牛痘ウイルス感染症
- 病原体
- 病原体保有動物とヒトへの感染経路
- ほとんどのほ乳類
- ネコ科の動物に重篤な感染が起こり、ヒトへの感染源となる。
- げっ歯類が病原巣動物と考えられる。
- 牛痘はジェンナーが種痘に用いたことで有名。
- 当時はウシの病気と考えられていたが、現在では齧歯類を自然宿主とするもので、ウシはたまたま感染するものと考えられている。
- かって行われた抗体調査の結果では、英国をはじめ西ヨーロッパの野ネズミ(ヨーロッパヤチネズミ、モリアカネズミ、キタハタネズミ)で高い陽性率が見いだされた。
- なお、種痘に用いられる天然痘ワクチンに含まれているウイルスは牛痘ウイルスではなく、ワクチニアウイルスだが、これもまた、齧歯類のウイルスと推測されている。
- ヒトの症状
1969年から93年の間に見いだされた54例の牛痘ウイルス感染例を調べた結果、感染者の多くは手、顔に痛みを伴った出血性の潰瘍
や黒いかさぶたと浮腫、紅斑、リンパ節の腫れの症状を示していたが、湿疹のあるヒトや免疫不全のヒトでは致死的な例も見いだされていた。
- 動物の症状
ウシ・・・乳房、乳頭部に軽度の感染が起こる程度(炎症、丘疹、水疱、膿瘍)。
- 予防、治療
牛痘ウイルスのヒトへの感染はこれまで非常に稀にしか起きていないが、種痘が中止された結果多くのヒトで天然痘ウイルスだけでなく
牛痘ウイルスに対する免疫も残っていないこと、エイズなどで免疫不全のヒトが増えていることから、注意が必要。