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産婦人科専門医研修プログラムの内容

D.秋田大学医学部附属病院産婦人科専門研修施設群 専門研修プログラム

1 理念と使命

1.産婦人科専門医制度の理念

産婦人科専門医制度は、産婦人科専門医として有すべき診療能力の水準と認定のプロセスを明示する制度である。そこには医師として必要な基本的診療能力(コアコンピテンシー)と産婦人科領域の専門的診療能力が含まれる。そして、産婦人科専門医制度は、患者に信頼され、標準的な医療を提供でき、プロフェッショナルとしての誇りを持ち、患者への責任を果たせる産婦人科専門医を育成して、県民、国民の健康に資する事を目的とする。特に、本プログラムは、基幹施設である秋田大学医学部附属病院において高度な医療に携わり本邦の標準治療や先進的な医療を経験し学ぶとともに、地域医療を担う連携病院での研修を経て地域の医療事情を理解し、地域の実情に合わせた実践的な医療も行えるように訓練され、基本的臨床能力獲得後は産婦人科専門医として広域を支える人材の育成を行う理念を持つ。

2.産婦人科専門医の使命

産婦人科専門医は産婦人科領域における広い知識、錬磨された技能と高い倫理性を備えた産婦人科医師である。しかしながら、本プログラムを修了し専門医の認定を受けたとしても、それは自己研鑽の単なる通過点に過ぎない。産婦人科専門医は常に最新の情報を学び、新しい技術を修得し、標準的な医療を安全に提供し、疾病の予防、早期発見、早期治療に努め、自らの診療能力をより高めることを通じて産婦人科医療全体の水準をも高めて、女性を生涯にわたって最善の医療を提供してサポートすることを使命とする。また、将来の医療の発展のために研究マインドを持ち基礎研究、臨床研究を実際に行うことが求められる。

2 専門研修の目標

1.専門研修後の成果

専門研修修了後の産婦人科専門医は、生殖・内分泌領域、婦人科腫瘍領域、周産期領域、女性のヘルスケア領域の4領域にわたり、十分な知識・技能を持ち、標準的な医療の提供を行う。また、産婦人科専門医は必要に応じて産婦人科領域以外の専門医への紹介・転送の判断を適切に行い、産婦人科領域以外の医師からの相談に的確に応えることのできる能力を備える。産婦人科専門医はメディカルスタッフの意見を尊重し、患者から信頼され、地域医療を守る医師である。

秋田大学医学部附属病院産婦人科専門研修施設群(以下、秋田大産婦人科施設群)での研修終了後はその成果として、主として秋田県の医療機関において産婦人科医療を中心的に支える役割を担い、もし本人の希望により本施設群以外(県外を含め)での就業を希望する場合にも、いずれの医療機関でも不安なく産婦人科診療にあたる実力を獲得している事を要する。また、希望者はSubspecialty領域専門医の研修や大学院などでの研究を開始する準備が整っている事を本施設群での研修が果たすべき成果である。

2.到達目標(修得すべき知識・技能・態度など)

i 専門知識

資料1「産婦人科専門研修カリキュラム」参照

秋田大産婦人科施設群専門研修では、知識を単に暗記するだけではなく、知識を駆使して一人一人の患者の全身状態、社会的特性に配慮しそれぞれに最適な医療を提供する計画を立て実行する能力の修得をもって目標への到達とする。

ii 専門技能(診察、検査、診断、処置、手術など)

資料1「産婦人科専門研修カリキュラム」参照

秋田大産婦人科施設群専門研修では、本カリキュラムの診断・治療技能修得は最低限必要なものであり、修得するまでの最短期間は3年間(基幹施設での6ヶ月以上の研修を含む)であるが、修得が不十分な場合、修得できるまで研修期間を1年単位で延長する。一方でカリキュラムの技術を修得したと認められた専攻医には積極的にSubspecialty領域専門医取得に向けた技能教育を開始し、また大学院進学希望者には臨床研修と平行して研究の下準備を開始させる。

iii 学問的姿勢

医学・医療の進歩に遅れることなく、常に研鑽、自己学習する。患者の日常的診療から浮かび上がるクリニカルクエスチョンを日々の学習により解決し、今日のエビデンスでは解決し得ない問題は臨床研究に自ら参加、もしくは企画する事で解決しようとする姿勢を身につける。学会に積極的に参加し、基礎的あるいは臨床的研究成果を発表する。得られた成果は論文として発表して、公に広めると共に批評を受ける姿勢を身につける。

秋田大産婦人科施設群は多施設共同臨床研究に参加しており、研修の一環として臨床試験のプロトコールに則った診療を行う事で、専門医取得後に自らが臨床試験を主体的に実施する能力を養う。基幹病院、連携病院、連携施設(地域医療)、連携施設(地域医療-生殖)のいずれにおいても学会に出席し、自らも発表する機会を積極的に与える。

iv 医師としての倫理性、社会性など

1) 医師としての責務を自律的に果たし信頼されること(プロフェッショナリズム)

医療専門家である医師と患者を含む社会との契約を十分に理解し、患者、家族から信頼される知識・技能および態度を身につける。

指導医である主治医とともに患者・家族への診療に関する説明に参加し、研修終了予定の年度においては指導医のバックアップのもと自らが患者に説明するスキルを身につける。

2) 患者中心の医療を実践し、医の倫理・医療安全に配慮すること

患者の社会的・遺伝学的背景もふまえ患者ごとに的確な医療を実践できる。医療安全の重要性を理解し事故防止、事故後の対応がマニュアルに沿って実践できる。

インシデント、オカレンスレポートの意義を理解し、発生時には迅速かつ正確に報告する。患者に何らかの危険が生じた場合にはその経験と反省を共有し次の機会には安全な医療を提供できるようになる。

