近世哲学者達の考え
デカルト(1596〜1650、フランスの哲学者)
動物機械論
(方法序説 1637年)
時計などの機械は部品の組み合せで規則的な動きをするが、 動物も同様に自然が与えた部品の組み合わせによって機械的な行動をとる。
動物には精神(魂)がないから「単なる機械」である。
人間には精神があるから「単なる機械」ではない。
人間だけが精神(理性)をもっている証拠は人間のみが言葉を話すからである。
したがて人間は動物を道具として利用することができる。
機械的世界論・・・世界の全てが物理的法則に従って動いているという世界観。
還元論(還元主義)・・・複雑な物事でも、それを構成する要素に分解し、それらの個別(一部)の要素だけを理解すれば、 元の複雑な物事全体の性質や振る舞いもすべて理解できるはずだ、と想定する考え方。
しかし、人間の「肉体」は還元論で説明がつくが、人間の「精神」は還元論で説明がつかない。
心身二元論・・・人間は「肉体(感情を含む)」という物質と、それに含まれない「精神」という二つの存在から成り立っている、とする考え。
ここでいう「精神」とは人間だけが持つ「思考や意識、言語といった人間の脳の高次な働き」を指し、動物にも存在するような感情は「精神」には含まれない。
動物精気・・・デカルトは感情(情念)などの心理現象は動物精気と呼ばれる物質(血液の一種のような物)によって生理学的に説明できると考えていた。
cogito, ergo sum・・・われ思う、故にわれあり・・・すべてを疑っても、考えている自分の存在だけは疑えない。それだけは確かである。すべては自分が考えることから始まる。(方法序説)
カント(1724〜1804、ドイツの哲学者)
目的論
動物には自意識がない。
動物は単に目的の手段としてのみ存在する。
その目的とは人間である。
したがて人間は動物を道具として利用することができる。
ベンサム(1748〜1832、イギリスの哲学者)
功利主義思想
(最大多数の最大幸福)
道徳的に正しい行為とはこの世の中にできるだけ多くの幸福をもたらすことである。
苦痛は道徳の最大の敵である。
私たちが道徳的であろうとするならば、痛みを感じる存在に対して、痛みを与えてはならない。
動物も感覚があり、苦痛を感じることができるので、道徳的に扱われる権利がある。
したがてその権利を法律で守ってやらなければならない。