「動物実験施設の管理・運営 ー今、取り組んでいることー」
一 戸 一 晃 (財団法人 環境科学技術研究所 生物影響研究部)
財団法人環境科学技術研究所では、低線量率放射線の長期間照射が、寿命に与える影響(身体的影響)や子孫に与える影響(継世代影響)」
などについて、マウスを用いた個体レベルの実験研究を行うために、低線量生物影響実験施設(低線量棟)を平成7年3月に、また、
「低線量放射線による生体影響の仕組み」について、マウスを用いた細胞・遺伝子・染色体レベルの調査を行うため、先端分子生物科学研究センター第
1研究棟を平成16年9月に建設した(平成19年3月には、第2研究棟が竣工予定)。
- 実験動物管理区域
低線量棟では、SPF動物飼育室(飼育架台数12、ケージ数240)を4室、SPF連続照射室(照射架台数10、ケージ数100)を
3室、検疫室(飼育架台数3、ケージ数60)、清浄作業室等を2室、洗浄室(AC:1台、小型EOG:1台、ケージワッシャー:1台)および検査室を、
それぞれ実験動物管理区域内に配置している。
先端分子生物科学研究センターでは、SPF動物飼育室(飼育架台数8、ケージ数200個)を8室、
SPF連続照射室(照射架台数10、ケージ数120)を2室、検疫室(飼育架台数4、ケージ数168個)を2室、CV動物飼育室(飼育架台数6台、
ケージ数90〜150個)を3室、CV組換え動物飼育室(飼育架台数4、ケージ数168)、隔離動物飼育室(飼育架台数3、ケージ数126)、
清浄作業室等を4室、洗浄室(AC:2台、EOG:1台、ケージ洗浄器:1台)および検査室を、それぞれ実験動物管理区域内に配置している。
- 施設の運転・管理
マウスの飼育管理(休日観察を含む)・動物生産、洗浄・滅菌作業、微生物モニタリングおよび病理組織標本作製作業等、
実験動物飼育管理業務を専業受託会社に委託している。また、施設の空調運転24時間監視体制)および照射装置の運転を含む放射線安全管理業務を、
それぞれ専業受託会社に委託している。なお、低線量棟では、
専任職員と飼育管理受託要員との打合せを平日の業務開始時に、放射線安全管理および施設運転管理受託要員を加えた合同打合せを週末にそれぞれ実施している。
- 動物飼育用関連機器の保守点検
重要機器や労働安全衛生面から必要と考えられる機器は、月1回および年1回の定期点検整備を専門業者に委託して実施している。
その内訳は、高圧蒸気滅菌器(毎月)、自動塩素添加装置(毎月)、酸化エチレンガス滅菌器(年1回)、ケージ洗浄器(年1回)、照射装置(年1回)および
有機資源循環処理機(年1回)である。さらに、酸化エチレンガス滅菌器を設置している洗浄室内や、両扉式酸化エチレンガス滅菌器の搬出側である清浄作業室
(SPF区域)については年2回の作業環境測定を作業環境測定士に委託して実施している。
- 動物実験委員会の設置
研究所に、動物実験を実施する研究部、施設管理担当部および動物実験に係わらない部の代表からなる動物実験委員会を置き、
以下の事項その他所長の諮問に応じ、適正な動物実験および実験動物取扱作業に関して必要な重要事項について調査・審議している。
- 実験動物管理区域の設定およびそれに関すること。
- 動物実験計画の承認およびそれに関すること。
- 病原体による実験動物の感染および疾病発生時の措置に関すること。
- 実験者、飼育管理者および動物の健康管理に関すること。
- 動物飼育・繁殖等に関連する検討
動物飼育・繁殖等に関連する問題点の検討に関しては、発表時に紹介する。