自治体からの譲渡犬の血液検査結果─福島県立医科大学の場合
○遊佐寿恵、丹治静保、片平清昭(福島医大・実験動物)
<はじめに>
福島県では平成15年3月末で捕獲犬の研究用譲渡制度を廃止した。これまでに福島県立医科大学に搬入されたイヌ6,800頭のうちほとんどが譲渡犬であり、その遺伝的背景や栄養状態、成長過程は不明である。実験動物研究施設では実験者への提供のため、検疫・検査等を行ってきた。約6,400頭について血液を採取し血球数および血漿蛋白等の測定を行った。今回はそれらの基礎統計についてまとめたので報告する。<材料と方法>
雌2,314例、雄4,129例について体重(BW)、体温(BT)、血球数、血漿蛋白(TP)等の測定とミクロフィラリア(Mf)の保有の有無を検査した。体温はサーミスター温度計(SIBAURA、THERMISTOR)を用い頸部背側皮下温を測定した。血球数は血液2ml採血し、自動血球計数器(日本光電K.K製、Celltac MEK-5158)、蛋白は屈折計(ATAGO、SPR-T2)を用いて測定した。ミクロフィラリアの検出はアセトン集虫法により顕微鏡下で行った。血球数算定項目は赤血球数(RBC)、ヘモグロビン値(HGB)、ヘマトクリット値(HTC)、平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、白血球数(WBC)、血小板数(PLT)である。<結果>
性別による測定結果
BW |
BT |
RBC |
HGB |
HTC |
PLT |
WBC |
TP |
|
Female |
(kg) |
(℃) |
(×10000/μl) |
(g/dl) |
(%) |
(×10000/μl) |
(×100/μl) |
(g/dl) |
Mean |
10.2 |
38.7 |
737.6 |
16.0 |
50.1 |
33.8 |
146.5 |
6.53 |
±SD |
3.1 |
1.0 |
137.2 |
3.2 |
9.0 |
14.4 |
68.6 |
0.95 |
Male |
||||||||
Mean |
11.6 |
38.6 |
758.1 |
16.5 |
50.9 |
31.3 |
149.9 |
6.61 |
±SD |
3.3 |
1.0 |
133.7 |
3.1 |
8.9 |
13.5 |
69.6 |
0.96 |
ミクロフィラリアの保有状況
Mf保有犬数/検査犬数 |
Mf保有率 |
|
Female |
631/2314 |
27.3% |
Male |
1421/4131 |
34.4% |
Total |
2050/6445 |
31.8% |