生ゴミ処理装置の低線量生物影響実験棟(動物実験施設)への導入に関して
               一 戸 一 晃 (財団法人環境科学技術研究所)

 経緯
 財団法人環境科学技術研究所(以下「環境研」と称す。)では、平成11年に青森県がダイオキシン対策として小型焼却炉の使用を中止したため、それまで実験動物(マウス)用床敷や残餌等の処理に使用していた焼却炉を平成123月に廃止した。これに伴い、実験動物の飼育によって発生する廃棄物を@使用済床敷、残餌、動物死体および使用済細菌検査用培地等の生ゴミとA飼料箱等の紙製品やプラスチック・ガラス製品等の可燃・不燃ゴミに分別し、産業廃棄物(その一部は感染性廃棄物)および事務系一般廃棄物として業者に引き渡すこととした。
 その後、「廃棄物処理法」および「循環型社会形成推進基本法」が平成126月に公布されるなど、ゴミの減量化あるいはゴミの循環利用・再資源化の重要性が高まってきた。このため、環境研では、ダイオキシンの発生を抑え、かつ廃棄物を減量・資源化するための検討を開始した。
なお、青森県環境保健センター環境管理部は、当方からの問い合わせに対し、実験動物飼育に伴う全ての“殺菌処理をしない”生ゴミは感染性廃棄物に分類されるとの見解を示した。
 生ゴミ処理装置について
本装置は、攪拌により生ずる高温(90100℃)と種菌(高温微生物)の両方の働きで、短時間(2時間程度)に生ゴミを堆肥(正確には完熟前堆肥)にする。
高温処理により、病原微生物が殺菌されるため感染性廃棄物でなくなるとともに処理後は堆肥となるため、廃棄物の再資源化がはかれる。
100℃以下の処理であるためダイオキシンは全く発生しない。
生ゴミ処理後に生じた完熟前堆肥が種菌として再利用できる。
副資材(おがくず等)が必要であるが、動物飼育用廃棄物の大部分は木材チップであるため副資材の購入が不要である。
低線量生物影響実験棟で発生した使用済床敷、残餌、動物死体および培地を生ゴミとして用い、機器販売業者所有の本装置を使用した2回にわたる実地試験の結果、生ゴミは完全に処理されると共に減量(容積で2/3、重量で9/10)できることが確認された。また、最大100kg(450ャ)の生ゴミを処理できることが推定できた。
本装置使用により生じた完熟前堆肥は、完熟堆肥原料として機器販売業者が引き取ることが確認された。
 結論
 環境研では、経費等を含めて総合的に判断し、平成144月より、低線量生物影響実験棟(動物実験施設)で生じた生ゴミについては生ゴミ処理機を購入して完熟前堆肥化し、それを販売業者に引き取ってもらう。その他のものは、産業廃棄物として処理業者に引き取ってもらうこととした。
 本総会では、機器導入後の運転経験も含めて発表する予定である。
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