3) 臨床の現場から学ぶ態度を修得すること

臨床の現場から学び続けることの重要性を認識し、その方法を身につける。

医師は臨床の現場から学ぶ事が多く、それは尽きる事がない事を自覚するようになる。「患者から学ぶ」を言葉のみならず、常に意識し感謝の念を持って実践できるようになる。特に秋田大産婦人科施設群の地域連携施設での研修では、地域の実情に合わせた医療の提供について患者や地域社会から学び、実践できるようになる。

4) チーム医療の一員として行動すること

チーム医療の必要性を理解しチームのリーダーとして活動できる。的確なコンサルテーションができる。他のメディカルスタッフと協調して診療にあたることができる。

建設的な発言をためらわずにする事ができるとともに、他のスタッフの意見を受け入れ、議論を通してより良い医療をチームとして提供できる。

5) 後輩医師に教育・指導を行うこと

自らの診療技術、態度が後輩の模範となり、また達成度評価が実践できる。

秋田大産婦人科施設群での研修中は能力に応じて学生実習の一端も荷なう。教える事が学ぶ事につながる経験を通し、先輩からだけではなく後輩からも常に学ぶ姿勢を身につける。

6) 保健医療や主たる医療法規を理解し、遵守すること

健康保険制度を理解し保健医療をメディカルスタッフと協調し実践する。医師法・医療法(母体保護法[人工妊娠中絶、不妊手術])健康保険法、国民健康保険法、老人保健法を理解する。診断書、証明書が記載できる(妊娠中絶届出を含む)。

3.経験目標(種類、内容、経験数、要求レベル、学習法および評価法等)

i 経験すべき疾患・病態

資料1「産婦人科専門研修カリキュラム」参照

秋田大産婦人科施設群専門研修では、基幹施設で経験しにくい疾患(性感染症、性器脱など)については主に地域医療を支える連携医療機関で十分に経験できるよう、ローテート先を考慮する。

ii 経験すべき診察・検査等

資料1「産婦人科専門研修カリキュラム」参照

秋田大産婦人科施設群では経験すべき診察・検査等は十分に経験できる。秋田大学産婦人科では現在年間400周期をこえる体外受精胚移植術も行っており、生殖補助技術に関しても基幹施設で充実した研修ができる。

iii 経験すべき手術・処置等

資料2「修了要件」参照

秋田大産婦人科施設群専門研修では修了要件の少なくとも2倍から3倍以上の症例を3年間で経験できる。ただし、経験数が多ければ技能を修得できる訳ではなく、年数をかけてでも技能を修得する事を目標とする。一方で、3年を待たずして技能を取得できたと判断する場合には、より高度な技能の経験を開始する。

iv 地域医療の経験(病診・病病連携、地域包括ケア、在宅医療など)

・連携施設で1ヶ月以上の研修を行うことを必須とする。

v 学術活動

以下の2点が修了要件に含まれている。

1) 日本産科婦人科学会学術講演会などの産婦人科関連の学会・研究会で筆頭者として1回以上発表していること。

2) 筆頭著者として論文1編以上発表していること。(註1)

註1)産婦人科関連の内容の論文で、原著・総説・症例報告のいずれでもよいが、抄録、会議録、書籍などの分担執筆は不可である。査読制(編集者による校正を含む)を敷いている雑誌であること。査読制が敷かれていれば商業誌でも可であるが院内雑誌は不可である。ただし医学中央雑誌またはMEDLINEに収載されており、かつ査読制が敷かれている院内雑誌は可とする。

秋田大産婦人科施設群では基幹施設には研修中は1回以上の産婦人科関連学会での学会発表を専攻医に行わせる事を義務づける。さらに短期間(おおむね6ヶ月以内)の連携施設での研修を除き、連携施設においても1回以上の学会発表の機会を専攻医に与える事を努力目標とし、この目標を達成した連携施設へ専攻医の研修を優先的に依頼する。論文は専攻医一人一人に研修開始から3ヶ月以内に担当指導医1人をつけ、責任を持って研修修了までに作成させる。学会発表も論文作成も専門医が自ら努力し行うべき職責であることを指導する。

3専門研修の方法

1.臨床現場での学習

・週に1回以上の診療科におけるカンファレンスおよび関連診療科との合同カンファレンスを通して病態と診断過程を深く理解し、治療計画作成の理論を学ぶ。

・月に1回以上は抄読会や勉強会を実施する。抄読会や勉強会は他の施設と合同で行う場合も考えられる。インターネットによる情報検索を行う。

・子宮鏡、コルポスコピーなど検査方法を学ぶ。

・積極的に手術の執刀・助手を経験する。その際に術前のイメージトレーニングと術後の詳細な手術記録を実行する。

・手術手技をトレーニングする設備や教育DVDなどを用いて手術手技を学ぶ。

・2年次以後に外来診療が行えるように、ガイドラインなどを用いて外来診療のポイントを学ぶ。

指導医は上記の事柄について、責任を持って指導する。本プログラムにおいては基幹施設である秋田大学医学部附属病院産婦人科で6ヶ月以上、24ヶ月以内の研修を行う(1つの連携施設での研修も通算24か月以内とする)。

修了要件にある事項については、専攻医一人一人が達成度記録を持ち、連携施設でも各段階の修得レベルを指導医が確認する。

2.臨床現場を離れた学習

日本産科婦人科学会の学術集会(特に教育プログラム)、日本産科婦人科学会のe-learning、連合産科婦人科学会、各都道府県産科婦人科学会などの学術集会、その他各種研修セミナーなどで、下記の機会が設けられている。

・標準的医療および今後期待される先進的医療を学習する機会

・医療安全等を学ぶ機会

・指導法、評価法などを学ぶ機会

秋田大産婦人科施設群ではこれらの機会に参加できるようにできるだけ調整を行うが、同じ学習機会に全専攻医が参加する事はできない。専攻医間で自立的に調整する事でお互いの立場を思いやる精神を育てる。最終的には秋田大学医学部附属病院産婦人科専門研修施設群プログラム管理委員会(以下、本プログラム管理委員会)秋田大は専攻医が受講すべき講習などに3年の間には漏れなく参加できるよう調整する。

