秋田大学大学院医学系研究科 消化器外科学講座(旧第一外科)

医学生・研修医の方へ

社会から信頼される外科医となるためには、しっかりとした指導体制のもとで修練を受けることが必須です。大学での研修は先進的な知識などについても勉強しなければならないことも多く、正直とてもハードです。しかし、それは皆さんも望むところではないでしょうか。かつて私が研修医であった頃は、指導医が肝臓外科の黎明期を築きつつある頃であったので、毎日、点滴を自ら作り(当時、高カロリー輸液も基本となる溶液を調合して病棟で作成していた)、手術日には朝早くから輸血用の生血を30人分採血し、手術が終わると夜遅くまで手術記事とスケッチを描くという日常でした。そのほかに、当時、研究としてされていたヒヒ肝の灌流を利用した人工肝臓で術後肝不全の治療をしている患者さんの管理や研究用の血液検査など厳しく、とても忙しいものでした。時代は変わり、点滴作りや生血採血が外科研修医の仕事になることはなくなりましたが、その代わりに、化学療法プロトコールや画像診断技術など新たに勉強しなければならいことは昔の比ではありません。この意味で、研修医の大変さは今も昔も同じでしょう。厳しく忙しかったといってしまえばそれまでですが、思い出されるのは英語でしかも、タイプ打ちで書きなさい(当時、ワープロソフトはまだ一般的ではありませんでした。)と言われて作った手術記事を指導医が時間をかけて修正してくれたことや、同僚と解剖アトラスを見ながら、「そこはこうしてたんちゃうか?」とか、「今日の手術のもとになった論文もらってきたでぇ~」とか、がやがや言いながらスケッチを作成していたことなど楽しい思い出です。それは、学生の時には想像も及ばなかった最先端の医療に直に接することができ、毎日、何からの新鮮な体験をし、感動する出来事に出会っていたからではないかと思います。肝性深昏睡であった患者さんが目覚めて不穏症状を出した瞬間の感動、初めての症例報告に研究室のデータを添えて先進科学的なものに仕上げてもらえたことなどが、その後に肝臓外科を中心とした専門分野に進むモチベーションとなっています。このように大学病院での研修ではいつの時代でもガイドラインで規制された医療や一般病院では経験できない最先端医療を肌で感じることができます。また、研修医として見る先端医療の内容はBSLで見てきたものとは全く違ったものとして映ることでしょう。これらを若い時に経験することは皆さん方の隠れた臨床のセンスを開発し、外科医としての感性に磨きをかけるのにきっと役立つと思います。もちろん、これらの最先端医療を皆さんの自身の手で実践するまでには、その前に多くの症例を関連病院で経験し、基本的なスキルを身に着けることが必須であることはいうまでもありませんが、スキルの取得に溺れてしまう前の研修医の時期に感性を磨いておくことは重要であろうと考えています。

2017年には日本専門医機構による新たな専門医制度がスタートします。このシステムでは外科修練が基幹病院を中心とした「病院群」による研修プログラムに基づいて実施されますが、基幹病院で少なくとも6か月間の修練を受けることが義務づけられています。主に、大学病院を中心とした病院群が想定されていますが、是非とも、その機会までに入局し、早い時期に一度大学病院での研修に身をおいて、そこで感性や研究マインドを身に着け、それらを内に秘めた状態で関連病院群における技術修練を受け、卒後5年目には社会から信頼される外科専門医に成長していただきたいと願っております。

外科専門医取得後には一旦帰局して、卒後教育としてさらなる手術と診断能力の涵養に努めてもらいます。多岐にわたる分野の専門家が在籍する大学病院で突き詰めた討論がなされるカンファレンスに参加して、自身の考えを戦わせることは診断能力の向上や手術計画の策定能力にこの上なく役立ちます。並行して、消化器外科専門医やさらに上級の技術認定を取得するためのプログラムに入っていただき(消化器外科専門医修練もプログラム制になる予定です)、関連修練施設との間で計画的な人事交流を行うとともに、それらに必要な学会発表や論文作成や指導を受けていただきます。先に述べた、研修医時代に先端医療の現場で感じ取るものは皆さんそれぞれ異なるでしょうし、その後の臨床修練で経験した心に残る症例も異なるでしょう。したがって、この頃に固まってくる自身のキャリアパスへの考え方も異なってきます。それまでに自分自身が経験した症例をもとに外科臨床に残されている課題を研究したいと思うようになった人は大学院に進学するのもいいでしょう。研究の経験というのは博士号の取得とは別個に、専門家としての自信の獲得、論理的思考・多角的推論・論文作成技術・英語での外国人とのコミュニケーションの鍛錬など、今後の専門医に求められるであろう能力を短期間に開発するための強力な武器になります。当講座では博士号か専門医資格かという選択ではなく、博士号取得者にも消化器外科専門医を合わせて取得してもらえるようにしています。また、博士号の取得は海外留学先に正式なポジションで受け入れてもらうための必須条件ともいえるものです。海外留学というのは世間でグローバル化と騒いでいるのとは違った意味があります。異文化の中に身を置くことによって自分自身の世界観も変わり、あなた方本人にはわからないところで人間としての幅が何倍も広がるでしょう。そして、海外の友人たちはその後のキャリヤ形成の宝物になるでしょう。

消化器外科専門医取得の後は地域基幹病院で診療に貢献しながら後進の指導に当たるのも一つの選択、さらに手術手技に磨きをかけて技術認定を取得するのも一つ、海外に留学してさらに研究を極め、大学のスタッフとしてさらなる先端医療の開発に貢献するのも良しです。外科医局の仲間は昔から「親と思え、子と思え」といわれるようにスタッフや先輩はあなた方が充実した人生を送れるようにいつでも親身に相談に乗ってくれます。

