麻酔前の絶食・絶水

 ウサギ,モルモットおよび小型げっ歯類では日内リズムから絶食による合併症が生じることもある。そのため術後すぐに飼料を摂取できるようにすべきであるが,光周期が暗期となるまでは餌を食べないかもしれない。さらに,疼痛や外科的ストレスあるいは麻酔からの覚醒の遅延により摂餌量が減少する可能性がある。摂餌および摂水が,術後24時間抑制されるようであれば,代謝への影響が著しい。術前に絶食を行っている場合には,代謝への影響はさらに著しく,研究データおよび動物福祉を損なうことにもなる。そのため特に研究プロトコルに必要なときにのみ絶食することを推奨する。

 いかなるときでも,麻酔前に体重を測定し,正確な麻酔薬の用量を計算するためにも,また,麻酔後の体重の減少を評価するうえでも役立つため,麻酔前の体重測定を行っておくべきである。

術前の絶水

 すべての動物は,麻酔の約60分前まで水を与えるべきである。もし,動物の摂水量が減じたり,嘔吐,下痢あるいは出血があった場合は,術前の輸液療法が必要であろう。


ラボラトリーアニマルの麻酔(P Flecknell著、倉林 譲監修 学窓社 1998)を参考とした。
倫理的動物実験