3.自己学習

最新の「産婦人科研修の必修知識」を熟読し、その内容を深く理解する。また、産婦人科診療に関連する各種ガイドライン(婦人科外来、産科、子宮頸がん治療、子宮体がん治療、卵巣がん治療、生殖医療、ホルモン補充療法など)の内容を把握する。また、e-learningによって、産婦人科専攻医教育プログラムを受講することもできる。さらに、教育DVD等で手術手技を研修できる。

4.専門研修中の年度毎の知識・技能・態度の修練プロセス

・専門研修1年目

内診、直腸診、経腟エコー、通常超音波検査、胎児心拍モニタリングの解釈ができるようになる。正常分娩を指導医・上級医の指導のもとで取り扱える。上級医の指導のもとで通常の帝王切開、子宮内容除去術、子宮付属器摘出術ができる。

・専門研修2年目

妊婦健診および婦人科の一般外来ができるようになる。正常および異常な妊娠・分娩経過を判別し、問題のある症例については指導医・上級医に確実に相談できるようになる。正常分娩を一人で取り扱える。指導医・上級医の指導のもとで通常の帝王切開、腹腔鏡下手術ができる。指導医・上級医の指導のもとで患者・家族のICを取得できるようになる。

・専門研修3年目

3年目には専攻医の修了要件全てを満たす研修を行う(資料2 修了要件参照)。帝王切開の適応を一人で判断できるようになる。通常の帝王切開であれば同学年の専攻医と一緒にできるようになる。指導医・上級医の指導のもとで前置胎盤症例など特殊な症例の帝王切開ができるようになる。指導医・上級医の指導のもとで癒着を伴うなどやや困難な症例であっても、腹式単純子宮全摘術ができる。悪性手術の手技を理解して助手ができるようになる。一人で患者・家族のICを取得できるようになる。基幹病院で年間400周期以上施行される体外受精胚移植に関しての正しい知識技術を習得する。

以上の修練プロセスはモデルであり、専攻医の達成程度により研修年にとらわれすぎずに柔軟に運用する。3年という期間で研修を修了する事が目的ではなく、専門医にふさわしい知識・技能・態度を最終的に修得する事を目的とする。修得に時間がかかっても専門医として恥ずかしくない産婦人科医を育てるのが秋田大産婦人科施設群専門研修のポリシーである。ただし秋田大産婦人科施設群には専攻医の研修に十分な症例数があり、通常はモデル修練プログラムに先行して知識・技能・態度を修得できると考えている。そのため、修得が早い専攻医には3年に満たなくとも次のステップの研修を体験させる方針である。

5.研修コースの具体例(資料3)

秋田大産婦人科施設群では専門研修コースの具体例として、資料3に「産婦人科専門医養成コース」についての説明がある。秋田大学医学部附属病院には短期(1〜3ヶ月)の短期留学制度が専攻医を対象に設けられており、プログラム統括責任者と相談の上これに応募することも可能である。その場合。この他の理由(産休、病気療養など)を合わせても6ヶ月以内の休職期間であれば、最短3年間での研修修了が可能である。

専門医取得後には、「Subspecialty産婦人科医養成プログラム」Subspecialty専門医取得を目指す臨床研修や、リサーチマインドの醸成および医学博士号取得を目指す研修が可能である。

また本プログラム管理委員会は、秋田大学医学部附属病院総合臨床教育センターと協力し、大学卒業後2年以内の初期研修医の希望に応じて、将来産婦人科を目指すための初期研修プログラム作成にもかかわる。

4 専門研修の評価

1.到達度評価

1)フィードバックの方法とシステム

専攻医が、研修中に自己の成長を知るために、到達度評価を行う。少なくとも12ヶ月に1度は専攻医が研修目標の達成度と態度および技能についてWeb上で日本産科婦人科学会が提供する産婦人科研修管理システム(以下、産婦人科研修管理システム)に記録し、指導医がチェックする。態度についての評価は、自己評価に加えて、指導医による評価(指導医あるいは施設毎の責任者により聴取された看護師長などの他職種による評価を含む)がなされる。

2)指導医層のフィードバック法の学習(FD)

日本産科婦人科学会が主催あるいは承認のもとで連合産科婦人科学会が主催する産婦人科指導医講習会において、フィードバックの方法について講習が行われている。本施設群の指導医は少なくとも3年に1回はこの講習を受講している。

2.総括的評価

1)評価項目・基準と時期

産婦人科研修管理システムで総括的評価を行う。項目の詳細は「資料2修了要件」に記されている。専門医認定申請年(3年目あるいはそれ以後)の3月末時点での研修記録および評価、さらに専門研修の期間、到達度評価が決められた時期に行われていたという記録も評価項目に含まれる。手術・手技については、専門研修プログラム統括責任者または専門研修連携施設担当者が、経験症例数に見合った技能であることを確認する。

2)評価の責任者

総括的評価の責任者は、専門研修プログラム統括責任者である。

3)修了判定のプロセス

専攻医は産婦人科研修管理システム上で専門研修プログラム管理委員会に修了申請を行う。本プログラム管理委員会は資料2の修了要件が満たされていることを確認し、5月末までに修了判定を行い、研修修了証明書を専攻医に送付する。修了と判定された専攻医は、各都道府県の地方委員会に専門医認定試験受験の申請を行う。地方委員会での審査を経て、日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会で専門医認定一次審査受験の可否を決定する。

5 専門研修施設とプログラムの認定基準

1. 専門研修基幹施設の認定基準

秋田大学附属病院産婦人科は以下の専門研修基幹施設の認定基準を満たしている。

1) 初期研修における基幹型臨床研修病院であること。

2) 同一施設内で他科との連携による総合診療が可能で(少なくとも内科、外科、泌尿器科、麻酔科、小児科(または新生児科)の医師が常勤していること)、救急医療を提供していること。

