秋田大学における動物実験実施者に対する教育訓練の取組み

松田幸久(バイオサイエンス教育・研究センター 動物実験部門)

 今年の6月に3Rを基調とした「動物の愛護及び管理に関する法律」が施行されたことにともない「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」 (以下「基準」)も改正、施行された。しかし、基準は実験動物の飼養保管を目的とするものであり、動物実験にまで踏み込まないとしたことから、 文部科学省はじめ動物実験が実施される省庁では「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」(以下「基本指針」)を告示し、 各研究機関が機関内規定を作成し動物実験を自主的に管理するよう求めた。

 このように基準は実験動物の飼養保管を、基本指針は動物実験を規制するものとなったが、ともに教育訓練の条項が設けられている。ちなみに基本指針の第6条1項では「研究機関等の長は、 動物実験実施者及び実験動物の飼養又は保管に従事する者(以下「動物実験実施者等」という。)に対し、動物実験等の実施並びに実験動物の飼養及び保管を適切に実施するために必要な基礎知識の修得を目的とした教育訓練の実施その他動物実験実施者等の資質向上を図るために必要な措置を講じること」とある。

 各研究機関では基本指針に基づき機関内規定を作成し教育訓練を行うこととなるが、平成17年度に国立大学法人動物実験施設協議会の会員校に対して行った調査では、動物実験実施者に対する教育は既に多くの大学で実施されている。 今回の講演ではその調査結果及び秋田大学における教育訓練の実施状況並びに今後の取組みについて報告する。

秋田大学における教育訓練の実施状況

項 目対  象時間・回数備  考
講 義
学部1年生
1回/年
1.5時間/回
 医学研究における動物実験の果たす
 役割  
基礎配で動物部門を
利用する学部3年生
1回/年
1時間/回
 部門の利用と動物実験を行うに当たっ
 ての注意事項
部門職員等
1回/年
3時間/回
 国動協高度技術研修SCS受講
講 演
大学院生、部門利用者
部門職員
1回/年
1.5時間/回
 実験動物慰霊式にともなう教育講演 
実技講習会
大学院生、部門利用者
1回/年
3時間/回
 マウス・ラットの保定、採血、麻酔、
 安楽死等
利用者講習会
新規部門利用者
12回/年
1時間/回
 部門の利用と動物実験を行うに当たっ
 ての注意事項
部門だより
部門利用者
12回/年
A4用紙2枚
 動物実験に関する最新情報等
メーリング
リスト
部門利用者
不定期
 通知、指導等
ホームページ
学内外の
動物実験関係者
不定期に更新
 動物実験に関する法律、基準、指針、
 動物実験手技等の情報等