血球計数によるラット血液の保存性
○馬場秀明・今井信子・葛西律子・三上寧士・石田邦夫・八木澤誠
(弘前大学医学部附属動物実験施設)
はじめに
実験動物としてマウス、ラットが数多く飼養され、各種の実験に供されている。
特にラットは、体重がマウスに比して10〜20倍あり、全血量が多いため、反複採血が可能なので血液性状の経日的変動の測定に適している。通常血球測定は採血当日に行うのが原則であるが、場合によっては当日行えない場合もある。その場合、血液の保存状態の違いによる血球数の変動をラット血液によって検討したので報告する。
材料および方法
ラットは、Wistar、メス、40ヶ月令、各群3匹を使用し、腹大静脈からヘパリ
ナイズした。注射器を用い採血を実施し、専用の容器に入れ、それぞれ室温(24℃)
冷蔵庫 (4.6℃) 保存しその変動を検討した。 測定にはSysmex,F−520を用い赤
血球・白血球・ヘモグロビン量・ヘマトクリット値の4項目を測定した。
結果
赤血球・白血球数は室温、冷蔵保存両方で日を経る毎に減少していった。ヘモグ
ロビン値は室温、冷蔵保存両方で3日目に減少したが、4日目から増加した。ヘマトクリット値は、赤血球数の減少に伴い、減少してきた。
考察
ラットの血液を室温(24℃)、冷蔵庫 (4.6℃) 保存し、赤血球・白血球・ヘモグロ
ビン値・ヘマトクリット値を測定した。短期間のため、おおまかな結果しかでなかったが、赤血球・白血球数は減少傾向にあり、保存方法により差はなかった。今回は血清中の酵素は測定していないため、室温(24℃)、冷蔵庫 (4.6℃) 保存で差が出るかどうか不明なので、引き続き検討していきたい。