3) 分娩数が(帝王切開を含む)申請年の前年1月から12月までの1年間に少なくとも150件程度あること。

4) 開腹手術が帝王切開以外に申請年の前年1月から12月までの1年間に150件以上あること(この手術件数には腹腔鏡下手術を含めることができるが、腟式手術は含めない)。

5) 婦人科悪性腫瘍(浸潤癌のみ)の治療実数が申請年の前年1月から12月までの1年間に30件以上あること(手術件数と同一患者のカウントは可とする)。

6) 生殖・内分泌および女性のヘルスケアについて専門性の高い診療実績を有していること。

7) 申請年の前年12月末日までの5年間に、当該施設(産婦人科領域)の所属である者が筆頭著者として発表した産婦人科領域関連論文(註1)が10編以上あること。

註1参照)産婦人科関連の内容の論文で、原著・総説・症例報告のいずれでもよいが抄録、会議録、書籍などの分担執筆は不可である。査読制(編集者により校正を含む)を敷いている雑誌であること。査読制が敷かれていれば商業誌でも可であるが院内雑誌は不可である。但し医学中央雑誌又はMEDLINEに収載されており、かつ査読制が敷かれている院内雑誌は可とする。掲載予定の論文を提出することもできるが、申請年度の前年12月31日までに掲載が決まった論文とする。掲載予定の論文を提出する場合は論文のコピーと掲載証明書の提出を必須とする。

8) 産婦人科専門医が4名以上常勤として在籍し、このうち専門研修指導医が2名以上であること。

9) 周産期、婦人科腫瘍の各領域に関して、日本産科婦人科学会登録施設として症例登録および調査等の業務に参加すること。

10) 症例検討会、臨床病理検討会、抄読会、医療倫理・安全等の講習会が定期的に行われていること。

11) 学会発表、論文発表の機会を与え、指導ができること。

12) 日本産科婦人科学会が認定する専門研修プログラムを有すること。

13) 施設内に専門研修プログラム管理委員会を設置し、専攻医および専門研修プログラムの管理と、専門研修プログラムの継続的改良ができること。

14) 日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会のサイトビジットを受け入れ可能であること。

2. 専門研修連携施設の認定基準

以下の1)~5)を満たし、かつ、当該施設の専門性および地域性から専門研修基幹施設が作成した専門研修プログラムに必要とされる施設が認定基準であり、秋田大産婦人科施設群の専門研修連携施設(資料4)はすべてこの基準を満たしている。

1) 下記a) b) c)のいずれかを満たす(専門研修指導医がいない下記b)c)の施設での研修は通算で12ヶ月以内とする)。

a) 連携施設:専門研修指導医が1名以上常勤として在籍する。

b) 連携施設(地域医療):専門研修指導医が在籍していないが専門医が常勤として在籍しており、基幹施設または他の連携施設の指導医による適切な指導のもとで、産婦人科に関わる地域医療研修(3.-4.)を行うことができる。産婦人科専門研修制度の他の専門研修プログラムも含め基幹施設となっておらず、かつ政令指定都市以外にある施設。

c) 連携施設(地域医療-生殖):専門研修指導医が常勤として在籍しておらず、かつ、産婦人科に関わる必須の地域医療研修(3.-4.)を行うことはできないが、専門医が常勤として在籍しており、基幹施設または他の連携施設の指導医による適切な指導のもとで、地域における生殖補助医療の研修を行うことができる。

2) 女性のヘルスケア領域の診療が行われていることに加えて、申請年の前年1月から12月までの1年間に、a)体外受精(顕微授精を含む)30サイクル以上、b)婦人科良性腫瘍(類腫瘍を含む)の手術が100件以上c)婦人科悪性腫瘍(浸潤癌のみ)の診療実数が30件以上、d)分娩数(帝王切開を含む)が100件以上の4つのうち、いずれか1つの診療実績を有する。ただし日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会が地域医療のために必要と判断する場合、この診療実績を満たさなくとも、特例で連携施設(地域医療)として認められることがある。

3) 所属する専門研修施設群の基幹施設が作成する専門研修プログラムに沿った専攻医の指導が出来ること。

4) 専門研修プログラム連携施設担当者は、所属する専門研修施設群の基幹施設が設置する本プログラム管理委員会に参加し、専攻医および専門研修プログラムの管理と、専門研修プログラムの継続的改良に携われること。

5)週1回以上の臨床カンファレンスおよび、月1回以上の抄読会あるいは勉強会を実施できること。

3. 専門研修施設群の構成要件

秋田大産婦人科施設群は、基幹施設および複数の連携施設からなる。専攻医は6ヶ月以上24ヶ月以内の期間、基幹施設での研修を行う(研修期間が3年を超える場合には延長期間の研修を基幹施設で行うことは可とする)。1つの連携施設での研修も通算24ヶ月以内とする(研修期間が3年を超える場合には延長期間の研修を当該連携施設で行うことは可とする)。原則として、専攻医は、当該プログラムの募集時に示されていた施設群の中でのみ専門研修が可能である。もしも、その後に研修施設が施設群に追加されるなどの理由により、募集時に含まれていなかった施設で研修を行う場合、プログラム管理委員会は、専攻医本人の同意のサインを添えた理由書を日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会に提出し、承認を得なければならない。

秋田大産婦人科施設群は、基幹施設、連携施設共に委員会組織を置き、専攻医に関する情報を定期的に共有するために本プログラム管理委員会を年1回以上開催する。基幹施設、連携施設ともに、毎年12月1日までに、本プログラム管理委員会に以下の報告を行う。

1) 前年度の診療実績

a) 病院病床数、b) 産婦人科病床数、c) 1日あたり産婦人科外来患者数、d) 経腟分娩件数、e) 帝王切開件数、f) 婦人科良性腫瘍(類腫瘍を含む)手術件数、g) 婦人科悪性腫瘍(浸潤癌を含む)の診療実数、h) 腹腔鏡下手術件数、i)体外受精サイクル数。