教授:山本 雄造

消化器外科について

秋田大学消化器外科では、患者診療を介して、病歴聴取・理学所見・基本的治療方針の立て方、病状や検査・治療の説明の仕方など、消化器外科専門医育成のために、日々きめ細かく指導しております。手術技術の習得のためには術中の指導のみならず、録画ビデオにより繰り返し操作の復習ができる体制を構築しています。鏡視下手術シミュレーターを使った手術トレーニングも可能です。術前検討会では、脈管の走行・分岐等、詳細な検討を行い、術後検討会では、手術記録の細部にわたる確認・見直しが行われます。また、Cancer Boardを組織し、消化器外科、消化器内科、腫瘍内科、放射線科医師、病理医などが参加し、治療方針決定のためにそれぞれ専門の立場から意見を交換して症例検討を行っております。このように一つ一つの症例を大切に吟味することで、的確な治療が行われているかの確認とともに、消化器外科医としての診断能力・手術手技の向上に寄与していると考えられ、大学病院ならではの研修ができるものと思います。また、症例数の豊富な関連病院との連携を密にし、専門医取得にも十分な経験を積むことができます。

消化器外科医は決して楽な仕事ではありません。時には滅私奉公の精神で、睡眠時間を削って働くことも要求されます。しかし、それだからこそやりがいがあるのではないでしょうか。死を覚悟して私たちの科を受診し、手術にのぞみ、元気になって退院していく姿をみるのは、外科医冥利につきます。将来の消化器外科を担うべき皆さんとともに、さらなる一歩を踏み出せることを心待ちにしております。

当科での研修に興味のある方はぜひご連絡下さい。

Mail:miya@med.akita-u.ac.jp
医局長:宮澤秀彰

消化器外科専門医コース

消化器外科専門医は外科専門医のサブスペシャルティであり、まず、外科専門医をする。このためには一般外科、消化器外科、小児外科、胸部外科、心臓血管外科に拘る基礎症例を経験することが必要となるため、関連医療機関ならびに大学内の小児外科、呼吸器外科、心臓血管外科もローテートし、症例経験を蓄積する。その後、消化器外科専門医研修医は、診療チームに配属され、主治医として病棟患者5-10名を受け持つ。研修期間、個々の研修目的にあわせ、数ヶ月から1年程度の期間で複数の関連研修施設での研修を選択できる。希望に応じて、①内視鏡外科、②肝胆膵外科、③癌の化学療法、などを修練できる(選択可能)。卒後6年目に外科専門医、8年目以降に消化器外科専門医が取得できる。これらの資格の取得は、がん治療認定医、内視鏡外科技術認定医や肝胆膵外科技術認定医の取得に繋げられる。本コースでは、入院病棟31床で約70%が癌手術、年間それぞれ約50例の胃癌手術、大腸癌手術、90例の肝胆膵癌手術の症例修練ができる。

コースの指導状況

患者診療を介して、病歴・理学所見・基本的治療方針の立て方、病状や検査・治療の説明の仕方など、消化器外科専門医育成のために、日々きめ細かく指導している。手術技術の習得のためには術中のみならず、録画ビデオにより繰り返し操作の復習ができる体制を構築しており、それによる検討会も行っている。また、消化器外科医としての診断能力の向上の為に、消化器内科医や画像診断医、病理医との合同検討会も開催されている。

専門医の取得等

学会等名 日本外科学会
資格名 外科専門医
資格要件 修練開始登録後満4年以上経た段階で予備試験(筆記試験)。予備試験に合格後、修練開始後満5年以上経て、規定の修練をすべて経験した段階で認定試験(面接試験)を受験し、外科専門医として認定(有効期間:5年)。認定試験の受験申請時には日本外科学会の会員であることが必要。修練実施計画に則り、本会指定施設または関連施設において、最低350例の手術、術者として規定の症例120例を経験していること。筆頭者として、学会から適当と認められた学術集会または学術刊行物に、研究発表または論文発表をしていること。
学会の連携等の概要 日本外科学会外科専門医制度修練施設
学会等名 日本消化器外科学会
資格名 消化器外科専門医、消化器がん外科治療認定医
資格要件 日本外科学会外科専門医であること。継続3年以上日本消化器外科学会会員であること。臨床研修終了後,指定修練施設において所定の修練カリキュラムに従い,通算5年間以上の修練を行っていること。専門医修練カリキュラムに示された手術については,指定修練施設における修練期間中に手術難易度・到達度別必須症例及び必須主要手術の術者としての規定例数を含む450例以上の経験を必要とする。消化器外科に関する筆頭者としての研究発表を6件以上(論文3編を含む)とし,対象となる業績は,定められた「医学雑誌」及び「学会の学術集会(総会・大会:地方会は除く)」に発表されたもの。申請までの期間に本会総会に1回以上及び本会教育集会の全6領域に出席し,受講証によって証明できるもの。
学会の連携等の概要 日本消化器外科学会専門医制度指定修練施設(認定施設)

週間スケジュール

留学先について

アメリカ・ドイツへの留学を積極的に進めています。

これまで、アメリカのコロンビア大学、ノースカロライナ大学、フロリダ大学、カナダのクイーン大学、ドイツのケルン大学、ボン大学、エッセン大学、ミュンスター大学、ハイデルベルグ大学、アーヘン大学、マインツ大学、ハノーバー医科大学、ハンブルグ・アスクレピオス病院(ゼンメルワイス大学アスクレピオスキャンパス ハンブルグ)の外科とも共同研究を含めた交流があり、留学の可能性があります。

また、国内留学についても京都大学の消化管外科や肝胆膵・移植外科、神戸大学の肝胆膵・移植外科などへの道があります。

同門会のご紹介

同門会につて、こちらのページでご紹介しています >>

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