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研究の内容

臨床に即した「患者さんに還元できる研究」を行っていきます。

現在、当科では以下のような研究を行っております。


遺伝性皮膚疾患の遺伝子診断

 遺伝性対側性色素異常症(DSH)や網状肢端色素沈着症(RAK)などの色素異常症を中心に さまざまな皮膚疾患の遺伝子診断を行っております。また、拘束性皮膚障害(Restrictive dermopathy)の遺伝子診断も行っております。
 遺伝子診断は遠方の場合、血液をお送りいただければ可能ですので、お気軽にご相談ください。
 mail:dermatol@med.akita-u.ac.jp

  1. 遺伝性対側性色素異常症および網状肢端色素沈着症の新規治療法開発
    遺伝性対側性色素異常症(DSH)
    遺伝性対側性色素異常症(以下DSHと略します)は、1910年遠山により初めて報告され、日本人と中国人に多く見られる遺伝疾患です。 常染色体優性の遺伝形式を示します。両手背と両足背に色素斑と白斑の混在する皮疹が特徴です。神経症状の合併が稀にあります。
    本教室で立ち上げられた研究をもとにして、DSHの4家系の患者さんとそのご家族、約100名のご協力により、遺伝子連鎖解析、ハプロタイプ解析を行い、 2003年にRNA編集酵素の一つである二重鎖RNA特異的アデノシン脱アミノ化酵素1(以下ADAR1)が病因遺伝子であると明らかにされました (Miyamura et al. Am J Hum Genet. 2003)。
    RNA編集酵素は近年その存在が明らかにされ、DNA>mRNA>蛋白合成へと遺伝子情報が一方的にしかも忠実に伝えられるとした セントラルドグマを揺るがす存在として、現在その生理的役割の解明に注目を集めている酵素です。 当研究室でも、このADAR1遺伝子の変異により何故DSHが発症するのか研究を進め、治療法開発を進めています。
    網状肢端色素沈着症(RAK)
    網状肢端色素沈着症(以下RAKと略します)は、1942年北村により初めて報告され、日本人に多く見られる遺伝疾患です。 常染色体優性の遺伝形式を示します。 両手背と両足背にわずかに陥凹した網目状または点状の色素斑が特徴です。
    私は、RAKの1家系の患者さんとそのご家族のご協力を得て、 2013年にさまざまなたんぱく質の細胞外ドメインを切断するシェディング酵素の一つであるADAM10が 病因遺伝子である事を明らかにしています(Kono et al. Hum Mol Genet. 2013)。
    ADAMファミリーはさまざまな生理的役割をもつことが明らかになっており、注目を集めている酵素です。 なぜ、このADAM10遺伝子の変異によりRAKが発症するのか研究を進め、新規治療法開発を目指しています。

  2. 各種遺伝性皮膚疾患の遺伝子診断による新しい病態の解明
    遺伝性対側性色素異常症(DSH)や網状肢端色素沈着症(RAK)など各種色素異常症を中心に、さまざまな遺伝性皮膚疾患の遺伝子診断を行っております。 拘束性皮膚障害(Restrictive dermopathy)の遺伝子診断も行っております。
    ■患者さんを診察されている医師の皆様へ■
    遺伝子診断は遠方の場合、郵送で検体と診療情報をいただくことでも可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。

  3. 帯状疱疹後神経痛の発症予防の研究
    帯状疱疹後神経痛とは、帯状疱疹ウイルスに感染した神経が支配する皮膚領域に起こる、慢性的な痛みのことをいいます。 痛みは数カ月程度で自然に治癒する場合もあれば、何年も続く場合もあり、発症を予防することが重要です。 我々は、帯状疱疹発症時にルパタジンフマル酸塩を内服することにより、帯状疱疹後神経痛の発症予防効果に対する臨床研究を行っています。

  4. アトピー性皮膚炎のバリア機能の研究
    当科ではアトピー性皮膚炎の専門外来を開設し、患者さんの治療にあたるとともに、皮膚バリア機能の研究を行っています。 外用薬や生物学的製剤治療前後に皮膚角層のセラミド量や保湿機能を測定することにより、薬剤によるバリア機能への効果を解析しています。 これらの研究から、アトピー性皮膚炎の病態解明や最適な治療法の開発に取り組んでいます。

  5. 乾癬に関する研究
    臨床研究
    当科では乾癬の専門外来を行っており、県内外からたくさんの尋常性乾癬、関節症性乾癬や掌蹠膿疱症の患者さんが来院されています。 近年、たくさんの種類の生物学的製剤が発売されて効果を上げていますが、当科でも発売当初より患者さんへの投与を行っており、豊富な使用経験があります。 その点を生かして、患者さんのご協力を得ながら、臨床データを使った研究を行っています。
    基礎研究
    “尋常性乾癬の新規関連遺伝子の同定”
    尋常性乾癬は、遺伝的素因に様々な環境因子が加わって発症すると言われています。 これまでいろいろな関連遺伝子が報告されてきていますが、発症に関わる非常に強い連関を持つ遺伝子はまだ明らかになっていません。 私たちは、患者さんの協力をいただきながら、尋常性乾癬の新規関連遺伝子の同定を目指す研究を行っています。