GLP-1受容体シグナルの肺における生体防御への役割
GLP-1は食事に伴い小腸から分泌されるホルモンで、膵臓のβ細胞に働き、インスリンの分泌を促すことから糖尿病の治療にも用いられています。しかしながらGLP-1の受容体は膵β細胞以外にもさまざまな臓器に発現しています(図1)。この中で肺は特にGLP-1受容体の発現が多い臓器です。

私は、肺におけるGLP-1受容体シグナルの役割に関して生体防御の観点で検討してまいりました。
ブレオマイシンを用いた非感染性肺障害モデルマウスにおいては、GLP-1受容体シグナルが交感神経を介して炎症を増強させる可能性が示唆されましたが、インフルエンザウィルスを用いた感染性肺障害モデルマウスにおいてはGLP-1受容体シグナルはInterferon inducible GTPaseを増加させることでインフルエンザウィルスを減らし、インフルエンザ感染を改善させることが示唆されました。
