ニュース 2022 6/28火曜日

 

心臓血管外科学講座 山本 浩史 教授と高木 大地 助教が著者となる学術論文が国際誌『Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery』に掲載されました。

掲載誌
Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery

山本 浩史 教授

論文タイトル
Total arch repair with frozen elephant trunk using the "zone 0 arch repair" strategy for type A acute aortic dissection

著者名
山本 浩史

研究等概要
Stanford A型急性大動脈解離に対する新たな標準術式となりうるオープンステントグラフト(frozen elephant trunkと呼ばれる)を用いた上行弓部大動脈修復術(Zone 0 arch strategy)について報告した。
Stanford A型急性大動脈解離に対して、これまではtear oriented strategyという方法がとられていた。この方法は、大動脈解離の原因となるtear(内膜の裂け目)を含む大動脈を切除し、人工血管に置換する手術である。その置換範囲が上行大動脈となった場合、遠隔期の大動脈イベント率が高くなり、上行弓部大動脈となった場合、手術侵襲が大きくなるという問題がある。死亡率は10-15%と高く、また高い技術と高度な判断を必要とする。今回報告したオープンステントグラフトを上行大動脈(zone 0)から弓部および下行大動脈へ挿入する大動脈修復術は、tearの位置によらず同一の置換範囲で手術を行うことが可能であり、大動脈のリモデリングを促進することで遠隔期の大動脈イベントを回避し低侵襲に行うことが可能である。また、オープンステントグラフトを挿入する位置をより近位(zone 0)にすることで術式の簡略化がなされており、比較的経験の浅い心臓血管外科医でも実施可能である。今後、tear oriented strategyに代わる標準術式となることが期待される。
秋田県は高齢化、高い塩分摂取量、高血圧に起因した大動脈緊急症の患者さんが多い。この大動脈緊急症の一つであるStanford A型急性大動脈解離に対する本術式では、良好な成績(死亡率 6.5%)が得られており、秋田県の平均寿命およびQOLの改善が期待される。

高木 大地 助教

論文タイトル
Optimal stent length and distal positioning of frozen elephant trunks deployed from the aortic zone 0 for type A acute aortic dissection

著者名
高木 大地

研究等概要
急性大動脈解離に対する上行弓部大動脈置換術で使用するオープンステントグラフトの最適な「サイズ選択」と「留置位置」について報告した。
急性大動脈解離の死亡原因である、腹部臓器・下肢の血管閉塞による臓器虚血を防ぐために、どの長さのオープンステントグラフトを、どこに入れることが最適なのかについて検討を行い、明らかにした。日本発のオープンステントグラフトの使い方をより明確にした本研究は、オープンステントグラフトが使用が可能になったアメリカやアジア各国など、世界の大動脈解離治療に貢献できると考えている。

参考URL

https://www.jtcvs.org/article/S0022-5223(19)30360-5/fulltext
https://www.jtcvs.org/article/S0022-5223(22)00267-7/fulltext

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