トピックス 2022 6/7火曜日

 

分子生化学講座 伊藤 剛 助教が『令和4年度日本生化学会東北支部奨励賞』を受賞しました 。

本研究科分子生化学講座の伊藤剛助教が「令和4年度日本生化学会東北支部奨励賞」を受賞しました。
本賞は生化学に関する顕著な成果を挙げた東北支部若手研究者に授与し、業績の賞揚を目的とするものです。
伊藤助教は受賞に伴い、令和4年5月28日に開催された「第88回日本生化学会東北支部例会」にて講演を行いました。

以下、伊藤助教の研究成果概要をご紹介します。

【線維芽細胞による新規の癌進展メカニズム】
がん間質における線維芽細胞は癌細胞の増殖や組織深部への浸潤を促進することが知られています。癌細胞により教育(刺激)された間質線維芽細胞はCAF (癌関連線維芽細胞)と呼ばれ、遺伝子発現パターンが大幅に変化し、癌増悪に有利な細胞外因子を放出することが報告されています。伊藤剛助教は所属の分子生化学講座(田中正光教授)において、CAFによる新たな癌悪性メカニズムを見つけ、国際誌に報告しました。
伊藤助教はCAF(ヒト胃癌由来)が一定量のスキルス胃癌細胞を細胞間接触を通じて殺すことを見つけました。さらに、死に陥る癌細胞はデス小胞を放出し、これに刺激されたCAFは運動性を向上させることを明らかにしました。癌細胞の排除につながる防御機構かもしれないこの作用が、一転してCAFでの癌組織の浸潤促進へと転換することでむしろ癌の進展を促すことがわかりました (Oncogene, 2017)。
CAFは癌細胞に作用するだけではなく、実は正常な線維芽細胞の遺伝子発現にも作用して癌進展に働くことを見つけました。CAF教育後の線維芽細胞をCEF(CAF関連線維芽細胞)と名づけ、CEFによる癌細胞の運動促進やT細胞の傷害致死効果を明らかにしました。CEFの存在は、がんの組織型と結び付くことが想定されるため、特定したCEFマーカー分子はがん間質の悪性度を示すバイオマーカーとして期待されます (Molecular Oncology, 2022)。

https://doi.org/10.1002/1878-0261.13077

https://www.nature.com/articles/onc201749