当施設における実験用ウサギの検疫
―特に細菌学的検索について―

○石郷岡 清基・助川 康子・佐藤 政義・松田 幸久(秋田大・医・動物実験施設)

<対象細菌の種類>
<方 法>
<成績及び考察>
  1. 糞便から検出された菌種
     65例中7例(11%)からgram(−)桿菌が検出されたが、同定の結果,それらの菌は今回検査対象としていない腸内常在菌のエンテロバクター群であった。また,gram(+)球菌は2種類検出され,それらは同定の結果,非病原性ブドウ球菌2例(3.1%)と腸球菌が5例(7.7%)であった。
  2. 鼻腔内から検出された菌種
     今回目的としていたgram(−)桿菌は全く検出されなかった。一方,gram(+)球菌は65例中7例から分離され,同定の結果それらは3種類に分けられた。つまり非病原性ブドウ球菌が2例(3.1%),α溶血性連鎖球菌と腸球菌が各3例(4.6%)であった。なお,これらの菌は外科的手術後の個体からのみ分離されたものであった。
     そこで腸球菌がVCMに耐性であるか否かについて検査を実施したところ全例とも常在菌であるエンテロコッカス,フェカーリスであった。ヒトでの腸球菌は重症基礎疾患や免疫不全などで抵抗力の低下した患者などにおいて尿路感染症,感染性心内膜炎や胆道感染症などの原因になるとされている。
     今回,手術後の個体から腸球菌が分離されてはいるが特に問題となる症状はなかった。また,ヒトでは院内感染症の原因菌とされているが,それが果たして実験動物にも感染するか否かなどについての報告がまだないため不明な点が多い。今後はこれらについて早急に検討する必要がある。




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    秋田改良種(体重約6.5Kg)と日本白色種(体重約3.0Kg)