当施設に搬入されたイヌの犬糸状虫検査成績

○福士 和男・石田 邦夫・八木沢 (弘前大学医学部附属動物実験施設)
 
 施設開設当初から平成12年度までの18年間に,県内各保健所から当施設に搬入されたイヌのうち,犬糸状虫の検査を行った9,679頭の検査成績を報告する。犬糸状虫の検査はアセトン集中法で行い,一週間の検疫期間中に原則として2回検査をした。
 年度毎の検査数および寄生率を表に示した。検査数は施設開設当初に比べて約1/3に減っており,犬糸状虫の寄生率も510%減少している。犬糸状虫減少の理由は不明だが,犬飼育環境の整備による中間宿主である蚊の減少,家屋内飼育犬の増加,犬糸状虫予防薬摂取犬の増加などが考えられる。
 地域別の寄生率を,我々が主として犬を搬入している青森,弘前,黒石の保健所別に比較したが,大差は見られなかった。これは調査地域が何れも青森県津軽地方で,都市構成,機構的風土が3地域ともよく似ているため,大差が見られなかったものと思われる。
 ♂5,287頭,♀4,392頭の平均寄生率は♂39.4%,♀30.3%で,各年度とも♂が♀に比べて約10%高い値を示した。子虫の季節的消長は2月が最も低く26.4%,5月が43.0%と最も高い1峰性を示した。

  表 犬糸状虫検査数と寄生率
年度58年59年60年61年62年63年元年2年3年
検査数 896679249935808689700760578
陽性数 399233120412263249206251197
陽性率(%) 44.534.348.244.132.636.129.933.034.1

年度4年5年6年7年8年9年10年11年12年
検査数 444408385397348507447193256
陽性数 146124811191281781535396
陽性率(%) 32.930.421.030.036.835.134.227.537.5