2) 専門研修指導医数および専攻医数

a) 前年度の専攻医の指導実績、b) 今年度の産婦人科専門医および専攻医指導医の人数、c)今年度の専攻医数、d)次年度の専攻医受け入れ可能人数。

3) 前年度の学術活動

a) 学会発表、b) 論文発表

4) 施設状況

a) 施設区分、b) 指導可能領域、c) 産婦人科カンファレンス、d) 他科との合同カンファレンス、e) 抄読会、f) 図書館、g) 文献検索システム、h) 医療安全・感染対策・医療倫理に関する研修会。

5) Subspecialty領域の専門医数

Subspecialty領域への連続的な育成を考慮して、下記専門医数についても把握しておく。a) 周産期専門医(母体・胎児)、b) 婦人科腫瘍専門医、c) 生殖医療専門医、d) 女性ヘルスケア専門医、e) 内視鏡技術認定医、f) 臨床遺伝専門医、g) 細胞診専門医。

4. 専門研修施設群の地理的範囲

秋田大産婦人科施設群(資料4)は秋田県内の施設群である。

5.専攻医受入数についての基準

各専攻医指導施設における専攻医総数の上限(すべての学年を含めた総数)は産婦人科領域専門研修プログラム整備基準では指導医数×3としているが、本施設群ではより綿密な指導を行うため指導医数×2とする。本施設群の指導医数の合計は21名であるが、当施設群で十分な研修を行える人数として3学年で21名までを本研修プログラムの受け入れ可能人数上限とする。この数には、2016年度以前に専門研修を開始した専攻医の数を含めない。

この基準に基づき、本プログラム管理委員会は各施設の専攻医受け入れ数を決定する。

6.地域医療・地域連携への対応

産婦人科専門医制度は、地域の産婦人科医療を守ることを念頭に置いている。専攻医のプログラムとしては、専攻医が地域中核病院・地域中小病院において外来診療、夜間当直、救急診療を行うことや、病診連携、病病連携を円滑にすすめられるようになれば、地域の産婦人科医療を守ることの研修とにつながると考えている。

7.地域において指導の質を落とさないための方法

本プログラム管理委員会は、専攻医に地域医療を経験させることを目的とする場合、専門研修指導医が常勤していない場合であっても、専攻医を当該施設で研修させることができる。ただし、その場合は連携施設(地域医療)、連携施設(地域医療-生殖)の要件を満たしている必要がある。必須研修としての地域医療は連携施設(地域医療-生殖)では行うことはできない。指導医が常勤していない施設の研修においては、専攻医の研修指導体制を明確にし、基幹施設や他の連携施設から指導や評価を行う担当指導医を決める。担当指導医は少なくとも1~2か月に1回は当該施設と連絡を取り、その研修状況を確認し、専攻医およびその施設の専門医を指導する。指導医のいない施設であっても、週1回以上の臨床カンファレンスと、月1回以上の勉強会あるいは抄読会は必須であり、それらは他施設と合同で行うことも可とする。このような体制により指導の質を落とさないようにする。

8.研究に関する考え方

(1)産婦人科領域としては、専攻医が研究マインドを持つことが、臨床医としての成長につながると考えている。ただし、3年間以上常勤の臨床医として勤務することが専門医取得の必須条件であり、大学院の在籍や留学等によって、常勤の臨床医ではなくなる場合は、その期間は専門研修の期間には含めない。

(2)医学・医療研究にかかわる倫理指針を理解することは必須である。研修中に臨床研究を行ったり、治験、疫学研究に関わったりするように促す。また専攻医の希望によっては、専門研修に加えて、基礎医学、社会医学、ヒトゲノム・遺伝子解析研究を行うことも考えられる。それらの研究は学会や論文で発表するよう指導する。

9.診療実績基準

秋田大産婦人科施設群(資料4)は以下の診療実績基準を満たしている。

1. 基幹施設

1) 分娩数(帝王切開を含む)が申請年の前年1月から12月までの1年間に少なくとも150件程度あること。

2) 開腹手術が帝王切開以外に申請年の前年1月から12月までの1年間に150件以上あること(この手術件数には腹腔鏡下手術を含めることができるが、腟式手術は含めない)。

3) 婦人科悪性腫瘍(浸潤癌のみ)の治療実数が申請年の前年1月から12月までの1年間に30件以上あること(手術件数と同一患者のカウントは可とする)。

4) 生殖・内分泌および女性のヘルスケアについて専門性の高い診療実績を有していること。

2. 連携施設

女性のヘルスケア領域の診療が行われていることに加えて、申請年の前年1月から12月までの1年間に、1)体外受精(顕微授精を含む)30サイクル以上、2)婦人科悪性腫瘍(浸潤癌のみ)の診療実数が30件以上、 3)分娩数(帝王切開を含む)が100件以上の3つのうち、いずれか1つの診療実績を有する。ただし日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会が地域医療のために必要と判断する場合、この診療実績を満たさなくとも、上記条件の総合評価で、連携施設(地域医療)として認められることがある。

3.連携施設(地域医療)

4.連携施設(地域医療-生殖)

10.Subspecialty領域との連続性について

産婦人科専門医を取得した者は、産婦人科専攻医としての研修期間以後にSubspecialty領域の専門医のいずれかの取得を希望する事ができる。Subspecialty領域の専門医には生殖医療専門医、婦人科腫瘍専門医、周産期専門医(母体・胎児)があり、それぞれの取得条件に産婦人科専門医であることが明記されているが、症例の重複は認められていない。なお、女性ヘルスケア専門医については、日本専門医機構においてSubspecialty専門医としての認定を現在は受けていないが、認定を申請中であり、産婦人科専門医取得後のSubspecialty専門医は上記4つとなることが見込まれる。Subspecialty専門医取得を希望せず、産婦人科領域のGeneralistとして就業を希望する場合にも、生涯研修の機会を提供する。

11.産婦人科研修の休止・中断、プログラム移動、プログラム外研修の条件

1)専門研修プログラム期間のうち、出産に伴う6ヶ月以内の休暇は1回までは研修期間にカウントできる。また、疾病での休暇は6ヵ月まで研修期間にカウントできる。なお、疾病の場合は診断書を、出産の場合は出産を証明するものの添付が必要である。

