肥満のスティグマとメンタルヘルスに関して

8. 肥満のスティグマとメンタルヘルスに関して

肥満のスティグマ

 肥満は、食べ過ぎや運動不足などの生活習慣以外に、さまざまな要因が関係します。

 それには、遺伝的要因や生物学的要因(腸内細菌叢・消化管ホルモンなど)、環境的要因(ストレスなど)、社会的要因(車社会の発展、コンビニエンスストアの増加など)など、個人の努力だけでは解決できない要因が含まれます。

 スティグマとは、「負の烙印(らくいん)」とも訳されますが、肥満のある人に対して、必要以上に個人の生活習慣が原因であることが強調される傾向があり、肥満のスティグマと呼ばれます。肥満のある人自身そして社会全体が、肥満と肥満症について正しく理解し、これらのスティグマを解消していくことが重要です。

メンタルヘルスについて

 こころの状態と食行動は密接に関係していることが知られています。

 食べ方の「くせ」や「ずれ」が大きいと、自分で食行動をうまくコントロールできないと感じて悩んだり、体重が著しく増減したりすることがあります。

 また、肥満はうつ病・双極性障害・パニック障害との関連もあるといわれており、肥満症を治療していくうえで患者さんのメンタルヘルス(精神の健康)について知ることはとても大切です。

 肥満症外来では、食行動やご気分、眠りについて問診させて頂き、必要に応じて専門家への相談もお勧めすることがあります。