え、公衆衛生の面で医学に貢献しています。 その一方で多くの奴隷を得て退屈している市民に娯楽を提供するために各皇帝はコロッセウムでハンテイグショウを繰り広げていました。奴隷と動物を戦わせて楽しんでいたのです。動物を集めて飼育するだけでも莫大な費用がかかったことからこのハンテイングショウは自然消滅します。 |
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宗教に根ざした動物に対する考えの違いを歴史上の人物の言葉から拾ってみると、紀元前4世紀のギリシャの哲学者アリストテレスは「自然はすべての動物を人間のために造った」といっており、13世紀のイタリアの神学者トマス・アクィナスナスは「神学大全」において「殺しても、その他どんな方法によってでも人間は動物を自由に利用することができる」と言っています。 それに対して江戸時代(18後半〜19世紀前半)の日本の俳人小林一茶は「雀の子、そこのけそこのけお馬が通る」、「痩せガエル負けるな一茶ここにあり」、「やれ打つなハエが手を擦る足をする」などの句を残しています。仏教思想に根ざした一茶の小動物や昆虫に対する思いやりがうかがわれます。 20世紀のインドの思想家マハトマ・ガンジーは「国家が偉大であり、道徳的に進歩しているかどうかは、動物の取り扱い方によって判断される」と言っています。 |
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さて西ヨーロッパにおいてローマ教皇の権力は各国王の権力をしのぐようになります。キリスト教に反する考えに対しては宗教裁判が開かれます。中世のヨーロッパでは「動物にも魂がある」などといったら異教徒とみなされ、魔女狩りの対象とされました。東洋の思想では到底考えられないことです。 また、このころのヨーロッパではローマ時代のコロシウムと同様、退屈な農民や貴族の娯楽として熊いじめや牛攻めが行われていました。右の絵はその当時の牛攻めの風景です。牛を飼育している農家は牛を肉屋にだす前にこの牛攻めにだすことを法律で義務づけられていたそうです。 |
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動物機械論 目的論 功利主義思想 |
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