肝性ポルフィリン症

肝細胞におけるヘム生合成の障害は認められるが、赤芽球では異常を認めない。 したがって貧血を生じない。 ポルフィリンの過剰産生が主に肝臓で行なわれるもの。赤血球中のポルフィリンは増加しない。

・晩発性皮膚ポルフィリン症
概念
肝性ポルフィリン症に属しながら、皮膚症状が前景に立つもの。 中年以降に発症し、急性皮膚症状は少なく、むしろ日光暴露部の色素沈着・水疱が主体となる。 ウロポルフィリノーゲンデカルボキシラーゼ(UROD)の活性低下に起因する。 尿中にウロポルフィリノーゲンIが増加し、糞便中には ISOCOPRO が増加する。
分類
I型
長期にわたって大量の飲酒を続けた中年男性に好発し、肝障害によって後天的に肝臓でのUROD活性が低下したもの。 飲酒歴があるものではペラグラとの鑑別を要する。 アルコール以外の誘因としてはエストロゲン・鉄の過剰摂取などが挙げられる。 エストロゲン摂取には、避妊薬の常用・閉経後のエストロゲン療法・前立腺癌の抗アンドロゲン療法がある。
U型
常染色体優性遺伝病であり、肝臓と赤血球の両方においてUROD活性が低下している。
V型
常染色体優性遺伝病であり、肝臓のUROD活性が低下している。
症状
光線過敏症 日光暴露部に水疱を生じ、容易に破れて瘢痕・色素沈着を来たす。 皮膚脆弱性 顔面の多毛
治療
予後は肝病変によって影響される。 禁酒 瀉血 (鉄の過剰が本症の誘因の一つであるから、血清鉄を減少させる目的で行なう) 遮光


・急性間歇性ポルフィリン症
概念
最も頻度の高いポルフィリン症。PBGDの活性低下により生じる、急性肝性ポルフィリン症の代表である。 蓄積されるのはポルフィリンではなくポルフィリン前駆体のみであるので、光線過敏症は生じない点が特徴。 PBG deaminase(PBGD) の活性低下によりポルフィリン前駆体であるPBGとALAが蓄積する。ポルフィリンが蓄積されるわけではないので光線過敏症は来たさないが、ALAはGABAと構造が類似してい るためGABAと競合して神経症状を生じる。
症状
腹痛 全例に間歇性の腹痛を生じる。 精神神経症状 四肢麻痺やヒステリー様症状などを呈する。 ポートワイン尿
検査所見
低ナトリウム血症