お知らせ

2023年01月31日(火)

精神科学講座 竹島 正浩 講師が筆頭著者となる学術論文が国際誌『Psychiatry and Clinical Neurosciences』に掲載されました

論文タイトル

Effects of Japanese policies and novel hypnotics on long-term prescriptions of hypnotics

著者名

Masahiro Takeshima, Kazuhisa Yoshizawa, Minori Enomoto, Masaya Ogasawara,Mizuki Kudo, Yu Itoh, Naoko Ayabe, Yoshikazu Takaesu, and Kazuo Mishima

掲載誌

Psychiatry and Clinical Neurosciences

研究等概要

睡眠薬の多剤併用およびベンゾジアゼピン受容体作動薬の長期処方は国際的な問題となっています。日本では2012年~2018年にかけて、睡眠薬の適正使用を目的とした診療報酬改定が計3回行われましたが、これまで診療報酬改定の睡眠薬の長期処方に対する効果は検証されていませんでした。 また、近年オレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬などの安全性が高く、依存性のない新規睡眠薬が次々と上市されており、これらの新規睡眠薬が睡眠薬の長期使用を是正する可能性も示唆されていました。しかし、これまで新規睡眠薬の睡眠薬の長期処方に対する効果は調査されていませんでした。

秋田大学精神科学講座の竹島正浩講師、三島和夫教授らの共同研究グループは、日本医療情報センターのレセプトデータを用い、 我々が定めた3つの期間(期間1:2012年4月~2013年3月、期間2:2016年4月~2017年3月、期間3:2018年4月~2019年3月)に初めて睡眠薬を処方された18万6535名を対象に、睡眠薬の長期処方に対する診療報酬改定と新規睡眠薬の効果を調査しました。

その結果、睡眠薬の適正使用を目的とした診療報酬改定は睡眠薬の長期処方を改善する有意な効果は認められませんでした。新規睡眠薬については、オレキシン受容体拮抗薬で不眠症の治療を開始することが睡眠薬の短期処方と関連しましたが、メラトニン受容体作動薬は短期処方と有意な関連は認められませんでした。 本研究より、不眠症の治療をオレキシン受容体拮抗薬で開始することにより睡眠薬の長期処方が抑制される可能性が示唆されました。本研究では不眠症状の重症度などの臨床指標を欠いており、今後も睡眠薬の長期処方に対して保護的に働く因子について研究が必要であると考えられます。

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