John Miller1

International Harmonization of Animal Care and Use

Lab animal, Vol27, No. 5, 28-31, May 1998.

訳者(秋田大:松田、佐賀医科大:森本)


動物の管理と使用に関する国際的ハーモナイゼーション


要約


 欧州でもCoE(欧州審議会Council of Europe)やEU(欧州連合Europe Union)の多国間協定のもとに「動物の管理と使用の基準」に関するハーモナイゼーションが進んでいる.

 しかし,英国はじめ欧州先進諸国の法律に見られる方法重視の基準(engineerring standards)を経済,文化あるいは思想の異なる欧州の国々に適用するには無理があり,それらの国々が採用する基準としては米国で導入しているような結果重視の基準(performance standards)が望ましい.

 「結果重視の基準」は幅広い解釈を可能とし,実施に際し比較的柔軟性がある反面,実際に行われる動物の管理と使用が本来求められる動物福祉を満たすものであるか否かを評価することは難しい.

 そのため米国では評価システムの研究が盛んであるが,今後ともその努力をつづける必要がある.そのシステムの確立に実験動物学の知識,技術が役立つ.


参考
欧州連合(EUEurope Union
欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC),欧州経済共同体(EEC),欧州原子力共同体(EAEC)の三共同体を総称して欧州共同体(EC)と呼ばれてきた.199311月に発行したマーストリヒト条約により分野を拡大し,欧州連合(EU)という名称を用いるようになった.

欧州審議会(CoECouncil of Europe
EU(欧州連合)EC(欧州共同体)とは全く別の機構で,歴史はECよりも古く,第二次大戦の欧州統合機運の中で作られた最初の機構だったが,ECのように経済統合を目指すものでも,超国家的な組織作りを目指すものでもなく,主に社会的分野(人権保障,保健,教育,環境など)および政治的分野(民主主義の推進など)で,共通に守るべき条約を作ることで加盟国間の緊密化を深めてきた.つくられた条約は140以上にのぼるが,そのうちのひとつ,欧州人権保護条約は,欧州人権委員会・欧州人権裁判所という専門機関を設け,世界で最も進んだ人権保障体制をつくっている.

全訳
1Miller is the executive director of the Associate for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care International, 11300 Rockville Pike, Ste. 1211, Rockville, MD 20852-3035, U.S.A.