2)週20時間以上の短時間雇用の形態での研修は3年間のうち6ヵ月まで認める。

3)上記1)、2)に該当する者は、その期間を除いた常勤(註1)での専攻医研修期間が通算2年半以上必要である。本専門研修制度上、常勤の定義は、週32時間以上の勤務とする。ただし、育児短時間勤務制度を利用している場合は、常勤の定義を週30時間以上の勤務とする。

4)留学、常勤医としての病棟または外来勤務のない大学院の期間は研修期間にカウントできない。

5)専門研修プログラムを移動する場合は、日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会に申請し、承認が得られた場合にこれを可能とする。

6) ストレートに専門研修を修了しない場合、研修期間は1年毎の延長とする。専攻医は専門研修開始から9年以内に専門研修を修了し10年以内に専門医試験の受験を行う。9年間で専門研修が修了しなかった場合、専門医となるためには一から新たに専門研修を行う必要がある。

7) 専門研修修了後、専門医試験は5年間受験可能(毎年受験する場合、受験資格は5回)である。専門研修修了後、5年間で専門医試験に合格しなかった場合、専門医となるためには一から新たに専門研修を行う必要がある。

註1)常勤の定義は、週4日以上かつ週32時間以上の勤務とする。ただし、それ以外でも、中央専門医制度委員会の審査によって同等の勤務と認められれば、常勤相当とできる場合がある。育児短時間勤務制度を利用している場合は、常勤の定義を週4日以上かつ週 30 時間以上の勤務とする(この勤務は、上記2)項の短時間雇用の形態での研修には含めない)。

6専門研修プログラムを支える体制

1. 専門研修プログラムの管理運営体制の基準

秋田大産婦人科施設群の専攻医指導基幹施設である秋田大学産婦人科には、専門研修プログラム管理委員会と、統括責任者(委員長)、副統括責任者(副委員長)を置く。各専攻医指導連携施設には、連携施設担当者と委員会組織を置く。本プログラム管理委員会は、委員長、副委員長、事務局代表者、産科婦人科の4つの専門分野(周産期、婦人科腫瘍、生殖医学、女性ヘルスケア)の研修指導責任者、必要に応じてプログラム統括責任者が指名する女性医師代表者、および連携施設担当委員で構成される(資料5)。本プログラム管理委員会は、専攻医および専門研修プログラム全般の管理と、専門研修プログラムの継続的改良を行う。また、オブザーバーとして専攻医を委員会会議の一部に参加させる事ができる。

連携施設には専門研修プログラム連携施設担当者と委員会組織を置く。

2.基幹施設の役割

専門研修基幹施設は連携施設とともに研修施設群を形成する。基幹施設に置かれた専門研修プログラム管理委員会は、総括的評価を行い、修了判定を行う。また、連携施設の状況把握と改善指導、プログラムの改善を行う。専門研修プログラム連絡協議会では、専攻医、専門研修指導医の処遇、専門研修の環境整備等を協議する。

専門研修プログラムの以下の軽微、もしくは事務的な変更は、随時、日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会に報告し、最新の情報提供に努める。

(1)退職、勤務施設異動などに伴うプログラム統括責任者、副プログラム統括責任者、連携施設専門研修責任者、指導医、専門医の変更

(2) 指導医の異動に伴う連携施設から連携施設(地域医療)ないし連携施設(地域医療-生殖)への変更

(3) (2)で連携施設(地域医療)ないし連携施設(地域医療-生殖)となった施設の指導医の異動(復活)に伴う連携施設への変更

(4) プログラムの研修内容に事実上の変更がない字句などの修正

(5) 専攻医募集年度の更新に伴う、妥当な募集人数の変更

(6) 退職、勤務施設異動などに伴う連携施設の辞退

(7) 整備基準の改訂に伴う記載の変更

(8) その他、日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会が認めるもの

(変更前と変更後を対比させたリストを提出)

新規指導医認定に伴わない連携施設追加、研修内容の事実上の変更を伴う改訂、拡大研修委員会が随時変更は適切ではないと判断した事項の変更は新規基幹施設・連携施設募集時に申請する。

3.専門研修指導医の基準

I. 指導医認定の基準

以下の(1)~(4)の全てを満たすことを指導医認定の基準とする。

(1) 申請する時点で常勤産婦人科医として勤務しており、産婦人科専門医の更新履歴が1回以上ある者

(2)専門研修施設群の専門研修プログラム管理委員会により、産婦人科専攻医研修カリキュラムに沿って専攻医を指導する能力を有すると認定されている者

(3) 産婦人科に関する論文で、次のいずれかの条件を満たす論文が2編以上ある者(註1参照)

1.自らが筆頭著者の論文

2.第二もしくは最終共著者として専攻医を指導し、専攻医を筆頭著者として発表した論文。産婦人科関連の内容の論文で、原著・総説・症例報告のいずれでもよいが抄録、会議録、書籍などの分担執筆は不可である。査読制(編集者により校正を含む)を敷いている雑誌であること。査読制が敷かれていれば商業誌でも可であるが院内雑誌は不可である。但し医学中央雑誌又はMEDLINEに収載されており、かつ査読制が敷かれている院内雑誌は可とする。

(4) 日本産科婦人科学会が指定する指導医講習会を3回以上受講している者(註3)

註3) 指導医講習会には1.日本産科婦人科学会学術講演会における指導医講習会、2.連合産科婦人科学会学術集会における指導医講習会、3.e-learningによる指導医講習、4.第65回および第66回日本産科婦人科学会学術講演会において試行された指導医講習会が含まれる。指導医講習会の回数にはe-learningによる指導医講習を2回含めることができる。ただし、出席した指導医講習会と同じ内容のe-learningは含めることができない。

