低線量生物影響実験棟における水道水対策に関して

(財)環境科学技術研究所
企画・管理部 一戸 一晃


 平成7年9月に実施した法定点検(稼働後6ヶ月目)の際、空調設備の1つである蒸気発生器(第一種圧力容器)の缶内に、多量の白色固形状のスケールが付着していることが発見された。 スケール付着は熱効率の低下だけでなく、器械の作動不良を引き起こすなど作業安全上の点から も問題となる。原因は、使用している六ヶ所村水道水中に含まれる多量の珪素およびカルシウム 等の硬度成分が、珪素化合物として析出するためであった。この対策として平成8年3月に水道 水中の硬度成分を除去するための硬水軟化装置、スケール形成を抑えるための薬注装置およびス ケール形成物の缶内濃縮を抑えるための連続ブロー装置を設置した。その結果、蒸気発生器の缶 内に白色固形状のスケールは認められず(平成8年8月法定点検時確認)、現在まで機器は良好 に作動している。

 また、水道水は消毒後直接マウスの飲料水となるため、平成8年2月に開催された「低線量放 射線生物影響実験調査委員会」において、水道水中の珪素が実験結果に影響を及ぼす可能性があ ることが指摘された。この対策として、珪素を除去するため、平成8年3月に実験動物飼育用水 製造装置(自動純水塩素添加装置)を設置した。その結果、水道水中の珪素が約1/10となり、 現在まで機器は良好に作動している。

 本結果は、平成7年度青森県委託事業による。

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