医学生・研修医の方へ

消化器外科について

当科での研修が、決して楽だとは思いません。しかし、当科での研修で得られる経験・知識・技術は大きなものだと考えています。当科の研修の根幹をなす事項に関して説明します。

1,日常診療を学習する場としての各種カンファレンス

消化器外科に限らず、外科治療はチーム医療です。患者さんの診療に関して、科内またはチーム内で治療方針などコンセンサスを共有することは重要です。したがって、コンセンサスを得る場として、様々なカンファレンスは非常に大切な場となります。当科では、①術前症例検討、②術後症例検討、③外来症例検討、④消化器Cancer Board が主なカンファレンスとなります。

①術前症例検討

手術の適応や術式に関して検討を行っています。脈管の走行・分岐などに関しても詳細に検討しており、その術式が妥当であるか、解剖学的に成立するのかなど、一例ごとに検討します。

②術後症例検討

手術記事(手術所見)の提示とともに、手術を検討します。手術記事は、必要かつ十分な情報を記載すべきですが、行った手技・順序を記載するだけでは不十分と考えます。術中の所見より、このように判断し手術を行ったとの、思考過程・判断が記載されている手術記事は素晴らしいと思います。手術記事を検討することで、たとえその手術にかかわっていなくとも、術中の所見を判断し対処するというトレーニングができる場であると考えます。

③外来症例検討

新患患者さんや外来通院中の患者さんの検討を行います。新患患者さんは、手術適応・術式などを検討します。外来通院患者さんに関しても、疑問や相談したいことがあった場合には、皆で相談し決定しています。この点、主治医であるからといって、過度な責任を負う必要はないものと考えています。

④消化器Cancer Board

消化器内科からの手術適応となる患者さんの紹介がメインではありますが、消化器外科、消化器内科、腫瘍内科、放射線科、病理の医師が出席しますので各々専門的な立場からの意見を頂ける貴重な機会です。複数科にまたがるような事案であっても議論し、方針を検討しています。

一見、カンファレンスが多いように思えるかもしれませんが、日々の診療で生じた疑問点を明らかにし、その疑問点を解決してゆくという過程は、すなわち自分が成長するなかで必要な学習の一環と考えます。また、専門的立場からの意見は、日常診療の助けになる以外にも、研究会・学会発表や、研究の芽生えにつながるなど、アカデミックな雰囲気に触れる良い機会になると思います。

2,手術手技習得の学習

手術手技などの技術習得に恵まれた環境にあると考えています。術中の指導はもちろんのことですが、手術室全室に録画装置が設置されており、当科の手術はすべて録画し、保存しています。見直しや振り返りが容易に可能で、学習の助けとなります。また、シミュレーションセンターを中心に設置している、手術シミュレーターでのトレーニングも可能です。

3,研究会・学会発表

研究会や学会の発表にも力を入れています。発表者となる若手の先生(研修医含む)には、最善の発表をしてもらいたいと考えているので、おのずと指導は厳しくなりますが、発表当日は自信をもって発表できるものと考えています。

医局のスタッフや先輩医師は、研修する皆が充実した研修を行えるよう指導し、また親身に相談に乗ります。当科での研修に興味がありましたら、ぜひご連絡ください。

問い合わせ

Mail
医局長
渡邊 剛

消化器外科専門医コース

消化器外科専門医は外科専門医のサブスペシャルティであり、まず、外科専門医をする。このためには一般外科、消化器外科、小児外科、胸部外科、心臓血管外科に拘る基礎症例を経験することが必要となるため、関連医療機関ならびに大学内の小児外科、呼吸器外科、心臓血管外科もローテートし、症例経験を蓄積する。その後、消化器外科専門医研修医は、診療チームに配属され、主治医として病棟患者5-10名を受け持つ。研修期間、個々の研修目的にあわせ、数ヶ月から1年程度の期間で複数の関連研修施設での研修を選択できる。希望に応じて、①内視鏡外科、②肝胆膵外科、③癌の化学療法、などを修練できる(選択可能)。卒後6年目に外科専門医、8年目以降に消化器外科専門医が取得できる。これらの資格の取得は、がん治療認定医、内視鏡外科技術認定医や肝胆膵外科技術認定医の取得に繋げられる。本コースでは、入院病棟31床で約70%が癌手術、年間それぞれ約50例の胃癌手術、大腸癌手術、90例の肝胆膵癌手術の症例修練ができる。

コースの指導状況

患者診療を介して、病歴・理学所見・基本的治療方針の立て方、病状や検査・治療の説明の仕方など、消化器外科専門医育成のために、日々きめ細かく指導している。手術技術の習得のためには術中のみならず、録画ビデオにより繰り返し操作の復習ができる体制を構築しており、それによる検討会も行っている。また、消化器外科医としての診断能力の向上の為に、消化器内科医や画像診断医、病理医との合同検討会も開催されている。

専門医の取得等

学会等名
日本外科学会
資格名
外科専門医
資格要件
修練開始登録後満4年以上経た段階で予備試験(筆記試験)。予備試験に合格後、修練開始後満5年以上経て、規定の修練をすべて経験した段階で認定試験(面接試験)を受験し、外科専門医として認定(有効期間:5年)。認定試験の受験申請時には日本外科学会の会員であることが必要。修練実施計画に則り、本会指定施設または関連施設において、最低350例の手術、術者として規定の症例120例を経験していること。筆頭者として、学会から適当と認められた学術集会または学術刊行物に、研究発表または論文発表をしていること。
学会の連携等の概要
日本外科学会外科専門医制度修練施設
学会等名
日本消化器外科学会
資格名
消化器外科専門医、消化器がん外科治療認定医
資格要件
日本外科学会外科専門医であること。継続3年以上日本消化器外科学会会員であること。臨床研修終了後,指定修練施設において所定の修練カリキュラムに従い,通算5年間以上の修練を行っていること。専門医修練カリキュラムに示された手術については,指定修練施設における修練期間中に手術難易度・到達度別必須症例及び必須主要手術の術者としての規定例数を含む450例以上の経験を必要とする。消化器外科に関する筆頭者としての研究発表を6件以上(論文3編を含む)とし,対象となる業績は,定められた「医学雑誌」及び「学会の学術集会(総会・大会:地方会は除く)」に発表されたもの。申請までの期間に本会総会に1回以上及び本会教育集会の全6領域に出席し,受講証によって証明できるもの。
学会の連携等の概要
日本消化器外科学会専門医制度指定修練施設(認定施設)
消化器外科専門医モデルコース

週間スケジュール

週間スケジュール

留学先について

アメリカ・ドイツへの留学を積極的に進めています。

これまで、アメリカのコロンビア大学、ノースカロライナ大学、フロリダ大学、カナダのクイーン大学、ドイツのケルン大学、ボン大学、エッセン大学、ミュンスター大学、ハイデルベルグ大学、アーヘン大学、マインツ大学、ハノーバー医科大学、ハンブルグ・アスクレピオス病院(ゼンメルワイス大学アスクレピオスキャンパス ハンブルグ)の外科とも共同研究を含めた交流があり、留学の可能性があります。

また、国内留学についても京都大学の消化管外科や肝胆膵・移植外科、神戸大学の肝胆膵・移植外科などへの道があります。

同門会のご紹介

同門会について、こちらのページでご紹介しています

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