II. 指導医更新の基準(暫定指導医が指導医となるための基準も同じ)

(1) 常勤の産婦人科専門医として産婦人科診療に従事している者

(2) 専攻医指導要綱に沿って専攻医を指導できる者

(3) 直近の5年間に産婦人科に関する論文(註1参照)が2編以上(筆頭著者、第二もしくは最終共著者であることは問わない)ある者

(4) 日本産科婦人科学会が指定する指導医講習会を3回以上受講している者(註3参照)

4.プログラム管理委員会の役割と権限

・専門研修を開始した専攻医の把握

・専攻医ごとの、到達度・症例記録・症例レポートの内容確認と、今後の専門研修の進め方についての検討

・研修記録、総括的評価に基づく、専門医認定申請のための修了判定

・それぞれの専攻医指導施設の前年度診療実績、施設状況、指導医数、現在の専攻医数に基づく、次年度の専攻医受け入れ数の決定

・専攻医指導施設の評価に基づく状況把握、指導の必要性の決定

・研修プログラムに対する評価に基づく、研修プログラム改良に向けた検討

・サイトビジットの結果報告と研修プログラム改良に向けた検討

・研修プログラム更新に向けた審議

・翌年度の専門研修プログラム応募者の採否決定

・専攻医指導施設の指導報告

・研修プログラム自体に関する評価と改良について日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会および日本専門医機構への報告内容についての審議

・専門研修プログラム連絡協議会の結果報告

5.プログラム統括責任者の基準、および役割と権限

I. プログラム統括責任者認定の基準

(1) 申請する時点で専攻医指導施設もしくは最新の専攻医研修プログラムにおいて研修の委託が記載されている施設で、常勤の産婦人科専門医として合計10年以上産婦人科の診療に従事している者(専門医取得年度は1年とみなす。2回以上産婦人科専門医を更新した者)

(2) 専門研修基幹施設における常勤の専門研修指導医であり、専門研修プログラム管理委員会によりプログラム統括責任者として適していると認定されている者

(3) 直近の10年間に共著を含め産婦人科に関する論文が20編以上ある者(註1参照)

産婦人科関連の内容の論文で、原著・総説・症例報告のいずれでもよいが抄録、会議録、書籍などの分担執筆は不可である。査読制(編集者により校正を含む)を敷いている雑誌であること。査読制が敷かれていれば商業誌でも可であるが院内雑誌は不可である。但し医学中央雑誌又はMEDLINEに収載されており、かつ査読制が敷かれている院内雑誌は可とする。

II. プログラム統括責任者更新の基準

(1) 専門研修基幹施設における常勤の専門研修指導医であり、専門研修プログラム管理委員会によりプログラム統括責任者として適していると認定されている者

(2) 直近の5年間に産婦人科専攻医研修カリキュラムに沿って専攻医を指導した者

(3) 直近の5年間に共著を含め産婦人科に関する論文が10編以上ある者(註1参照)

III.プログラム統括責任者資格の喪失(次のいずれかに該当する者)

(1)産婦人科指導医でなくなった者

(2)更新時に、更新資格要件を満たさなかった者

(3)プログラム統括責任者として不適格と判断される者

IV. プログラム統括責任者の役割と権限

プログラム統括責任者は専門研修プログラム管理委員会を主催し、専門研修プログラムの管理と、専攻医および指導医の指導および専攻医の修了判定の最終責任を負う。

6.連携施設での委員会組織

専門研修連携施設には、専門研修プログラム連携施設担当者と委員会組織を置く。専門研修連携施設の専攻医が到達度評価と指導を適切に受けているか評価する。専門研修プログラム連携施設担当者は専門研修連携施設内の委員会組織を代表し専門研修基幹施設に設置される専門研修プログラム管理委員会の委員となる。

7.労働環境、労働安全、勤務条件

すべての専門研修連携施設の管理者とプログラム統括責任者は、「産婦人科勤務医の勤務条件改善のための提言」(平成25年4月、日本産科婦人科学会)に従い、「勤務医の労務管理に関する分析・改善ツール」(日本医師会)等を用いて、専攻医の労働環境改善に努めるようにしている。

専攻医の勤務時間、休日、当直、給与などの勤務条件については、労働基準法を遵守し、各施設の労使協定に従う。さらに、専攻医の心身の健康維持への配慮、当直業務と夜間診療業務の区別とそれぞれに対応した適切な対価を支払うこと、バックアップ体制、適切な休養などについて、勤務開始の時点で説明を受けるようになっている。専攻医は研修を行う研修施設群に属する各施設を循環するので、給与等は研修場所となる施設で支払うものとする。

総括的評価を行う際、専攻医および指導医は専攻医指導施設に対する評価も行い、その内容は秋田大学産婦人科専門研修管理委員会に報告されるが、そこには労働時間、当直回数、給与など、労働条件についての内容が含まれる。

7専門研修実績記録システム、マニュアル等の整備

1.研修管理システムに研修実績を記録蓄積し、到達度評価、フィードバックの実施と記録を行う。総括的評価は産婦人科研修カリキュラム(資料1)に則り、研修を修了しようとする年度末に行う。

2.人間性などの評価の方法

到達度評価は、指導医、専攻医自身により行う。総括的評価はプログラム統括責任者プログラム連携施設担当者(施設責任者)、医師以外のメディカルスタッフ、指導医、専攻医自身の評価である。評価は産婦人科研修管理システムでおこなう。

3.プログラム運用マニュアル・フォーマット等の整備

プログラム運用マニュアルは以下の専攻医研修マニュアルと指導者マニュアルを用いる。専攻医研修実績記録フォーマットと指導医による指導とフィードバックの記録を整備する。指導者研修計画(FD)の実施記録を整備する。

◎専攻医研修マニュアル

別紙「専攻医研修マニュアル」(資料6)参照。

◎指導者マニュアル

別紙「指導医マニュアル」(資料7)参照。

◎専攻医研修実績記録フォーマット

産婦人科研修管理システムに研修実績を記録し、一定の経験を積むごとに専攻医自身が到達度評価を行い記録する。

少なくとも1年に1回到達度評価により、学問的姿勢、生殖内分泌、周産期、婦人科腫瘍、女性のヘルスケアの各分野の形成的自己評価を行う。研修を修了しようとする年度末には総括的評価を行う。

