現在進行中の研究

  1. 小胞体(ER)ストレスと蛋白合成品質管理からみた術後肝再生に関する研究

    工藤和大

    ウイルス性肝炎や非アルコール性脂肪性肝炎、化学療法施行後など、種々の障害肝においてERストレスが潜在することが明らかとなってきた。工藤は、このような背景肝に対しての肝切除の安全性を高めることを目的として、術前に存在するERストレスが肝切除後の肝再生に与える影響を検討している。マウスにTunicamycin (TM) を投与することでERストレスを誘導した。TM投与48時間後70%肝切除を行い、肝再生能を評価した結果、低容量TM投与群では肝再生は促進したが、高容量TM投与群では肝切除後アポトーシスを引き起こし、死亡してしまった。TM投与により肝再生因子 (HGF、c-Met)の増加を認めたが、ERストレスによるアポトーシス因子の発現増加も認められた。肝切除後早期の再生因子であるIL-6は肝切除後、TM投与群でmRNAの発現は亢進していた。しかし、血液中IL-6は低容量TM投与群では増加を認めたが、高容量投与群では増加しなかった。ERストレスは肝再生因子を発現させるが、過度のストレスではアポトーシスが誘導され細胞死が引き起こされる。切除予定の背景肝にERストレスが関与しているのか、さらにERストレスがどの程度影響しているか、を評価する手段を確立することができれば肝切除の安全性を高めることができると考えられた。

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  2. 小胞体(ER)ストレスと蛋白合成品質管理からみた術後肝再生に関する研究

    高橋智和

    高橋智和

    肝虚血再灌流障害に伴う様々な肝障害の病態に関わるクッパー細胞の重要性はこれまで多くの研究者によって研究され、明らかにされてきた。しかし肝類洞を内皮細胞の外側から裏 打ちしている肝星細胞(伊東細胞)と肝障害との関わりはほとんど研究されていない。高橋はグリオトキシン投与によってラット肝臓における肝星細胞を減少させ、その肝臓に温阻血・再灌流を与えて肝微小循環の改善、肝虚血・再灌流障害の軽減が見られるかどうかを研究している。

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