◎指導医による指導とフィードバックの記録

産婦人科研修管理システムに一定の経験数が記録され専攻医自身が到達度評価を行うごとに、指導医も到達度評価を行い記録し、産婦人科研修管理システム上でフィードバックする。少なくとも1年に1回は学問的姿勢、生殖内分泌、周産期、婦人科腫瘍、女性のヘルスケアの各分野の到達度評価を行い、評価者は「劣る」、「やや劣る」の評価を付けた項目については必ず改善のためのアドバイスを行い記録する。

◎指導者研修計画(FD)の実施記録

日本産科婦人科学会が指定する指導医講習会(註1)の受講は個人ごとに電子管理されており(H27.4.1.以降)、指導医の認定および更新の際に定められた期間における3回以上の受講が義務づけられている。

註1) 指導医講習会には1.日本産科婦人科学会学術講演会における指導医講習会、2.連合産科婦人科学会学術集会における指導医講習会、3.日本産科婦人科学会が作成するe-learningによる指導医講習、4.第65回および第66回日本産科婦人科学会学術講演会において試行された指導医講習会が含まれる。指導医講習会の回数にはe-learningによる指導医講習を2回含めることができる。ただし、出席した指導医講習会と同じ内容のe-learningは含めることができない。

8 専門研修プログラムの評価と改善

1.専攻医による指導医および研修プログラムに対する評価

総括的評価を行う際、専攻医は指導医、専攻医指導施設、専門研修プログラムに対する評価も産婦人科研修管理システム上で行う。また、指導医も専攻医指導施設、専門研修プログラムに対する評価を行う。その内容は専門研修プログラム管理委員会に記録される。なお、専攻医はパワーハラスメントなどの人権問題に関しては、日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会にいつでも直接訴えることが可能であり、専攻医にはそのこと及び、日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会の連絡先を伝えておく必要がある。

2.専攻医等からの評価(フィードバック)をシステム改善につなげるプロセス

専攻医や指導医等からの専門研修プログラムおよび専攻医指導施設に対する評価は、専門研修プログラム管理委員会で公表し、専門研修プログラム改善の為の方策を審議して改善に役立てる。専門研修プログラム管理委員会は必要と判断した場合、専攻医指導施設の実地調査および指導を行う。評価にもとづいて何をどのように改善したかを記録し、毎年3月31日までに日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会に報告する。

3.研修に対する監査(サイトビジット等)・調査への対応

専門研修プログラムに対する日本専門医機構からのサイトビジットを受け入れ対応する。その評価を専門研修プログラム管理委員会で報告し、プログラムの改良を行う。専門研修プログラム更新の際には、サイトビジットによる評価の結果と改良の方策について日本専門医機構に報告する。

4.秋田大学医学部附属病院専門研修プログラム連絡協議会

秋田大学医学部附属病院は複数の基本領域専門研修プログラムを擁している。毎年秋田大学医学部附属病院長、秋田大学医学部附属病院内の各専門研修プログラム統括責任者および研修プログラム連携施設担当者からなる専門研修プログラム連絡協議会を設置し、秋田大学医学部附属病院における専攻医ならびに専攻医指導医の処遇、専門研修の環境整備等を協議する。その結果は12月の研修プログラム管理委員会で報告する(必要に応じて適宜、通信[メール]で報告する)。

5.専攻医や指導医による日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会への直接の報告

専攻医や指導医が専攻医指導施設や専門研修プログラムに大きな問題があると考えた場合、本プログラム管理委員会を介さずに、いつでも直接、下記の連絡先から日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会に訴えることができる。この内容には、パワーハラスメントなどの人権問題が含まれる。

日本産科婦人科学会
住所:〒104-0031 東京都中央区京橋3-6-18東京建物京橋ビル4階
電話番号:03-5524-6900
E-mailアドレス:chuosenmoniseido@jsog.or.jp

6.プログラムの更新のための審査

秋田大学産科婦人科専門研修プログラムは、日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会および日本専門医機構によって、5年毎にプログラムの更新のための審査を受ける(6-2.も参照)。

9 専攻医の採用と修了

1.採用方法

本プログラム管理委員会は、毎年7月から次年度の専門研修プログラムの公表と説明会等を行い、産科婦人科専攻医を募集する。翌年度のプログラムへの応募者は、11月30日までに秋田大学医学部附属病院総合臨床教育研修センターのwebsite(http://career.hos.akita-u.ac.jp/kenshuu/)の秋田大学医学部附属病院医員募集要項(後期専門研修)に従って応募する。書類選考および面接を行い、12月の本プログラム管理委員会において協議の上で採否を決定し、本人に通知する。なお、定員に満たない場合には、追加募集することがある。専攻医の研修における登録上の所属は基幹施設とするが、専攻医の採用は基幹施設、連携施設、連携施設(地域医療)、連携施設(地域医療ー生殖)のいずれでも可である。

秋田大学医学部附属病院総合臨床教育研修センター

 〒010-8543秋田市広面字蓮沼44番2
 TEL:018-884-6233
 FAX:018-884-6457

2.研修開始届け

研修を開始する専攻医は、開始年度の2月末日までに、以下の専攻医氏名報告書を、日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会(chuosenmoniseido@jsog.or.jp)に提出すれば産婦人科研修管理システムを研修開始年度の当初より使用できる。研修を開始した専攻医は開始年度の9月末日までに日本産科婦人科学会に会費を納めない場合、当該年度は研修年度に含めることができない。

・専攻医の氏名と医籍登録番号、日産婦会員番号、専攻医の卒業年度、専攻医の研修開始年度(初期臨床研修2年間に設定された特別コースは専攻研修に含まない)(様式×号)

・専攻医の履歴書(様式※号)

・専攻医の初期研修修了証

3.修了要件

資料2参照。

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